マガジンのカバー画像

これは小説です。

71
勢いで初めてみました。 短編小説を投稿していく予定です。マガジン名悩み中。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

「死」になる。1

「死」になる。1

 私は今84歳であり、夜の9時ごろであったか病院の中で、深い眠りについた。
何時ごろであっただろうか?誰かが私の身体を触った。足先から行き、頭の先まで筆で全身を触られるようであった。
 一体何なのだろうかと目を開けようとした所で気付く、目が開かない。声を上げようとして口も開かない。鼻も動かない。
 手も足もどこも動くことはできない。五感はある。耳が聞こえる、触れられていることも分かる。
 植物人間

もっとみる
澄んだ池は思考する。1

澄んだ池は思考する。1

その池とても澄んでいて、一片の澱みなどない。

町の中でもその池の場所を知るものはほとんどおらず、そのためその池は綺麗だと思われていた。
 
今の時点まで僕はそう思っていた。

目の前で飲まれていく友達を見てただ茫然と立ち尽くすことしかできなかった。

腰元までしか深さのない池の中に友達が悶え足掻いているさまを池の端から眺めることしかできなかった。

友達とはここを秘密の場所としていた。今までもそ

もっとみる