見出し画像

Vol.11 わたしの不動産人生 ~注文住宅プロデューサー新人編つづき~

こんにちは。
nUe(ヌエ)株式会社の今井です。
Vol.10では私の実力不足、消極的な逃げ腰スタイルの仕事のやり方で精神的に追い込まれてしまいました。
スランプは末期の状態で、売れない月が7か月も経過してしまい、完全なる期待外れのお荷物社員状態。
自分から辞めるのか、クビを言い渡されるのか瀬戸際でした。
契約も取れず、仕事のメンバーからも信頼を無くしてしまった私は右往左往していました。
しかーっし!
辞めようとしていたタイミングで一筋の光が、、、

■突如、定休日のオフィスに現れたお客さんM

私は定休日である火水によく事務所に出社しておりました。
定休日の出社は人も少なく、上司もいないため、とてもリラックスして仕事ができます。
休みの日に特に用事もなく家にいると気が滅入りそうだったので、休みの日の仕事は精神安定剤な感じでした。
この頃の私は辞めようとは思っていたのですが、迷いもあったので就職活動をするまでではなく、ただ事務所でパソコンに向かって目的もなく仕事をしていました。
そうすると、

突如オフィスに来店を知らせるチャイムが『ピンポーン!』
と鳴りました。

受付スタッフもいなかったので、私は2階にある自分の席から駆け降りてエントランスに向かいました。
すると、

エントランス前には片手にはスケートボードを持ち、サングラスをかけて、半袖短パン姿の若者がポツリと立っていました。
その若者はサングラスを外して、にこやかな笑顔で

『家を建てたいので、相談しに来ました(*'▽')』と言いました。

最初お会いした時は
『(その容姿を見て)えっ?家建てるの??』
と思ってしまいました。
というのも、いつもはファミリーのご夫婦、新婚夫婦といった方の接客する機会が多かったので、見た目の若者感の容姿に少し戸惑ったのを覚えています。
通常は新規顧客が発生した場合は上司に電話をして、判断を仰ぐのですが、

『(電話しなくても)いいやっ!どうせ冷やかしのお客様だろうし、黙っておこ~( ̄д ̄)』

と、こっそり接客。
Mさんと話ししたところ、私と同い年の28歳でした。
両親と住むための家を建てたいということで、土地探しからの相談でした。
若いのに親のために家を建てるなんてと感心しました。
Mさんの要望はかなり夢が溢れていました(;^_^A

車が3台入るガレージ、サーフィン、スノボー、スケボーとアウトドアの趣味が多く、大容量の収納が欲しい、二世帯住宅にしたい、、、etc

問題は予算で、仕事は自営業で申告年収も低く、頭金もあまり無かったため、とてもじゃないですが、計画は厳しいものでした。
『(心の声)そりゃ無理だわ。こりゃ完全に冷やかしだ(;゚Д゚)』
と正直思ってしまいました。
しかし、無理だから帰してしまうのは抵抗がありました。
同い年ということもあり、何か憎めないユーモアがある方で、
彼の壮大なビジョン(笑)を聞いているうちに、

私も楽しくなってしまった(*''▽'')

このまま現実的な話しをして壊してしまうのは惜しい!
そんな感覚を抱いたため、予算計画は立てるのは止めて、そのままMさんの理想の家の話しを続けることにしました。

まるで出向中に楽しんでいた自分とMさんを重ねているようだった

■初めてお客様のために描いたプラン

色々聞いた結果、Mさんの希望を叶えるには、
およそ40-50坪ほどの土地が必要と判明。
私はその場で土地検索を行い、希望エリアの土地をいくつかピックアップを行いました。
そうすると、Mさんが『この〇〇土地いいね~(*´▽`*)』と、
気になる土地物件がありました。
色々と盛り上がっていたので、ついついテンションが上がっていた私

なんと、プランを出す約束をしてしまいましたΣ(・□・;)

しかーっし!
Mさん新規発生報告を上司にしていないため、

設計デザイナーに新規プランをお願いができないヽ(゚ェ゚ ;≡; ゚ェ゚)ノ

約束した後で気が付きましたが、、、
上司に報告してないからこっそり何とかしのぐしかない(;゚Д゚)
こうして、私はMさんのプランを自分でこっそりと描くことになりました。

いざ描いてみると、ヒヤリングの甘さが身に染みて実感しました。
途中でMさんに電話をして、

自分『すいません。シャワールームが欲しい理由って何でしたっけ(・・???』
Mさん『サーフィンから帰ると砂だらけなので、すぐにシャワー浴びたいんですよね(*’▽’)』
(心の声)なるほど。帰ったら砂だらけなのか。ふむふむ。

こんな感じで何度も電話してしまった、、、(;^_^A
Mさん嫌がらずいつも明るくハキハキと対応してくれました。
とにかく1歩1歩でしたが、Mさんのために夢中で何度もプランを描いていました。
そうすると、自然とMさんに感情移入していき、

Mさんの性格だったら、ここをこうした方が良いかな~
(;`・_・´)ン-…悩むな~・・

私は気づかぬうちにMさんの
『潜在的な要望を探るような考え方』
になっていました。

こうして描き上げたプランをMさんにプレゼン
かなり食い付きが良い感じで、
『めちゃ良い感じじゃないすか~。さすがプロは違うな~(*’▽’)』
と高評価(*´▽`*)
『ちなみに、ここの間取をこんな感じで変更ってできるんですか??』
という無茶振りにも、事前に何パターンも描いて練習していたことが功を奏したのか、その場で手書き修正もできました。
その度にMさんは

『今井さん凄いっすね~。さすがですね~Σ(・ω・ノ)ノ!』と乗せ上手。

私はこの言葉にどれだけ救われたか、気持ちは一気にうなぎのぼり(*''▽'')
プレゼン資料は模型もスケッチもなく、私の手書きプランのみでしたが、初めて自分の言葉とで相手にプレゼンができたような気がしました。

プレッシャー、自信喪失状態にあった私はMさんの言葉で、

どん底にいた私に手を差し伸べ、ぐっとを引き上げてくれた感覚

一筋の光が差し込んだ瞬間でした。

『そうか、俺はやればできるんだ。今までやってなかったんだ。』

■初めて自分の力で取ることができた受注契約

プレゼンを終えて、私とMさんとの信頼関係は構築ができた感じでした。
Mさんのプレゼンはうまくいきましたが、問題は予算面でした。
私はMさんに対して、重々しくならないようにサラッと言いました。
『Mさん、実は予算面は正直厳しくて、結構予算オーバーなんすよ(;^ω^)』
そこで私が本来得意とする資金シュミレーションや住宅ローンの話しをして、全体計画を変えなければならないことを伝えました。
するとMさんはいつもの笑顔で、力強く言いました。
『俺、家建てたいんでどうすれば良いすか!』
す、すごい!やる気に満ち溢れている感じ(;゚Д゚)

Mさんが注文住宅を建てるには以下のことが必要でした。

・土地面積を小さくして、エリアも相場が安いところを検討して、土地予算を下げること
・要望の優先順位をつけて、建物面積を大幅に下げること
・頭金を最低でも物件総額の2割用意すること

伝えるにはかなり勇気がいりました。
今までヒヤリングして、プレゼンして盛り上がった時の高揚感から急降下するような事実だったからです。

これを聞いたMさんが私に言ったのが、

『今井さん、ありがとう!今井さんだけですよ、俺をまともにお客さんとして対応してくれたのは。他の会社は話しすら聞いてくれない感じでした。今井さんの言う通りにするんで、俺の家建ててくださいよ。』

私は正直、感動で身震いしました。
Mさんは何とか頭金を2割も工面もして、最初の希望とはかなり変更になりましたが、私との家づくりを選択してくれました。


曇り空が一気に開けて晴れになるような感覚


そして、

私に夢を託してくれたMさんの期待を裏切れない。
良い家を創ってあげたい

自然と活力が溢れてきました。

『相手のことを深く知り、相手の求めるものを想像し、それをプレゼンという形で相手の気持ちになって考えたプランをプレゼンする。』

努力のかける方向性が分かったような感じがしたのが、どん底にいた私を一気に救い上げてくれました。

こうして、
私はMさんとの出逢いにより、本来の自分を取り戻すことができました。
7カ月の間、全く受注契約が取れなかった私ですが、Mさんの受注契約をいただいた同月内には、なんと4棟の受注契約を取ることができました。
今まで受注契約が取れなかったのは何だったの~Σ(・ω・ノ)ノ!

その日から私は苦手だった設計デザイナーへの引き継ぎがとても楽しくなり、クライアントの人となりや雰囲気、考え方や価値観を伝えて、そこから自分が思う提案の仕方を設計デザイナーと議論するようになりました。
プロデューサーと設計デザイナーで議論を重ね、精度の高いプレゼンを行うことができるようになり、家づくりの楽しいさは出向の時よりも完全に上回りました。

相手(クライアント)が本当に求めているもの(潜在的な要望)は何か?

今でもこのシンプルな考えをnUeのコンセプトとして追求しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?