- 運営しているクリエイター
2020年6月の記事一覧
私が六月を食べました。
私が六月を食べてしまったことに私以外誰も知らない。
六月に生まれるはずのすべてが、六月に消えるはずのすべてがもう二度とないことを私以外の誰も知らない。
私に六月を食べさせる原因を作った悪魔が言った。
「今日は過去に手紙を書いていいよ」
って、だから私は過去に手紙を書いている。
この手紙が六月に届きますように。そしてあわよくば昔の私に届きますように。
六月は食べてはいけない。
六月
蜂蜜に漬けられている
その木小屋の屋根の板には黒いぬめりを帯びた苔が生えており、わずかに緑の草が何本か生えている。
小屋の壁は見るからに朽ち果てていているが、誰かがカラースプレーで落書きをした文字が鮮やかに描かれており、左には誰だかわからない西洋人らしき男の顔のシールが貼られている。西洋人男性の顔のシールには防水加工がされており、その木小屋のキャラクターかのように貼られている。
はっきりいって誰がどうみても廃屋