さよなら前夜
20年とちょっと生きているが、人生で一度もいわゆる恋愛をしたことがない。人を好きになれないとか、恋に興味がないとかそういう話ではなく、単純に勇気がない。
この子は僕なんかに好かれて嫌じゃないだろうか、僕だったら僕みたいなのに好かれてたら嫌だなぁ、僕よりこの子を幸せにできる人がいるに違いない。
そんなことを考えていつまでもいつまでも告白だとか、そういう好意を伝えることができない。
そうしている間に僕が好きだった人には恋人ができて、その話を聞かされて少し死にたくなる。いつもそれだ。
僕は多分一生このままなんだろう。きっとこのまま一人で生きて、人知れず死んでいくに違いない。
人生100年時代に4分の1以下しか生きていない僕だが、この先の人生で好転していくとも思えない。
こうして更に僕は僕を嫌いになっていく。
こんな状況を変えたいけどなにもない。
僕には何一つ取り柄がないのだ。
頭がいいわけでも、顔がいいわけでもなく、運動神経が秀でているわけでもない。
資格も何ひとつもなければ(運転免許すら無い)、何も持ち得てないことに対する焦りもない。
4月、関わる人も、住む場所も、環境も、何もかもが変わる。
1月後、いや数年後、もしかしたら数十年後になるかもしれないけど、変わった僕がこれを見たときに笑い飛ばせるくらいの人間になっていたい。
過去の自分にさよならしたい、そんな夜だった。
ちなみにこれは学位授与式が迫っているが、卒業論文を書き終えてない僕の現実逃避でもある。
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