映画『天空の村のピアノ』を観た。

ヒマラヤの峰の村にピアノを運ぶ『天空の村のピアノ』を観た。イギリスのピアノ修理屋がアップライトピアノをロンドンからカルギル地方(ラダック地方)のザンスカールという標高4000mぐらいのエリアのリンシェ村に運ぶという映画だ。なぜそういうことになったのかとか、財源がどうなのかとか主催は誰なのか、というのはなんとなくよくわからないのだが、とにかく世界的に類を見ない世界初の偉業であることは間違いないわけで、それをドキュメンタリー映画に記録したということがすごい。ピアノはもちろん分解して、到着後組み立てるわけだが、運ぶ過程で、弦も部品も相当壊れていくのだが、修理してなんとか弾けるようになるシーンはすごい感動だ。途中ヒマラヤの美しい景色にあわせてなぜかスクリャービンのソナタ4番の1楽章が流れる部分があり、スクリャービンとヒマラヤ、チベットとの相性のよさにもこれまたけっこう感動した。実際の主催は誰かわからないにしろ、主人公のピアノ修理屋と環境活動家の女性の姿勢とやり取りには心があたたまる。そしてヤクがぶったおれそうになりながらピアノの部品を担いで斜面をスキーのように滑り降りるところなど、こりゃ無理だろ~という場面の連続で目が離せない。重くて考えさせられる作品が多いアジアンドキュメンタリーズだが、この映画は美しい景色の中みんなで山の上の村へピアノを運ぶという、一種青春映画のようなさわやかさと軽さを持った作品でもありおすすめだ。


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