文字に色を感じたりするのは特段役には立たぬが楽しい

小さな頃から、
「この数字にはこの色、この文字にはこの色」
みたいな直感的なイメージがあったのけど、この感覚に「共感覚」という名称があると知ったのはもう少し後になってからだった。

初めに言っておくとこれは特別な能力でもなんでもないし、多分わりかし多くの人が持ってるであろう感覚だとも思っている。
色と字を紐づけるスピードがそれぞれ異なるだけで、私はたまたまそれがほぼ同時に浮かぶだけ。
それに同じ文字でも思い浮かぶ色が同じとは限らない。

…というのを知人に伝えたらまあまあ驚かれたので、やっぱり皆が皆この感覚を持っているわけではないのかもと思い、自分なりにこの感覚を掘り下げてみることにした。

参考までに、まずは私のイメージする平仮名の色を載せてみる。


次に数字の色も。


「あ」と「1」が赤なのは割と共通認識なんじゃないかと思っている。
もうこれは共感覚でも何でもなく
1番=戦隊モノのリーダー=赤
っていう古典的なイメージが無意識下に刷り込まれているだけですね。

ちなみに色と同時に性格みたいなのも見える。
数字の1から10まで書き出してみると、
1はカリスマ性溢れる主人公気質
2は綺麗な声でコロコロ笑う少女
3はちょっとツンツンしてるおませな少女
4は艶やかな妙齢の女性
5は冬でも短パンのガキ大将
6は趣味が都市伝説漁り
7はざっくばらんで感じの良い人
8は厭世的なニヒリスト
9は飄々としているけど真意が読めない
10は豪傑な資産家
のイメージ。

直感で書いてみたら情報量も世界観もめちゃくちゃだな。
とにもかくにもこんな感じです。

単純な文字だけでなく、人や物の名前にも色を感じる。
ただ、物に関してはリンゴとかオレンジとかそのもの自体の色が直結することが多いのに比べて、人の名前は複雑で面白い。
一文字ずつが赤!青!黄色!と鮮やかな原色を放っている人もいれば、名前がパッと出てこない絶妙な色が文字を跨いでグラデーションしている人もいる。
そして何が一番面白いかというと、名前から感じる色味は大抵その人自身の性質を表しているように感じることが多いということ。

プライバシーを尊重するべく名前は出さないものの、
たとえば私の友人は橙色と水色を感じる名前を持っていて、
ユーモアも冷静さも兼ね備えている彼女にとっても似合うな、と思っている。

他にも明るい赤とグリズリーの毛みたいな茶色を感じる名前の友人は、
普段は快活だけどここぞという時に暴力的なセンスを発揮する。

かと思えば掴みどころのない知人は、文字の色もぼやぼやしてイマイチ見えてこなかったりする。

そういう、名前の持つ色とその人自身が持つ性質の結びつきみたいなものを感じると、
いとをかしというか物の哀れというか、
とにかく不思議な気持ちに満たされていたく感動する。

なんだか雲行きが怪しくなってきたのでもう一度念押しすると、これは別にオーラが見えるとか特異な才能では一切ございません。
ただただ私が友人のことをより一層
「いいわあ〜」と思うか、または
綺麗な色だよってことを伝えて一緒に
「いいわあ〜」となるだけです。
でもこれはちょっと楽しいです。

頭の文字を一つ変えるだけで全く違う色味になったりするのも面白い。
例えば音楽を作る時の私の名前は水瑛だけれど、本当の名前は寿瑛と書く。
このふたつ、読み方は同じでも個人的には全然違う色をしている。

寿ってめでたすぎんかという点はさておき、
この並びだと私は赤とピンクのグラデーションを感じる。
大切な名前で有ることには違いないが、この色では自分で認識している自己イメージとは若干異なる気がして少しこそばゆい。


だけど、これが水瑛になると途端に色を変える。
水と瑛が連なることで水色と青のグラデーションが見えるし、
光る海面が見えるし、何なら魚が泳いでいる。


…自画自賛が過ぎました。
だけど「こうありたい」という憧れの意味でも、音楽を作るときの私の名前はやっぱり水瑛がしっくりくるなとしみじみ感じている。

と、ここまで文字ひいては名前に色を感じると言っておきながら本末転倒かもしれないけど、書いているうちにふと、名前に関しては後から色が付いてくることもあるのかもしれないと思った。

あらゆる理由で絶対的に自分の名前が好きになれない人もきっといる。
けれどその人自身の人生が厚みを増すにつれ、レイヤーが重なっていくように名前が発する色も複雑味を増していくのかもしれない。
或いは私のように自分が望む色味を持つ新しい名前を自ら手にするのかもしれない。
何も出生名じゃなくたって、自分にすっと浸透していく名前を見つけられたらそれだけでも幸せなのかも。

文字に色を感じるという話をしてまいりましたが、実は音にも色を感じます。
ただ音に関しては話が複雑化し過ぎてしまうので、今回は文字に焦点を当てて掘り下げてみました。
生まれた時からずっとある感覚に改めて向き合ってみるのは中々面白かったな。


最後に一つだけ。
個人的にOfficial髭男dismはメイリオって感じがするけど、King Gnuは明朝体って感じがします。

#エッセイ
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#共感覚
#散文


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