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短歌

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2018年5月の記事一覧

「未来」800号記念原稿

習いたての指でマッチを擦るように冷蔵庫のなかあなたを燃やす
一、三グラムの声で喘いでるそこだけがまだ凪を迎えず
眠ってる眸を指で開いたら底に魚が泳いでみえる

水門まではだかで溺れて流されるみたいな夢をいつもみている
部屋はまた岸辺のように明けてゆく終わったあとの距離を離れて
まだ雨の止まない朝に巻かれない発条ひとつ頭蓋骨のなか
隙間から盗撮されているような青いインクの瓶が透けてる
漏れてくるひ

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いつものことだが

走り出すきみと一緒で始祖鳥に追われた空の約束がある
忘れてはいけないことがあっただろうアンモナイトに耳を当てれば
肉塊の切れ目に風を吹きかけるように冷たい銃をさしこむ
食べかけのパンとペンとを置いたまま森のおくへと人は死ぬのだ
置かれてる椅子はそのまま動かさず、ありがとうこのままにしてくれて
遠くまでキリンの首を引きずってあなたに逢いにいく夢をみる
#短歌