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【経済ニュース振り返り】11/21~11/25

注目経済指標

・米国 11月 製造業PMI
[ワシントン 23日 ロイター] - IHSマークイットが23日公表した11月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は56.5と、10月の57.6から低下した。労働力や原材料の不足が重しとなった。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「米経済は引き続き好調だが、今回の低下は米経済が持続的な供給上の制約への対応に苦戦していることを強調している」と述べた。投入価格指数が10月の74.1から78.1に大幅上昇。2009年の調査開始以来最高となった。これらの価格上昇は消費者に転嫁されており、高インフレが当面続く可能性がある。

・米国 11月 FOMC議事録
FRBは11月連邦公開市場委員会(FOMC)会合で4会合連続で0.75%の利上げを決定。FRB高官はいずれも10月のインフレ改善を歓迎しつつも、1月分の結果をもとにした金融政策の修正には前向きではない。議事録ではインフレや景気の見通しに焦点が集まる。歴史的にも大幅な利上げにもかかわらず、インフレへの影響がそれほど見られない一方で、消費は底堅く、雇用には柔軟性があるとの見解が再表明されると、追加利上げを支援。市場はFRBが12月FOMCで利上げ幅を縮小し0.5%にとどめると見ている。FRB高官はインフレの改善が確実になるまで、利上げが必要と見ており、特にタカ派のセントルイス連銀のブラード総裁は金融政策の完全な引き締めの領域は最低で、5%-5.25%と強気。

来週の注目経済指標

・米国 10月 中古住宅販売成約指数

・米国 11月 製造業PMI

・米国 11月 ISM製造業景気指数

原油価格の動向

週間で約3.5ドルの減少。
ロシア産石油に価格上限を設定する国には石油および石油製品の輸出を行わないほか、原油を減産する可能性があると、ロシアが報道したことにより、価格の変動が起きました。

・気になった原油関連記事

[モスクワ 24日 ロイター] - ロシア大統領府(クレムリン)は24日、ロシア産石油価格の上限設定を支持する国に対し石油・ガスを供給する計画はないと言明した。しかし全ての状況を精査し、最終決定するとした。クレムリンのぺスコフ報道官は「現時点で、上限設定やその計画に参画する国に石油やガスを供給しないというプーチン大統領のスタンスを堅持する」と語った。同時に「われわれの立場を形成する前に全ての状況を分析する必要がある」と付け加えた。主要7カ国(G7)はロシア産石油の価格上限について、1バレル当たり65─70ドルで設定することを提案。しかしこれを巡り、欧州連合(EU)EU加盟27カ国の間では意見が分かれ、決着は持ち越された。

米国債10年利回りの動向

週間で約0.1%の減少。
週末25日のニューヨーク金融・債券市場は、感謝祭の休暇シーズンで取引が低迷する中、買いが優勢となり、長期金利が低下した。長期金利の指標である10年物米国債利回り(終盤)は前日比0.01%ポイント低下の3.69%となった。この日は、午後2時までの短縮取引だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)が23日公表した今月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、大多数の参加者が、利上げペースの減速がすぐに適切になるとの見方を示していることが明らかになった。一部の参加者が金融引き締めの行き過ぎを警戒していることも示され、市場では、今後の利上げペースが減速するとの見方が改めて強まり、債券買いにつながった。
 ただ、ロイター通信によると、欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事が前日、インフレ抑制を妨げるとして、利上げ幅縮小に反対する姿勢を示した。発言を受けてドイツ国債が売られ、長期金利が上昇。債券売りは、米債券市場にも波及し、米長期金利の低下は限定的だった。

米ドルの為替動向

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初140.26で寄り付いた後、(1)米当局者による相次ぐタカ派発言(前週末金曜日にボストン連銀コリンズ総裁やセントルイス連銀ブラード総裁がタカ派的な発言を実施→米ドルのショートカバーを誘発)や、(2)日米名目金利差に着目したミセスワタナベの円キャリートレード再開、(3)中国における新型コロナウイルス感染再拡大懸念(中国政府のロックダウン再開懸念)、(4)上記3を背景としたリスク回避のドル買い圧力(株安→ドル買い)、(5)サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「インフレは容認できないほど高い」とのタカ派的な発言、(6)短期筋の大規模ロスカットが支援材料となり、週明け早々に、週間高値142.26(11/11以来の高値圏)まで急伸しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、(7)格付会社ムーディーズによる「FRBは早ければ2023年11月に25bpー50bpの初回利下げに踏み切る公算」とのハト派的な見解発表や、(8)米11月リッチモンド連銀製造業景気指数(結果▲9、予想▲8)の市場予想を下回る結果、(9)米新規失業保険申請件数(結果24.0万件、予想22.4万件)の冴えない結果、(10)米11月製造業PMI(結果47.6、予想50.2)および、米11月非製造業PMI(結果46.1、予想48.1)の市場予想を下回る結果、(11)上記8、9、10を背景とした米国のリセッション懸念再浮上(米景気後退への懸念から米当局が米利上げペースを鈍化させるとの見方が再浮上)、(12)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは約2ヵ月ぶり低水準となる3.65%へ急低下)、(13)株式市場の堅調推移(米ダウ平均株価は4/22以来、約7ヵ月ぶり高値圏へ急上昇→リスク選好のドル売り再開)、(14)米FOMC議事要旨での「大多数の当局者が利上げペースの減速が近く適切になると認識」「急速な利上げによるリスク増大を認識」とのハト派的な見解発表、(15)米感謝祭前のポジション調整が重石となり、週後半にかけて、週間安値138.07(11/15以来の安値圏)まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/26午前4時20分現在)では、139.10前後で推移しております。

ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95(1990年7月以来の高値圏)をトップに反落に転じると、11/15に、8/29以来、約2ヵ月半ぶり安値となる137.68まで急落しました。その後、11/21に142.26まで持ち直すも、11/24に再び138.07まで反落するなど、ドル売り・円買い基調が鮮明となりつつあります。この間、ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限や雲下限)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が確認されます(目先は134円前後に位置する200日移動平均線を試すシナリオを想定)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米利上げペースの鈍化観測(CPIおよびPPIの鈍化+米経済指標の不冴な結果+米FOMC議事要旨のハト派な結果)や、(2)上記1を背景とした米長期金利の低下圧力(米10年債利回りは約2ヵ月ぶり低水準となる3.65%へ急低下→主要通貨で構成される米ドル指数/DXYも105台へ急低下)、(3)円キャリートレードの逆流リスク(米利上げペース鈍化期待と、ポスト黒田日銀体制下での金融緩和脱却懸念の組み合わせ→日米名目金利差縮小観測→円キャリートレード逆流懸念)、(4)米議会「ねじれ化」に伴うドル高政策の緩和観測、(5)米政府・米当局による円買い介入容認観測(米財務省は先般発表した半期に一度の為替報告書の中で日本の為替操作国認定を見送り→米国はドル独歩高がもたらしてきた世界各国への悪影響を認識済み)など、ドル売り・円買いを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は重要度の高い米国経済指標(米11月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米11月ADP雇用統計、米第3四半期GDP改定値、米11月ISM製造業景況指数、米11月雇用統計など)と、米当局者発言(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、ボウマンFRB理事、クックFRB理事、パウエルFRB議長、ダラス連銀ローガン総裁、バーFRB理事、シカゴ連銀エバンス総裁など)が複数予定されております。市場では特に、パウエルFRB議長発言と、米11月雇用統計への関心度が高く、パウエルFRB議長がCPIやPPIの伸び率鈍化や足元の冴えない米経済指標の結果を踏まえて米利上げペース鈍化の可能性を滲ませる場合や、米非農業部門雇用者数や失業率の悪化を通じて労働需給緩和の兆候が見られる場合には、米金利低下→米ドル売りの経路で、ドル円には強い下押し圧力が加わるものと推察されます。状況次第では、11/15に記録した直近安値137.68を割り込み、200日移動平均線が位置する134円絡みまで急落する恐れもあるため、来週は週を通してダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(直近2週間と同様、1日に2円以上動くボラティリティの高い相場展開の継続を想定)。

NYダウの動向

週間で約600ドルの上昇。
FRBの利上げペースの減速の報道を受け、債券が下がり株高となる展開になりました。
前回高値だった34300ドル台を突破できるか、今後の動きに注目です。

日経平均の動向

週間で約300円の上昇。
米国株上昇のあおりを受け、日経平均も買われる形になりました。


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