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藤田嗣治・手紙の森へ


 去年の12月にアサヒグループ大山崎山荘美術館で催されている「FOUJITA」藤田嗣治展に行きました。
 今回は、絵画の点数は少ないですが、藤田自筆の手紙と彼がつくったてしごと、小物が展示されていました。

 大山崎山荘美術館は、JR大山崎駅から10分あまり、山の中腹にある山荘美術館です。
 京都言葉カフェで、美術鑑賞の仕方として、3通りの鑑賞法があることを学びました。①絵画そのものを②作者を通して③時代を通して。今回の展覧会は、まさしく②と③での鑑賞になりました。
 絵画の点数は少ないものの、藤田自筆の手紙や彼がつくった小物が展示されていました。藤田という作者を通して、その時期に描かれた絵画を鑑賞し、時代を通して、その絵が描かれた背景をも思いながらの鑑賞でした。

 

 藤田嗣治を長年研究されている林洋子氏(兵庫県立美術館館長)の書籍が売店で売られていて、読むと、ちょうどこの展覧会のサブテキストとして、わかりやすく書かれていました。

 陸軍医の家に生まれながら、明治の日本から単身渡欧し、エコール・ド・パリの代表的な画家として活躍した藤田嗣治。(1886~1968)
 パリから日本の妻とみへ送られた手紙は3年間で180通にもなります。その一部が展示されていたのですが、イラスト入りでもあり、とみに着せたい服を書くなど、その愛妻ぶりがうかがわれました。藤田の手紙はお茶目で、筆まめな人だなあ、と感心しました。
 
 意外だったのは、藤田はお酒が飲めず、しらふで、パリの喧噪の中、夜な夜な宴会をしていたこと。また、林先生の指摘では、自己プロデユース能力に長けており、おかっぱ頭や丸眼鏡の演出のことなど、ひょうきんな人となりがうかがえました。

 第二次世界大戦中の日本では、藤田は作戦動画記録に関わっており、藤田嗣治の絵の変遷は、時代をもあらわしています。

 2015年には小栗康平監督がオダギリジョーさん主演で、映画にもなりました。藤田は絵もさることながら、やはり、その人自身が、人間的魅力に長けており、人々を惹きつけたというのが、この展覧会からも感じられました。

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#戦争画 #小栗康平 #オダギリジョー


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