王家の宝石 | 2月の誕生石 - 皇后ジョゼフィーヌのアメジスト
概要⠀
フランス皇帝ナポレオンの妻・ジョゼフィーヌは、ジュエリーが大好きでした。
そんな彼女が所有していたアメジスト、現在はスウェーデン王室管理のもと、代々受け継がれています。
つい最近、日本に来た事もあるんですよ!
何故フランスから北欧へ?
その謎も一緒に見てみましょう。
↓アメジストのセットを身につけた↓
スウェーデン・ヴィクトリア皇太子
名称⠀
ナポレオンのアメジストパリュール
(NAPOLEONIC AMETHYST PARURE )
※パリュールとは、フランス語で"お揃いの石や素材で作られた装飾品のセット"を表す。英語のスイート(suite)。
起源⠀
ナポレオンの妻、皇后ジョゼフィーヌの持ち物
宝飾メーカー⠀
不明
歴史
現在までの道のりを見ていきます。
①フランス皇后ジョゼフィーヌ
フランス皇帝・ナポレオンの妻ジョゼフィーヌの持ち物でした。
ナポレオンはクーデターでのしあがって皇帝になった為、「王家代々の宝石」といったものは持っていませんでした。
そこで彼は宝飾品や美術品を熱心に集めます。
それは、フランスを革命前の高級品やファッションの中心であった姿に戻したいという思いからでした。
彼はショーメの創業者であるマリ=エティエンヌ・ニトを公式の宝石商に任命し、ジュエリーを集めます。
ジョゼフィーヌは元々宝石好きだった事もあり、新体制の顔として様々な宝石を身につけました。ダイヤモンド、サファイア、エメラルド…
今回ご紹介するアメジストも、そんな彼女の持ち物の1つだったのです。
② アウグステ・フォン・バイエルン
ジョゼフィーヌより、長男ウジェーヌが結婚した際彼の結婚相手に贈られました。
ジョゼフィーヌが皇后に即位したのが1804年。
ウジェーヌが結婚して宝石を譲り渡したのは1806年。
せっかく集めた宝石をすぐあげちゃうの?という気がしますが、これには訳がありました。
実はウジェーヌ、結婚する前の年の1805年にイタリア王国の副王になっていました。
イタリア王国とは、ナポレオンが自らを国王として北イタリアに建国した国。
自分に忠実なウジェーヌを厚く信頼していたナポレオンは、いずれ義理の息子をイタリア国王に…と考えていました。
そこで、未来の国王と王妃に相応しいジュエリーを、という思惑で贈られたようです。
③ ユセフィナ・アヴ・レウクテンベリ
ウジェーヌとアウグステの娘であり、ジョゼフィーヌから見ると孫にあたります。
ユセフィナは、スウェーデン王オスカル1世に嫁ぎスウェーデン王妃となりました。
その際、このアメジストパリュールを引き継ぎました。
ここでナポレオンとスウェーデンが繋がったわけですね。
余談ですが、ユセフィナの夫オスカル1世の母は、ナポレオンの元婚約者。
パリとマルセイユで遠距離恋愛だった所、ナポレオンがジョゼフィーヌに熱を上げてしまい、2人の婚約を破棄してしまったのです。
すごいご縁ですね…
④スウェーデン王室メンバー
こうして、ジョゼフィーヌのアメジストはスウェーデン王室に管理されるようになりました。
今でもノーベル賞晩餐会などの機会に、王室女性メンバーが着用しているのを見ることができます。
↑シルヴィア王妃↑
↑ヴィクトリア皇太子↑
↑マデレーン王女↑
↑動画。マデレーン王女の登場は↑
0:47〜1:32くらいまで
↑国王長男の妻・ソフィア妃↑
ところで、上に挙げた画像、皆さんアメジストのティアラを着用していますよね。
実はこれ、元々ネックレスだったそうです。
これをティアラに作り替えさせたのが、現在のシルヴィア王妃。
ネックレスとしては重かったことと、スウェーデン王室にアメジストのティアラが無かったのが理由のようです。
ちなみに、こちら↓でネックレスとして着用している画像がご覧頂けます。
着けているのは、現在の国王の姉であるクリスティーナ王女です。
皇居での写真
さてこのアメジスト、以前日本に来たことがあると冒頭でお話しました。
いつの話かと言うと、2019年10月、天皇陛下の即位礼正殿の儀の時のことです。
スウェーデン大使館の写真をお借りしてご紹介します。
↓↓↓
写真1・2枚目を思いっ切り拡大して頂くと、赤いサッシュに留められているのがアメジストのブローチである事が分かるかと思います。
皇居での動画[2022. 2. 6 追加]
上の写真の動画バージョンです。
1:45:10 辺りと、2:30:29 辺りから数秒間、アメジストのブローチが映ります。
(高画質ですので、可能であればタブレットやテレビで見るのがオススメです)
当時とはまた違う目線で、是非どうぞ。
おわりに
ジョゼフィーヌが所有していたジュエリーは、このように北欧の王家に引き継がれたものも何点かある一方、ルーヴル美術館をはじめとする国内外のミュージアムに展示されているものもあります。
そのような博物館の展示品レベルのジュエリーが皇居にやって来たという事実を知った時は感動しました!
本日もお読み下さり、ありがとうございました。
参考
カバー画像: unsplash
twitter:
@saadsalman719 (The Royal Watcher)
@courtjeweller
@StudioTara
@Lauradekkrs
@EmbSweTokyo (スウェーデン大使館)
@FenderMinerals
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