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怪我をしたらすぐアイシングするけど、実はしないほうがいいかも?という話


どーも鍼と灸えんの渉です。

アイシングについてとても興味深い論文を見つけました。

神戸大学大学院保健学研究科の荒川高光准教授らの研究によると

肉離れの様な筋肉の損傷が激しい症状の場合、アイシングをすると回復が遅くなってしまう。
逆に、軽度の筋肉の損傷の場合はアイシングによって回復が早くなる。
という結果が得られたようです。
(因みに実験では、損傷直後から 30分のアイシングを2時間毎に3回×3日間 計9回行われています。)

今までもアイシングの有効性について色々と検証はされてきたようですが、いずれも筋肉を20%程損傷させて、肉離れのような状態にしてから検証するものしかなかったそうで、
今回の検証では、筋肉の損傷を4%(激しめの運動、長距離マラソンをした程度)に抑えたことで この違いがわかったようです。

回復を早めたり遅めたりする要因は「マクロファージ」


マクロファージとは、よく聞く白血球と呼ばれる物の1つで、体の中で怪我や病気等で炎症が起きた場合 素早く駆けつけ、炎症を起こしている原因を食べてくれる良い奴です。
しかし、筋肉の損傷後 直ぐに来る頑張り屋の「炎症性マクロファージ」というのが、頑張りすぎるせいか 炎症を広げてしまう物質を出してしまい逆に炎症を広げてしまいます。

筋肉の損傷が少なかった場合、余計に炎症を広げてしまい治りが遅くなってしまうようなのですが、アイシングをすることで この炎症性マクロファージの増加を抑え炎症が広がるのを防いでくれる働きがあることがわかったそうです。

因みにこの「炎症性マクロファージ」はしっかり働いた後、「抗炎症性マクロファージ」になるとされています。
実は、自分で広げた炎症もキッチリ治めて帰るかなりできるやつです。

逆に肉離れの様な、筋肉の損傷が激しい場合、アイシングをすると この「炎症性マクロファージ」が来ないことで治りが遅くなってしまうようです。

先程説明した通り、「炎症性マクロファージ」は「抗炎症性マクロファージ」に変わると想定されています。

マクロファージの仕事は炎症を治めるだけではなく、筋肉が傷ついた時に出るゴミのような物を片付ける作用もあります。
筋肉の損傷が軽かった場合、ゴミも少ないせいか、炎症性マクロファージの力を借りなくても治るのですが、肉離れの様に損傷が激しくなると、マクロファージに一旦綺麗に掃除をしてもらい「抗炎症性マクロファージ」に炎症を治めてもらう。
という流れが必要になってくるようですね。

この働きを考えると、「長距離のランニングや激しめの運動で出る程度の痛みにはアイシングをする。」「肉離れ等の筋肉の損傷が大きい時にはアイシングをしない。」が正解になりそうですが、実際アイシングをすると どちらの損傷の場合でも鎮痛効果は見られるので、痛みに苦しんでいる時はアイシングに頼ってしまいそうですし、アイシングが必要かそうでないかの見極めも難しいところですね。

ただ、1日でも早く回復を望むなら明らかな肉離れのような時はそのままにしておくのも有りかもしれません。

今後の研究にも注目ですね。

ではまた!

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