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夢日記#4 アテナイの銭湯

こんな夢を見た。

明るいまっすぐな道を歩いている。地面は舗装されていなくて固く乾いた白。左側に、立派な古めかしい木造平屋の建物があった。入口は格子戸になっていて、黒ずんだ木がどっしりとした雰囲気を醸し出している。ここは銭湯。その男湯の前に、半裸の中年男性が三人、座り込んで頭を突き合わせ、なにやら話をしている様子。

半裸だと思ったが、全裸かもしれない。横目で見たところ、三人とも腰回りにわずかに布をまとってはいるが、ほぼ裸のようだ。ラファエロ・サンティの名画、「アテナイの学堂」に描かれている古代ギリシアの哲学者、ディオゲネスにそっくりのおじさんたち。

わたしは女湯の入口から駆け込み、番台でむこうを向いて常連客と話し込んでいる女将さんに「あの、外に裸のおじさんたちが…」と訴えた。女将さんは、ゆっくりと向き直って「ああ…」と言ったものの、すぐに対応する気はなさそう。全然驚いてないので、よくあることみたいだ。

女将さんは、「いま、"オテラート"やってるからねえ」と落ち着いた様子で言いながら、安全ピンがついているリボン、小学生が運動会で体操服につけるようなリボンを差し出してきた。
ずいぶん細い、幅五ミリ・長さ三センチくらいの、ぺらぺらでチープな黄色いリボンを着けるように、身振りで促してくる。女将さん自身は、同じサイズのピンク色のリボンを肩に着けていた。

なんらかのアートイベントなのか。お寺なら"オテラート"だろうが、ここは湯屋なんだから"オンセナート"なのでは、と思ったが、おばさんの言葉尻をとらえるのもいかがなものかと何も言えずに了った。

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