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自意識千年ローン

一度やらなくなったことをもう一度始めるのは中々難しい。
さっきまで嬉々として参加していた大縄跳びから一度出てしまったが最後、もう一度入るタイミングを延々と見計らっているみたいに。
これは創作活動、語学学習、料理、運動、人付き合い全てに言えることだと思う。

大体の場合、最良のタイミングなんてものは自分の思い込みで、何事も始めるのに早いに越したことはない。
頭ではそう分かっているのに、なぜかいつも「キリの良いタイミング」なんてものをスタート地点に設定しがちである。

時計を見たら8時52分だったから9時から始めよう。
もう月末だから月初から始めよう。
そうやって繰り越し繰り越しやり過ごし、ふと振り返ると千年ローンか?と思うほどパンパンに膨れ上がった自意識がこちらを見下ろしている。

「今更やったら笑われるかも」
「また失敗したら立ち直れないかも」
「こんなに時間がかかったのだから、それ相応の成果を出さないと」

内訳をざっとまとめるとこうである。

このローンを返済するには、腹を括ってやめていたことにもう一度向き合うか、思いっきり切り替えてローンなんて初めから存在しなかったことにする他ない。
どちらもできないというのなら、一生このローンを背負って生きていく覚悟をしなくちゃならない。

とはいえ、一体どれだけの人が自意識ローンを完済して生きていくことができるというのだろう。
人の中には多かれ少なかれ「やめたこと、やらなかったことへの後悔/やりたいことへの怖れ」があって、少し減らせたと思ったらまた増えたり、数年越しにローンの存在に気づいたりするのかもしれない。
あるいは、「なんだかんだローンに苦しんでいる自分が好き」という人もいるかもしれない。
それは他人がとやかく言うことではない。

話は変わるが、私はクレジットカードを使うのがあまり好きではなく、買い物の際はできる限り現金もしくはデビットカード(使った分が即口座から引き落とされるカード)を使うようにしている。
どうしても大きな買い物をする必要に迫られた場合は、なるべく分割にせず一括で買うようにしている。

この習慣自体は別に珍しくもなんともないが、人一倍せっかちな私はとにかくチミチミ払うのが苦手で、「どうせ払うなら一思いに払って楽になりたい」と思う性質である。

その癖、こと自意識に関しては、どうしてこうも長年うじうじチマチマと蓄積しているのか!
はらえ!はらえ!さっさと完済!はらうぞ!(お好きなリズムでお読みください)

なんだか「ローンのように蓄積した自意識」なんて上手い感じのこと言ったけど、とどのつまり「やろうと思ったことはなるべくすぐにやった方がいいよ」という自戒を込めたお話でした。

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