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第10回 角地が良いと言われる理由(共通比率で実証)

共通比の計測方法

以前の投稿では車の共通比率について説明しました。共通比率を計測すると「自店の前を通る車のうち、何%が競合店に向かうか?」あるいは「自店の前を通る車のうち、何%が競合店から来るのか?」がわかります。
この記事では共通比率を使ってロードサイド立地での角地の優位性について実証してみましょう。
①自店が中地にあり、競合店が角地に出店した場合(図表①)
自店の先に競合店がある場合、お店から歩いて交差点に向かい「自店を背にして交差点の手前に立ちます」その位置で自店の方から来て自分の横を通り競合店に向かう車の流れ(赤矢印)を「共通の流れ」、自店の方から来て自分の横を通り競合店以外の方に向かう車の流れ(青矢印)を「非共通の流れ」とします。それ以外の車の流れは計測対象外です。
それでは共通比率を計算してみましょう。計算方法は「共通比率=共通台数÷(共通台数+非共通台数)」数値を当てはめると(60台+5台)÷(60台+5台+5台)で92.9%となります。つまり自店の前を通る車のうち92.9%が競合店と重複しています。

スライド1


②自店が角地にあり、競合店が中地に出店した場合(図表②)
先程と位置関係が入れ替り、自店が競合店の先の角地にあった場合はどうでしょうか。自店の前が交差点なので、自店の駐車場の端で「自店を背にして交差点の手前に立ちます」その位置で競合店の方から来て自分の横(駐車場に接する店)を通る車の流れ(赤矢印)を「共通の流れ」、競合店以外の方から来て自分の横を通る車の流れ(青矢印)を「非共通の流れ」とします。それ以外の車の流れは計測対象外です。
それでは共通比率を計算してみましょう。(60台+5台)÷(60台+5台+40台+10台+10台)で52.0%となります。つまり自店の前を通る車のうち52.0%が競合店と重複しています。

スライド2

noteアイコン(競合調査)


角地出店の注意点

このように一見同じ通行量に見える前面道路でも中地のお店は角地に競合店が出店する事で甚大な影響を受けます。今売れている中地のお店はたまたま周辺の角地に競合店が出店していないだけかもしれません。現状だけを見て中地でも売れると過信する事は非常に危険です。反面お店が角地にあれば中地に競合店が出店したとしても影響度は低く、共通比の差以上に優位性を確保できます。ただし角地であればどこでも良いわけではありません。以下のような条件に注意してどの場所がベストポイントか見極めましょう。
①活きた側面道路を持つ角地である事
高い優位性を確保するには、競合店に対しての共通比が出来るだけ低く抑えられる事が前提です。そのためには側面道路に適度な通行量が必要です。側面道路に適度な通行量があるということは背後に商圏がある事を意味しており、背後に商圏があるという事は共通比率にかかわらずその商圏に対して中地の競合店より近くて便利です。故にその角地が出店戦略上のポイントということになります。
②立地に合った店作りが出来る事
前面道路と側面道路の通行量に対応できる駐車場面積(1500㎡以上)を確保出来る。十分手前(100m以上)からサインポールやお店が視認出来る。出入りのし易い進入口がある。渋滞ポイントではない。等の条件を満たしている必要があり、これらの条件が未達の場合は中地の競合店に対する優位性を必ずしも確保できません。
③煩雑な交差点に注意
活きた側面道路を持つ事の重要性をお話しましたが、注意したいのは前面道路と同じくらい側面道路の通行量が多い場合です。このような場所は交差点の通行が煩雑になる為、駐車場の出入りがし難くなる傾向があります。このような通行量の時は、前面道側の別の角地で1箇所、側面道路側の別の角地で1箇所と合計2箇所の出店ポイントが出店戦略として作れる場合がありますし、実際にその2箇所に競合店に出店された場合、一見ベストポイントに見える角地の場合でも競合店に挟まれて苦戦する可能性があります。


ご自身で見つけた場所や本部から出店を打診されている場所が中地の場合は、周辺の活きた側道を持つ角地に出店余地がない事、その角地に前述の立地要件(駐車場面積、視界性、接近性)で店が作れない事を慎重に確認した上で進行して下さい。今回はロードサイド立地で車の共通比を使って角地の優位性について説明しましたが、駐車場のない住宅密集地やオフィス、繁華街立地のお店でも同じように車の流れを人の流れに置き換えて考えることが可能です。人の流れの集まる場所がどこなのか?を意識して街を歩くと次に出店すべきベスト立地が浮かび上がってきます。是非あなたの街を商圏データを手に歩いてみてはいかがでしょうか。

noteアイコン(お店の商圏)

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