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机の上にはサボテンがひとつ。
名を、さぼちゃんといいます。
嬉しい時は、棘にキスをし
悲しい時は、一緒に日向ぼっこをします。

さぼちゃんと迎える、2度目の春。
春は育ち盛り。丁寧にお世話をします。
雨が多いから、数少ない晴れの日には
外に出して、風と日光にあてます。
丈夫そうに見えて、サボテンは繊細です。
少しでも手を抜くと
根腐れしたり、日焼けしたりしてしまいます。
"自分の思い通りにならないものを育てる"
ということは
独りよがりなわたしにとっては困難なことですが
ここまで成長したさぼちゃんを見ていると
少しずつ自分の成長を感じたりもするのです。

なにか、動物でも植物でも子どもでもいい。
思い通りにならないなにかを育てることは
自分を律することでもあるのでしょう。

私は、吉本ばななさんの作品が
とても好きなのですが
なかでも大好きな「キッチン」には
このような言葉があります。

本当にひとり立ちしたい人は、
なにかを育てるといいのよね。
子供とかさ、鉢植えとかね。
そうすると、自分の限界がわかるのよ。
そこからがはじまりなのよ。

吉本ばなな「キッチン」(H14 新潮社)

今春は、わたしにとっては変化の時期です。
新しい環境は苦手。
右も左もわからない場所では
自分を見失いそうになるから
自分を律しようと空回りしてしまう。
でも、そんなとき
さぼちゃんを育てたこと
共生してきたことを自信にして
ゆっくりと焦らず
歩んでいきたいなと思うのです。