赤城山
赤城山躑躅が凍る湖畔の朝
ゴールデンウィークに、群馬県の赤城山へ行った。
真っ赤な種類のツツジが咲き乱れていた。
赤城山は、春夏秋は登山、冬も大沼という湖でワカサギ釣りができ一年中レジャーを楽しめる。
宿は歴史のある古い旅館、「青木旅館」に宿泊した。
この旅館は、蔓延元年から赤城超えをする人のお助け小屋なるものをされていて、明治元年に赤城山が御料地となり、明治8年から旅館として営業されてきたらしい。
一日目は雨で、宿の中でのんびりし、翌日、赤城神社へ行ってから、絶景の見える峠へ行き、覚満淵という湿原を歩く予定だった。
未就学児童には赤城山の登山は難しいだろうということで、平坦な道をハイキングしようと考えた。朝9時に宿を出発したら気温は10℃くらいだった。肌着とポリエステルの長袖一枚に、ウィンドブレーカーだけの私たち(夫、息子、私)の3人は、あまりの寒さに凍え、日が高い時間帯になれば違つだろうけど、屋内で時間を潰す方法もなく、覚満淵はとうとう諦めた。
峠の展望台へ向かったら、良い景色が拝めたので、良しとした。
この峠は、旧いケーブルカーの赤城山山頂駅があった場所だ。
峠の展望台からの眺めは絶景で、雲が水平に視線の先に見える。
用心深い装備をした登山客の人々が、それぞれの水筒を手に、絶景を眺めていた。
その同じ列に並んでいる、近所のコンビニに行くような格好の自分は場違いだった。
誰も私のファッションなど見てないだろうが…と、肩をすぼめながら展望台のロッジに入ったとたん、女将さんらしき人が、「あらまあ、薄着できたわねえ〜、ここはまだまだ冬よ」と私と息子の肩をさすりながら、話しかけてくれた。
私は愛想笑いをしてからホットココアをレジで注文した。
ロッジのすぐ横には、かつてのケーブルカー用に削られた山肌と、ケーブルの跡が見える。
昭和32年から、42年まで、ケーブルカーが通っていた。
10年で廃線になったのは、登山客だけでは回収できなかったからだろうか。
道路ができてみんなマイカーを持てるようになったからかな?
巨大な斜面のスキー場は無いが、冬はスキーができそうな山だ。
昭和の終わりか、平成の初めには、群馬県内にも山を削ってスキー場がたくさん作られただろうけど、赤城山には大規模なスキー場は見当たらなかった。
「登りてえなあ」登山好きの夫が、眩しそうに登山客を見てつぶやいた。
また来ようね。
(終わり)
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