【読書】ハラスメントの境界線 白河桃子
セクハラ、パワハラの観点から企業、社会の構造に切り込む。
たかまつななというお笑いジャーナリスト(ジャーナリズムに関してはファクトチェックなどかなりガチな人)のYouTubeチャンネルに白河桃子さんが呼ばれていて本書を知った。最新のハラスメント情報満載。
どちらかというと、会社の人事、コンプライアンス部門の人が、どう考えると、今の時流にそくした変化ができるかが書いてある。
危険な職場で、危険な行動を職員がしたら、そりゃ怒鳴る。そういう意味でパワハラは難しいが、書類を投げつける、机を殴る、それも常習的に、というのはパワハラでしょう、というような、柔軟で、ハラスメント認定がどうなされるべきかが書かれている。
セクハラ通報も、一回目ではイエローカード、それでも続いたらレッドカードで懲戒処分、という企業もあるなど、具体的で興味深い事例満載。
ダイバーシティ(多様性)など、21世紀らしい新しい倫理の実際を浮き彫りにしてくれる本。
どこまでがセクハラ?パワハラ?ということも書いてある。
ハラスメント的な行動も、反復されることでハラスメントになる、というのも、弁護士などにもある認識を示してくれている。
長時間労働の是正、テレワーク、フレックス制の導入なども男女ともによいことであると言っている。
エヴィデンスということばを白河さんは使うが、やっぱり本の最後のほうでは、学術論文レベルの正確さを超えた「書きたいメッセージ」が書かれているようには感じた。
そうなったらいいな、までではなく、そのためには読者である僕も努力しなければならない、と思ったが、それも狙いなのだろう。モラルの問題だから。しかし、激流に放り込まれる感じはない。
さまざまな変化は法律や社則などを叩き台に多く語られていて、希望が示されている。
驚くようなハラスメントの統計もあるが、その重さが輝かせる、希望の書。
知らないより知れてよかったことが多い。
買ってよかった。
白河桃子さんの日本よ変われ!という想いに協調したい。
あってはいけないことが、やはりまだあるようだ。
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