未来のために事業にこだわっていく
少しづつ変わってきていますが、スポーツ界ではまだビジネスの話を強めるとファンをはじめ一部のステイクホルダーの皆様に敬遠されることがあります。Bリーグの掲げる将来構想も事業力をもってB1.2.3というカテゴリーを区分けするという大きな決断をしました。度々、反発を受けることがあります。
では、事業力とは?クラブの集客力、クラブの稼ぐ力を推し量る売上高、地域や企業の投資を呼び込む巻き込み力が問われるアリーナ新設または改修、と簡潔に定義しています。夢のアリーナは顧客満足のみならず、ファンの観戦体験のレベルを劇的に向上させます。サイズと質の向上は地域の活性化に直結し、新たな投資を呼び込むことにも繋がっていきます。
事業力をつけていかないと当然のことながらクラブは成長しません。強化にも投資ができないので上のカテゴリーに上がることも難しい。真の意味で地域社会に貢献する存在にもなり得ません。下位のカテゴリーで存在するだけで構わない、ファンも少なくても良い、選手・スタッフも職業環境として厳しくてもいい。ということであれば全く問題ありません。
しかし、プロリーグのプロクラブである以上、選手、スタッフの待遇を上げていきたい、地域に対して少しでもポジティブな影響力をもたらしたいというのであるならば事業力を高めていくことは避けては通れません。事業力が高まらなければファンをはじめステイクホルダーの皆様が幸せになることはありません。
事業力を高めることから目を背けることは、回り回ってファンをはじめステークホルダーの皆様の期待を裏切ることにも繋がると考えています。クラブが存在することの最低限の意義は果たせても、それ以上にはなりません。バスケの普及も強化も子供たちへの夢のあるような舞台の環境整備もできないのです。だからこそ、事業環境の改善が進む仕組みに変えていかなくてはならないのです。
いくら競技力があって、強くてもお客様がガラガラのアリーナでは意味がないのです。それでは過去のバスケ界に戻ってしまうことを意味し、一部のコアなバスケ好きな方にしか届けられないものになります。また、地域の皆様のために活動しない、活動する余力がないではプロとして役割を果たしているとは言えないとも思います。今すぐは難しくてもそうならねばならないと考えなくてはそうならないし、あらためて多くの人にこのメカニズムを知ってほしいと思っています。
スポーツ界は特別ではなく、一般的な業界と一緒、ビジネスとして価値を産んで収益を確保して事業継続、発展のために人、ものに投資していけるグッドサイクルを作り出さなくてはなりません。だからこそ、この業界に関わる人達は、スポーツ、バスケの価値に甘えることなく知恵と行動と覚悟が必要だと思います。
この業界で働く人たちが、バスケ好き、スポーツ業界で働くのが夢だったと門戸をたたいてくる人たちにとってやりがい詐欺のような業界ではダメなのです。ようやく選手たちは活躍に応じて年俸があがる業界に変わってきました。本当に嬉しいことです。
しかし、この業界にいるのは、選手だけではなく支えるスタッフや一緒に事業・興行を運営している演者をはじめ事業パートナーもたくさんいます。幸せの灯火は選手から周辺まで大きくしていかなくてはなりません。だからこそ価値を創って、収益力を高めて、選手だけではなく、関わる多くの人がもっと幸せになる仕組みが必要だと思います。これがBリーグの掲げる将来構想の本質です。市場が拡大することで、更に選手たちにもメリットをもたらしていくことになるはずです。私達が事業、事業と言っていますが、対岸の火事ではなく選手達にとっても、自分達に直結することなのです。
どの業界でも商品価値を高めて売上をあけで従業員を雇用し、貢献に対して報いることで社会、経済はまわっています。長期的な業界発展のためには、一人でも多くの関わる人達が、幸せになるようにつとめていかなくてはなりません。
将来構想でクラブに集客基準を設け求めるのは、その集客力は地元での評価のバロメーターであり、このバロメーターが高まれば高まるほど応援しようとする人達、企業が現れるからです。そのような存在、協賛していただけるクラブのパートナーが増えることでいることでファンの皆様に提供するチケット代を抑えることができるのです。クラブの存在、世の中に広く届けることに大きく貢献していただいているのはパートナーの存在です。だから、ファンの皆様にはクラブのパートナーの商品を贔屓にしてほしいとお願いしています。
もしもチケット代だけでクラブを運営しようと思ったらB1なら平均チケット単価、最低1万円くらいに設定しないといけない計算になります。ちなみに現在は3千円くらいです。いかにパートナーの支援が大きいかがわかります。
だからこそ、集客を頑張る、クラブの価値を上げる、その価値をもってパートナーの協賛を募る。このような当たり前の事業力を高めるプロセスをふむことでファンに提供するチケット価格も適正化され誰もが楽しめる娯楽となります。よって一部のコアファンや富裕層だけではなく、誰でも会場に足を運べる環境を作り出すことで安定した集客が見込めていきます。ごのグッドサイクルを回すことが、私達の事業ではないかと思います。
そして、選手はもちろん、スタッフも安定して雇用できる、地域経済を回すことも出来る。そのクラブの仲間達でファンや応援してもらえる人たちのために必死に頑張る。地域の盛り上がりの先には、アリーナが検討される。アリーナがあればファンの観戦環境がポジティブに変わるし、事業環境もスケールアップして、グッドサイクルを大きくしていくことでポジティブな地域社会への貢献が実現できると考えています。
選手のためにも、未来の子供たちのためにも地域のためにも、何よりファンの皆様のためにも徹底的に事業力を高めていかないと夢のある世界は作れません。そんな生々しいところを見せるなと突っ込まれそうですが、どの業界でも当たり前のことをこの業界が叫ぶとネガティブにとらえらえるとういうこの状況自体を変えないとスポーツ界は一向に良くならないと思います。主役である選手にだけ投資が進むのではなく、業界全体に血液が健全に流れる状態を作り出すことで健康体になることが理想です。そして、選手達にとって更なる夢のある世界を作り出していきたいです。
Bリーグ、一石を投じ続けていきます。