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マンションの罹災時の備え(2)

 前回は、27年前の1995年1月17日に発生し・・・個人的に生々しい記憶が鮮明に蘇る「阪神淡路大震災」の時のことをお話しました。

前回のブログはこちら
  
マンションの罹災時の備え(1)

「避難所」を考える

 「阪神淡路大震災」は、犠牲者が6,434人になった戦後最悪の震災でしたが、2011年3月発生した「東日本大震災」では地震や火災だけでなく津波による被害が広がり・・・18,425人の死者・行方不明者が発生しました。(2021年3月31日に復興庁で集計され公表された「東日本大震災による震災関連死者数」は3,784人だったので・・・死者・行方不明者の合計は22,209人)

 この2つの大きな震災を経験した日本では、罹災時の避難について・・・これまでの「地震が発生したら学区の小学校等に避難」から方針が変わっていきました。住居が縦に重なるマンションの住民が一斉に避難所に殺到すると・・・収容しきれない事態となるからです。
 また、避難所生活のストレスから体調を崩されてお亡くなりになったケース(=震災関連死)も多発しました。

「避難所」生活の問題点

 短期間の避難なら・・・小学校の体育館や公民館等でも大丈夫ですが、避難が長期間に及ぶと、色々と問題が生じてきます。
 段ボールの壁1枚で仕切られただけのプライベート空間しか確保できないので・・・避難者のストレスは溜まる一方です。
 また、配給される食事もカロリーこそ確保されていますが、炭水化物や糖質が高く・・・決して褒めれた栄養バランスではないことが多いと思います。
 せっかく震災で生き残ったのに避難所暮らしで体調を崩して命を失った方も大勢おられます。
 避難所は、取り敢えず雨露や寒さを凌げるだけで、決して快適空間ではないということだと思います。

それでも避難所に避難すべき住宅

 ひとたび大規模な地震が起これば、電気・ガス・水道などのライフライン被害や物資供給の停滞が想定されます。
 また、震度6未満であっても・・・火災による延焼が懸念される住宅密集地や余震で倒壊するリスクが否めない古い木造住宅等の住民は、(2次災害を防ぐため)たぶん避難所に避難した方が良いと思います。

避難すべきマンションは?

 1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震によって仙台の9棟のビルが全壊したことを受け・・・耐震設計法が抜本的に見直された「新耐震設計基準」が1981年(昭和56年)に制定されました。
 阪神淡路大震災の被害状況を確認すると「新耐震設計基準による建物」の被害が明らかに少なかったことから・・・(1981年以前の)「旧耐震建物」、「新耐震建物」といった表現がされるようになしました。
 「旧耐震建物」だから著しく耐震性能が低いという訳ではありませんが・・・1981年以前に建てられ、特に1階部分が店舗や駐車場になっていて壁が少ない(柱だけの)マンションは、避難した方が良いかもしれません。

自治体は「在宅避難」して欲しい

 そんな中、現在のトレンド??は、「在宅避難」です。
 避難所だけでは避難者全員の収容が困難な事情から、多くの(特に都会や都会周辺の)地方自治体では、在宅避難を勧めていています。
 そして・・・そうした自治体は在宅避難を可能にするための防災備蓄品の準備等の啓蒙をしています。

ライフラインの復旧前でも・・・

 私は、先に話した「避難所」に避難すべき住宅の住民以外は、「在宅避難」の方が良いように思います。
 電気・ガス・水道などのライフラインが復旧していなくても・・・(もし可能なら)自宅で避難生活を送る方が快適なのは、明らかだと思うからです。

 「避難所」では絶対に望めないプライバシーが得られることや、自宅で(家族で)生活する安心感は絶大です。
 ただし、電気・ガス・水道などのライフラインを補完するための工夫や日頃の準備は必要ですし、「避難所」に集まる情報や「共助」「公助」によるサービス提供を受けにくい等のデメリットもあります。

 それでも・・・やっぱり「在宅避難」だなあ・・・
 今回のシリーズでは、この辺りを深堀していきたいと思います。
  (つづく

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