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第5回 お客様の行動パターンを知る


顔の向きとは?

日常生活の中で私たちの外出行動には大きく分けて二つの行動パターンがあります。
それは毎日の通勤通学の行動パターンと買物の行動パターンです。お店の周辺に住む人々が通勤通学時にどのルートを通り(どこを歩き、どこからバスに乗り)どちらの方向(駅などの交通拠点)へ向かうのか?また買物時にはどのルートを通り、どちらの方向に向かうのか?それぞれを『通勤の顔の向き』『買物の顔の向き』と呼びます。顔の向きの強さは同じ行動パターンを取る人が多い程、そのパターンが繰り返される頻度が高い程強くなります。
通勤の顔の向きは決まったルートで毎日同じような時間帯に駅に向かって集中的に発生する為、強い顔の向きを生み出します。一方で周辺に複数のスーパーやショッピングモール等がある場合、それぞれ利用するルートが異なる上、毎日繰り返される訳ではないので買物の顔の向きは弱く分散しがちです。まれに非常に支持の高いスーパー等が市場を独占している場合は通勤の顔向きと同じように強い顔の向きとなります。
これらを踏まえてコンビニエンスストアの出店戦略では、特に通勤の顔の向きを意識してその流れに乗った一番立地を選定する事が重要です。強い顔の向きの導線上に出店したお店は利便性の高いお店としてお客様から支持され続け、競合の出店にも負けないお店となります。

noteアイコン(お店の商圏)

分水嶺とは

一方で周辺を見渡すと住宅や事業所の密集度は高いのに売上が芳しくないお店を調べると、何故か歩行者数が少ない事があります。その理由のひとつに顔の向きの分水嶺(ぶんすいれい)があります。
分水嶺の本来の意味は、山脈に降った雨が太平洋側へ流れる水と日本海側へ流れる水に分かれる嶺の位置です。これを人の顔の向きに置き換えて使うことが良くあり、お店の商圏から二つの駅に向けて人の動きが分かれる場所のことを示します。端的に言えば駅と駅の中間地点辺りのことです。
分水嶺がお店の場所と重なってしまうと人の動きの真空地帯になってしまい住宅や事業所の密集度に見合わず歩行者が少なくなってしまうのです。このような場所では歩行者が少ないからと言って駐車場を設置して車客で売上を補完しようとしても上手くいきません。

スライド1

分水嶺の見分け方

さきほど分水嶺となる場所は端的に言えば駅と駅の中間地点辺りと書きましたが、実際にはそれぞれの駅までの距離だけの長短で決まるのではなく、双方の駅の持つパワーによる綱引きで変わります。
駅のパワーとはその駅の持っている特性から決定されます。ここで皆さんが普段、駅を利用する時に複数の駅から選択出来るとしたら、どのような選び方をするか想像してみて下さい。
自宅からみて二つの駅が同じ距離だったら、会社や学校に近い都心方面の駅を利用した方が楽だと思う人が多いでしょう。各駅停車しか止まらない駅より、快速や特急が止まる駅から乗った方が早く目的地に着くため利用する人が多いでしょう。一方で時間が掛かるかもしれませんが、片方の駅が始発駅であれば必ず座ることが出来るので少し遠くても利用する人がいるでしょう。また駅のパワーは同じだったとしても家の近くにあるバス停から向かうほうの駅であったり、バスの便数が多い方の駅に利便性を感じて選ぶ事が多いでしょう。このような選ばれ方で分水嶺となる位置は綱引きのように変わります。その場所を見極める為には朝の人の顔の向きを確認する事がとても重要です。※夜は帰宅時間が朝よりも人の流れが分散するので見極め難くなります。

スライド2

今来店していない新規顧客を掴みましょう

もし既にお店が分水嶺となっているような場所にあるとしても、住宅の密集度が高ければ売上を上げる事は可能です。お店の周辺を歩いて、どこに住んでいる人がどんな顔の向きを持っているのか?を確認し、お店に対して顔の向きのないエリアを見定め、そこに重点をおいてポスティング等の販促を行いましょう。先月号でもご説明した通りそこに住む人、働く人は今現在はお店の前を通っていなくても、あなたのお店を『近くて』『利便性が高い』と感じていただける可能性のある人です。周辺にどんな家族構成で、どんな年齢層の方が住んでいるのか、あるいは働いているのかを確認し、お店の品揃えを見直して新規顧客を開拓しましょう。※『いい店つくろうドットコム』HPではお店から歩いて5分以内の最寄り商圏のデータをわかりやすいビジュアルでご提供しています。

noteアイコン(お店の商圏)

周りの商圏を知り、新規顧客を獲得するという行為を意識的に行わない限り売上を大きく変えることは出来ません。新規顧客を増やす事は既存顧客の来店頻度を上げる事に較べて約3倍もの効果が見込めます。是非最寄り商圏を歩いて潜在顧客の多さを知り、お店を元気にしましょう。

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