マガジンのカバー画像

詩歌

70
運営しているクリエイター

2018年8月の記事一覧

枯れる

自分のことばはどこにもない
せかいは詩のことばで溢れている
私は詩を書いたりはしない
私の周りのものたちが
詩を書きつづけている
目の前の椅子に置かれたままのペットボトルと
アピタのフードコートで昼寝するわたしと
どちらが詩だろうか
どちらが音楽であろうか
空に垂れた蜜の重さと
計画された土曜日の雨
に、読点をうって
古びない地球の上で
わたしは少しづつ軽くなる

式典のあさ

あさの
整列した内側が容易く抜け落ち
こえ、不自由なこえのひろがりが
行き先を失い暗く
素直に従うさきへと高く
行き先を変更した
風の、や けあと
あれから喉仏は乾いたまま
唇を閉じて窓を開けている
あさ、ミズアブを逃がそうと
窓を開けてやったら
唸りながら滑り落ちて
先生は何も話さなくなった
いつも微笑んでおられたのに
桜はいま満開で
沸騰した血の上流の色
やがて
知らない下流にまで
花を咲か

もっとみる