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真夏の海(2/2)鎌倉・横浜中華街

坂上る女士官の白日傘

葉山の海岸で遊び、お昼ご飯を食べてから、午後は鎌倉に行きお墓参りである。

コインシャワー代をケチる女房のおかげで、夫と息子は、ペットボトルに水道水を入れて体を洗った。
そして、端にゴムが入っているバスタオルを巻いて、テルテル坊主になって車の影で洋服に着替えた。
当の私は、ウェットティッシュで身体を拭いて、車中で隠れながら着替えた。

葉山から鎌倉までは30分で着くが、車道は勾配が多くクネクネした道が続く。

道路わきにはロードバイカーや、一年中小麦色の肌をしているのではないかと思われる、いなせなサーファーファッションの人々が行く。

その中に真っ白いシャツとスラックス、白い帽子姿の、若い女性自衛官が三人いた。
そのうち二人は制服と同じ色の日傘をさしていた。
マスクの下に隠されていても滲み出る若さの、颯爽とした凛々しい水兵さん姿に思わず見惚れた。

反対車線はひどい渋滞だった。
いつ来ても酷い渋滞だ。
鎌倉に自動車で来るメリットは有るのだろうか。

お寺に到着しお墓参りした。

いい嫁アピールをするためにお墓をきれいにしようと私は張り切ってきたのだが、既にピカピカだった。

数時間前に、義母がきてお参りをしたらしいことがわかった。


お寺の境内の道で、体長5センチほどの、細身の黒い毛虫をたびたび見つけた。
頭とお尻が2、3ミリオレンジ色で、動き方は尺取スタイルではなく、全身を横に波打たせて進む虫だった。

観ていると不器用な動き方で、健気に進んでいる。
触るとこちらの肌がカブれそうだが、可愛い毛虫である。

そばの木の枝に、茶色の羽根に真ん中が一部鮮やかな黄色の羽根を持つ、モンシロチョウほどの大きさの蝶が飛んでいた。

あの毛虫がサナギになって孵ったら、きっとこの蝶になるのだろう。


お寺を出てから、車で横浜に移動した。


鎌倉は落ち着いた大人むけの雰囲気の飲食店が多い。

名物の浜焼きやシラス、けんちん汁がとても美味しいのだが、私には鎌倉の飲食店は入りづらいのである。

我が家はだいたい鎌倉に来ると、横須賀か横浜に移動して遊んでから、晩御飯である。

夕方の横浜中華街


横浜中華街に着いた。

たくさん遊んで忙しい一日だったから、もうなんでもいいから、とにかく入れそうなお店を探した。

偶然見つけてお邪魔したのは、中国東北地方名物と看板が出ている串焼き屋さんだった。

気がつけば今日は八月十五日である。
この日に中国東北地方の伝統料理をいただいたのは偶然だろうか。

ジュースとハルビンビールで乾杯。

中国東北部のバーベキューは、具に、シナモン、八角、グローブ、陳皮などの数種類のスパイスがまぶしてあり、少し甘辛い味付けだった。

注文して、出来上がったものを女将さんが運んでくれる。

うずらの卵、椎茸、インゲン、鳥の手羽先、もも肉の他に、珍味のザリガニというのがあったので、注文した。
身の少ないエビのような食感だった。

どれも美味しいが、結局オーソドックスな鶏手羽先が一番美味しかった。

最後に「チャイナモヒート」という名のカクテルを飲んだ。
ホワイトラムの代わりに白酒、ミントの代わりにパクチーが使われている。

これが意外にも、スキっと爽やかで、かなりいけるのである。  

(終わり)

私も異国人ね


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