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短歌・詩

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2019年1月の記事一覧

五月雨緑 覚書 飲冷麦 常夏哉

夜行バスの詩

夜行バスの詩

「会いたい気持ち」を30個乗せたロマンを他に知らない。お金がないけど会いたい、どうしても会いたい、眠れなくても、窮屈でも、本当にお金がないけど、それでも会いたいという気持ちが真夜中の高速道路を駆け抜けてゆく。

解放だ、15分の解放だ。少し明るくなる車内で偽物の朝を迎える。降りて見上げた星空で、君のことを考える。今なら一遍くらい詩が詠めそうだ。小学生の頃にやらされたありきたりなストレッチをして寝場

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ふんわりの詩

ふんわりの詩

ふんわりふんわりしているけれど、僕の心臓を通すと途端に角ばったトゲに変わる。ふんわりが悪いわけないし、心臓だって悪気はないし、誰だってふんわりをふんわりのまま満ち足りたいのに、どうしてだろう、トゲに変えてしまう。トゲが悪いものってわけじゃないけれど、トゲは痛いから苦手って言われてしまう。トゲだって悪いことしてるわけじゃなくて、トゲはトゲとして生まれたからそこにあるのに、隣にふんわりがあるとまるで悪

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【詩みたいなもの】とり

【詩みたいなもの】とり

障害物を避けるのが得意な鳥は

人間のお家をくぐり抜けて

町を上手に飛べばいい。

障害物を避けるのが苦手な不器用な鳥は

大空を飛べばいい。

飛びたい方、飛んで。

好きな方、飛んで。

人間も。

見知らぬ人の詰め合わせ

西千葉のアパートから見える電車に詰められた人、人、人。
どんな事情か知らないけれど、「千葉駅に向かう」という共通点だけを持ち合わせた他人たち。
今ここで僕が、倒れたとしても、誰も助けてはくれないでしょう。電車の中から見えないでしょう。

僕には電車の中が見えるのに、君からは僕が見えないでしょう。

認識するのはお互い様じゃないよって、バレンタインにチョコを20個もらう君を見て悟った。僕の好きな人は

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