マンションの罹災時の備え(3)
避難所では、環境の変化などによるストレスや体調管理不足で体調を崩す人が増えます。(特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方)
前回は、罹災した時・・・ライフラインが確保できていなくても、少なくとも「新耐震基準」で建てられた1981年以降のマンションなら「在宅避難」が良いかも?で終わりました。
ただ、「在宅避難」といっても・・・建物が倒壊等の危険な状態ならば、避難場所として適切ではありませんよね。
ということで今回は、マンション(というか建物の)耐震性能について、深掘りしたいと思います。
うちのマンションの耐震基準は?
建築基準法の「新耐震基準」(1981年6月改定)は、震度6の地震が襲っても建物が倒壊を免れる強度設計をするように定められています。
ちなみに・・・うちのマンションは1998年に竣工したマンションですので「新耐震基準」で建てられたマンションになります。
「旧耐震基準」建物は危険?
建建築基準法は「建物を建てる時に最低限守らなければならない基準」を定めた法律です。
ですから「新耐震基準」が定まる以前に建てられた「旧耐震基準」の建物であっても、充分な耐震強度が確保されている例がたくさんあるようです。
つまり1981年6月以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」に分類される建物であっても・・・必ずしも震度6以上の地震に耐える耐震強度が不足しているとは言えないようです。(その確認は・・・個別に耐震診断を受けるしかないそうです)
また、仮に耐震強度が不足していても・・・適切な「耐震補強工事」を行って耐震強度を高めることもできると思います。(ただし「耐震補強工事」に必要なコストは、大抵スゴイ金額になるらしい・・・)
「新耐震基準」でも安心できない?
「新耐震基準」なら絶対大丈夫か?というと、そうとは言いきれないと思います。実際に「阪神淡路大震災」では新耐震基準で建設された建物の内・・・約6%の建物が大破したそうですから・・・
その理由を性悪説で考えると・・・新耐震基準により設計された建物なのにコスト等の問題で設計図書どおりに建築されない可能性が考えられます。
当然ながら・・・こうした手抜き工事で設計図書どおりに建設されていない建物には、十分な耐震強度が備わっていないと考えて良いと思います。
また建築確認2005年には、世間を大いに騒がせた「構造計算書偽造問題」なんて事件も発生してました。
この事件は、とあるデベロッパーの下請けでマンションを設計していたA建築士が耐震強度を偽装して建築確認を申請し、そのまま建設され引き渡された建物(マンション4棟、ホテル2棟)があったことが発覚しました。
この事件が社会問題になった時・・・マンション管理組合の不安を取り除くため、京都市は希望するマンション管理組合に構造建築士を派遣して「設計強度の無料チェック」を行ってくれました。(確か・・・うちのマンションにもチェックしに来てもらいました)
「新耐震基準」が守られていても・・・
「新耐震基準」で想定されている耐震強度は、震度6の地震が1回襲っても倒壊しない(生存空間を確保できる)程度の強度です。
例えば2016年4月14日に震度7の本震が発生した「熊本地震」では、本震の後に断続的に最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生しましたが・・・こうしたパターンでは、新耐震基準でも倒壊するかもしれません。
実際に「熊本地震」では複数回の震度6以上の揺れで大破した「新耐震基準」のマンションがあったようです。
でもまあ・・・今回は!
「複数回の震度6以上の地震発生によって、建物に住めなくなる」という想定はせず・・・話を進めたいと思います。
その理由(こじつけ?(笑))は以下の通りです。
次回は、うちのNPOが毎月開催しているWEBセミナーで、3月18日に建築士の小池康弘さんが講師を務められた「旧耐震基準の建物(マンション)と新耐震基準の建物(マンション)の違いついて」を視聴した後に色々調べたことをお話したいと思います。 (つづく)
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