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【経済ニュース振り返り】11/7~11/11

注目経済指標

・米国 10月 消費者物価指数(CPI)
米労働省が10日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7.7%上昇と、今年1月以来の低い伸びとなった。伸び率は4カ月連続で縮小し、市場予想(8.0%上昇)も下回った。ただ、依然として高水準で推移しており、連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続する構えです。

来週の注目経済指標

・米国 10月 小売売上高

・米国 11月 フィラデルフィア連銀景況指数

原油価格の動向

週間で約3ドルの減少。
米国の景気後退(リセッション)懸念が和らいだことと、中国の新型コロナウイルス感染拡大が需要下押しリスクとして意識されていることから週間では4%を超える下げとなっています。

・気になった原油関連記事

[ニューデリー 8日 ロイター] - インドのジャイシャンカル外相は8日、訪問先のモスクワでロシアのラブロフ外相と会談を行った。会談後、インドはロシアとの通商関係を拡大させているとし、自国の利益になるためロシア産石油の輸入を継続すると表明した。ジャイシャンカル外相がラブロフ外相と会談するのは今年に入り5回目。モスクワを訪問するのはロシアがウクライナに侵攻してからは初めてで、今回の訪問には農業、石油・天然ガス、港湾・海運、金融、化学・肥料、貿易を担当する政府高官が同行した。ラブロフ外相との共同記者会見で「ロシアは安定した長期パートナー国だ。何十年にもわたる二国間関係で両国は相いに大きな恩恵を受けてきた」と述べた。主要7カ国(G7)のロシア産石油に価格上限を設ける計画については、インドは世界第3位の石油・天然ガス消費国であると同時に、所得水準が低いため、自国の利益に目を向けなければならないと語り、「こうしたことを踏まえると、ロシアとの関係はインドにとって有利に働いている。インドにとって有利なら継続したい」と述べた。インドは中国に次いで第2位のロシア産石油の輸入国。インドの石油輸入に占めるロシア産石油の割合は、ウクライナ侵攻前の2%から9月には過去最高の23%に急増した。インドを巡っては、米国のイエレン財務長官が週内にニューデリーを訪問し、ロシア産石油の価格上限設定などについて政府高官と協議する。

米国債10年利回りの動向

週間で約0.3ポイントの減少。
0日のニューヨーク金融・債券市場は、10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが減速するとの観測が広がり、長期金利が急低下した。米労働省が朝方発表した10月のCPIは前月比0.4%上昇となり、前月から伸びが鈍化した。市場予想も下回った。市場では、インフレがピークアウトしたとの期待が膨らみ、FRBの利上げペースが減速するとの観測が強まった。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅0.5%への縮小を織り込む動きが進んだ。サンフランシスコ連邦準備銀行のデイリー総裁はこの日開かれたオンライン会合で、「利上げ幅を縮小する時期は今だ」と明言。ダラス連銀のローガン総裁も講演で、利上げペース減速の時期が近づいているとの認識を示した。FRB高官から利上げ減速を示唆する発言が続いたことも、市場の期待を後押しした。

米ドルの為替動向

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初147.15で寄り付いた後、早々に週間高値147.59まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線をバックに伸び悩むと、(1)先週末金曜日に発表された米10月失業率の冴えない結果や、(2)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り、(3)米中間選挙後のねじれ発生への警戒感(米中間選挙でRedWaveこそ回避されたものの「ねじれ」は不可避→今後は米財政政策を通すことが難しくなる可能性大→ドル売り要因)、(4)黒田日銀総裁による「最近の急速な円安望ましくない」「投機による急速な円安への政府の適切な対処を評価している」「ドル独歩高が続くとの予想は必ずしも正しくないと思う」との円安牽制発言、(5)豪中銀ブロック副総裁による「利上げを中断できる状況に近づきつつある」とのハト派的な発言(世界的な利上げペース鈍化期待)、(6)米10月消費者物価指数(結果+7.7%、予想+7.9%、前回+8.2%)および、米10月消費者物価コア指数(結果+6.3%、予想+6.5%、前回+6.6%)の市場予想を下回る逆サプライズ、(7)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「来月の利上げペースの緩和を予想」「来年のどこかの時点で政策停止を予想」「利上げは4.50%で一時停止することを望む」とのハト派的な発言、(8)ダラス連銀ローガン総裁による「利上げペースの減速が近く適切になる可能性」とのハト派的な発言、(9)ウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャーであるニック・ティミラオス記者による「10月のインフレレポートはFRBが50ベーシスポイントの利上げに向けて順調に進んでいることを示している」とのハト派的な発言、(10)上記を背景とした米長期金利の急低下(米CPIの逆サプライズ→次回12月FOMCでの利上げ幅が50bpへ縮小されるとの見方が再浮上→米10年債利回りは10/21に記録した4.33%から約1ヵ月ぶり低水準となる3.81%へ急低下)、(11)世界的な株高とそれに伴うリスク選好のドル売り再開、(12)日本の為替操作国認定見送り(米財務省は半期に一度の為替報告書の中で日本の為替操作国認定見送りを決定→米国が日本の為替介入を黙認)、(13)イエレン米財務長官による「CPIのデータはインフレ圧力の緩和を示唆している」とのハト派的な発言が重石となり、週末にかけて、週間安値138.74(8/31以来、約2ヵ月半ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/12午前2時45分現在)では、138.90前後で推移しております。(編集部注:その後終盤にかけ138.47まで下値拡大)

ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95(1990年7月以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週末にかけて、8/31以来、約2カ月半ぶり安値となる138.74まで急落しました。この間、ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や一目均衡表雲上限)を軒並み下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォーク(ローソク足がボリンジャーバンド下限に沿って下落し続ける状態)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を決定付けるチャート形状となりつつあります。来週は138.15近辺に位置する一目均衡表雲下限を下抜けられるか否かに注目が集まりそうです。同水準の下方ブレイクに成功できれば、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が点灯するため、地合いの悪化に拍車がかかると考えられます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米利上げペースの鈍化期待(逆CPIショックを受けて米利上げペースの鈍化期待が再浮上→次回12月FOMCで利上げ幅を50bpに鈍化させる確率が85.4%へ急上昇。また、来年2月FOMCで利上げ幅を25bpに鈍化させる確率も52.1%へ急上昇)や、(2)それに伴う米長期金利の急低下と米ドル指数の大幅下落(米10年債利回りが10/6以来、約1ヵ月ぶり低水準となる3.81%まで急低下した他、ドル指数も8/18以来、約3ヵ月ぶり低水準となる106.40まで急低下)、(3)米議会のねじれ発生に伴う緊縮財政開始懸念(ドル売り要因)、(4)黒田日銀総裁によるタカ派転換の思惑(黒田総裁は11/2の衆院財務金融委員会での答弁の中で、「将来的に2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になればその前段階でイールドカーブコントロールを柔軟化していくことは一つのオプションとしてあり得る」と発言)、(5)米政府・当局による円買い介入容認観測(米財務省による半期に一度の為替報告書の中で日本の為替操作国認定が見送られたことに対する安堵感)など、ドル売り・円買いを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(円キャリートレードの逆流に警戒)。尚、来週は米当局者発言に注目が集まります。週初のブレイナードFRB副議長講演に始まり、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言や、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁発言、クックFRB理事発言、ウォラーFRB理事発言、セントルイス連銀ブラード総裁発言、ボウマンFRB理事発言、ジェファーソンFRB理事発言、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁発言など、複数の米当局者発言が予定されており、今週発表された米CPI鈍化に対してどのような評価を下すのか?米金融政策の先行きに対してどのような示唆を滲ませるのか?に注目が集まります。米利上げペースの更なる鈍化を示唆する発言が出てくる場合には、米金利低下→米ドル売りの経路でドル円にはもう一段強い下落圧力が加わる恐れもあるため、来週はダウンサイドリスクに注意を要する一週間となりそうです。また、上記以外にもトランプ前大統領が11/15に重大な発表をすると発言しているため、同氏の発言にも警戒が必要でしょう。

NYダウの動向

週間で約1300ドルの上昇。
米10月消費者物価指数が市場予想を下回る結果となり、金利が下がる思惑で株買いを招きました。

日経平均の動向

週間で約900円の上昇。
前日、NYダウの大幅上昇の煽りを受け、週末に大きく買いを伸ばしました。

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