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マンションの電気を考える(6)

 5階建て約50戸のうちのマンションの駐車場を全て充電設備付きの駐車場に改装すると・・・(機械式駐車場は充電設備設置不可となり、全て平面駐車場になるので)駐車台数は30台から11台に減少してしまいます。

 前回は・・・うちのマンションに駐車できる11台の「BEV(:Battery Electric Vehicle)車」のバッテリーを使って、(災害・事故等により)マンションが全館停電した時の共用設備用電源(対象:給水ポンプ・エレベーター・共用廊下照明器具等)を賄ったらどうなるのか?、というシュミュレーションをしました。
 その結果・・・全館停電時の節約モードを想定しても「4日と18時間」しか給電できないことが分かりました。

 今回は、実際に震災が発生した時のことをイメージしながら・・・全館停電時に「BEV車」のバッテリーを運用する現実的なシュミュレーションを考えていきたいと思います。

過去の記事は、こちら
  
マンションの電気を考える(1)
  マンションの電気を考える(2)
  マンションの電気を考える(3)
  マンションの電気を考える(4)
  マンションの電気を考える(5)

南海トラフによる大震災が発生したら・・・

 これまでは、全館停電だけで他のライフライン(ガス・水道)は使える!という想定で話を進めしたが・・・現実では、そうはならないのでは?と思います。・・・たぶんその時は、全てのライフライン(電気・ガス・水道)は長期間停止するでしょうね。

 仮に「BEV車」のバッテリーによって電気が確保できたとしても、水道局からの給水が停止していたら・・・マンション内の貯水槽に貯水された水道水(=マンションでの半日の使用量に相当した貯水量)しか給水できないことになります。・・・となると、給水ポンプ用に4日間も電源供給する必要はなくなると思います。

 また、仮に水道局からの給水が奇跡的に復旧したとしても、直ぐにマンション内の給水を再開できないかもしれない事情も考えられます。

水道局が大丈夫でも・・・給水無理かも?

 給水再開に慎重にならざるを得ないのは、建物内や敷地内の排水管または下水管が壊れている(=排水不良に陥っている)可能性があるからです。

 1年位前、うちのマンションで・・・ある事件(事故)が発生しました。夜中に敷地内の排水管に油脂の塊が詰って排水不良が生じたのです。
 この事故によって、複数の1階住戸が排水管から逆流した雑排水や汚水で床上浸水しました。(ホント悲劇・・・)
 その主原因は不明(闇の中)なのですが・・・調査の結果、敷地内の排水管の一部に逆勾配があることが判明しました。(管理組合では委員会を結成し、逆勾配改善工事の実施・仕様を検討中です)

 マンションの場合、排水不良が生じると・・・上階で流した排水が下階に被害を及ぼします。
 つまり・・・震災後は水道が使えたとしても、「安直に各戸への給水を再開することはできない!」ということになります。

 罹災後は・・・当面の間トイレも風呂も水は使えないでしょう。
 トイレは、(予め準備する必要はありますが・・・)排泄物を凝固剤等を使って処分できる「非常用簡易トイレ」を使うことになるでしょうね。
 風呂は(東日本大震災の時ニュースになっていた)自衛隊が小学校等の避難所に設置してくれる仮設共同浴場に入りに行く・・・みたいな感じかな?
 ・・・それとも被害が少なかった地域のスーパー銭湯に皆で行くとか?

 いずれにしてもマンションで避難生活中・・・飲料と食事以外の水は使えないかも?と思います。

マンション住民は罹災の備え超重要!

 また別の機会にお話ししますが・・・罹災時にマンション住民は小学校等の避難所に避難するのではなく、マンションで避難生活を行なうことになります。・・・避難所での避難生活よりもマンションでの避難生活の方が圧倒的に快適だと思いますが、そのためには「備え」が超重要になります。(各個人ベースでも管理組合ベースでも必要)

 ここまで書いて・・・(貯水槽が地下に設置されている)うちのマンションのことを考えたら・・・貯水槽に行く手前で水道管に直結した給水設備(蛇口・水栓)を設置する必要がある!と強く思いました。今の状態では、全館停電した時にマンションのどこからも取水ができないからです。(逆勾配対策工事の工事仕様を検討する時に、緊急時の取水設備工事も織り込むことにします)

 なんか今回は脱線しましたが・・・次回は「罹災時に本当に必要な電気は何?」というテーマで、この続きをお話したいと思います。
  (つづく

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