舞台「ハリトビ」はいいぞ!

タイトルそのまま。
プレゼンしてって言われたので書き綴る。

まずは公式サイトのあらすじを引用しご紹介。
『2005年、秋。
田舎町の国道沿いに、一軒の古びたロック喫茶があった。
その名は「ハリトビ」。
店内には古いレコードが所狭しと飾られ、壁にはライブに出演したバンド達のサインがびっしりと書かれている。
店に若い男が訪ねて来るところから物語は始まる。
彼の名は秋島光弘(和田雅成)。
1ヶ月半前に他界した店のオーナー、秋島徹の息子である。
光弘と徹は十年以上別々に暮らしており、音信不通状態で、徹がロック喫茶を経営していたことを光弘は知らなかった。
徹の四十九日を終え、光弘は店を処分するために訪れていたのだ。
店の従業員だった峯喜久男(瀬尾タクヤ)が光弘に店内を案内していると、
そこへ常連だった文房具屋の西久保稔(津村知与史)、
徹の古くからの友人・戸波洋次郎(朝倉伸二)、
そしてライブによく出演していたミュージシャンの村川慎也(宮下貴浩)も現れ、
皆一癖も二癖もありそうな胡散臭い奴ばかりが集まってくる。
彼らと接していくうちに、光弘は父の知られざる一面を知る事となる。
彼らも父も、皆、社会に息苦しさを感じ、心に傷を持っていた。
光弘は、壁に飾ってあったレコードをターンテーブルに置いてみる。
ハリを落とす。
しかし途中で音がおかしくなってしまう。
レコードについた傷でハリが飛ぶのだ。
傷だらけのレコードが集まった店、それが「ハリトビ」。』


この舞台は個人的には割とシンプルな物だと思う。
ミステリー要素もなく、どんでん返しもなく、実にありふれたヒューマンドラマだ。
ただ、シンプルだからこそ良いのだと王道ものが大好きな私は主張する。
塩味が嫌いな日本人、いる?(クソデカ主語)

先日のシアターコンプレックスの動画にて「僕がこういうのがやりたい」と言ったのを元にしていると推しが仰っていたが、
多分「なんか心があったかくなる舞台が良いですね〜」とかそんなオーダーをしてるところがなんとなく想像がつく。
本当にあたたかくなる舞台だったし、最後にピースが🧩パチっとハマる感覚がする台詞は初見で気持ち良すぎた。
優しくてあたたかくて、帰り道滅多にしないフォロー返しをしたのを覚えてる。
人間愛に溢れた舞台で、気付いたら更にチケット2枚くらい増えてまじで休日は連日シアターサンモールへ通ったし、マチソワの際には近くのコメダの世話になった。
台風で公演中止となった日は落ち込んだし、家でナポリタンを作った。
翌日マチネは電車が動かず辿り着けず泣いたが、ソワレは開演時間を遅らせてくださったおかげで辿り着いた。
観劇後、ロビーにいた難波さんにお礼を伝えた。
友人も2人ほど胸張って連れて行った。
千秋楽は売り切れてたので当日券クソ寒い中で朝から並んだ。

それぐらい、私にはめちゃくちゃ刺さった。
余談だがこの年にはNo.4の舞台にはめちゃくちゃ世話になったのに最前は一度もなかったことに気付いた。

話を戻そう。
ヒューマンストーリーと一言にいえど、何を想像するかはまぁ人それぞれだとは思う。
夫婦の苦労か、子供と親か、兄弟かご近所か。
ただ得てして言えるのは、皆良い人で、泣き笑い、時代によって苛まれるみたいな展開を彷彿とさせるのではないかと思う。
ちなみに私はヒューマンドラマといえばオールウェィズ3丁目の夕陽が真っ先に思い浮かぶ。

ハリトビは、そこが違う。
登場人物全員、まぁまぁダメな大人。
ちなみに作中で「俺が一番マシ」と曰う稔さんが女性目線では一番最低って言われてたのがマジで男女の価値観の差で面白かった。
もちろん、主人公の光弘くんもダメな大人です。

そこがすごく良い。人間の善悪なんて曖昧なものだ。
おまけに言ってしまえば、善だけの人間も悪だけの人間もいない。

人とは、清濁併せ持つから人である。

ハリトビはそんな清濁をこよなく愛し、慈しみ、
「それでも良いじゃない」
と人が人を寛容に受け止め、傷痕に絆創膏を貼り合うようなお話。

まじめっちゃ好きなんですよね。

あらすじにある「傷だらけのレコード」とは「傷だらけの人生」と言い換えても良い。
「足下気を付けてくださいね。段差あるんで」と優しい気遣いの言葉から始まるこの舞台は、人を、人にある傷を大切に扱ってくれる舞台に私は感じた。

傷付いたことって、皆あると思うんです。
傷を思い出して憂鬱になって寝れなくなるぐらいのもの。
でもそんな傷、別に誰も言わないじゃないですか。
共有することでもないし、でも何年経っても悔しい辛い苦しい忘れられない、ずっと心に張り付いた瘡蓋。
普段はどうとでもないけど気になるし掻けば血が出る、長年すぎて慣れてしまった傷痕。
これは傷の種類にも勿論よる部分ではあるんですが、
「自分は欠陥品だ」と思い詰めたことがある人には死ぬほど刺さると思います。

あらすじにもあるように、レコードに傷が付いていると音がおかしくなる。それをレコード用語?で「ハリトビ」という。
ロック喫茶で傷のついたレコードなんて、まぁ言ってしまえば欠陥品でしかない。
サビの盛り上がりで音が飛ぶレコードなんて1文にもならないし、
ましてやロック喫茶という音楽を題材に売り出した喫茶店で、それでも「徹さん」はそんなレコードを店に置いて、使っていた。

「この曲のこの部分に傷があるのはこのレコードだけ」

前述したように、レコードとはこの舞台では「人生」を示しています。
Recordには記録という意味もあるのでダブルミーニングなのかもしれない。いやしらんけど。

こうして書くと「徹さんいい人じゃん!」ってなるかもしれないけどまぁ、この作中のキャラクター全員割とクズと前述したように徹さんもまぁクズです。
光弘くんがバチクソにキレるのも仕方ない。
でも「悪い人」ではないです。

そういう部分も人間愛に溢れた作品だな〜って感じました。
清濁を併せ持つ人だからこそ、
他人を傷付け、傷付けられ、
そして他人を癒し、癒される。

そんな舞台です。
ふわっふわな感想になってしまうんですが、本当にどんでん返しも何もない舞台なので、
あらすじで書くと「へー」で終わる可能性があるので…出来れば見て欲しいです。
あらすじを見て、ナポリタンと聞いて、「こういう事かな?」って想像したおそらくそのままのストーリーです。

あと余談だけど円盤価値は減価償却で考えたほうがいいと思う。
見れば見るほど、お得になる。個人的には1公演5000円と換算してDVD二回観たらもうお得!!!!
円盤が値段の割に…って思う気持ちはまぁわからんこともないけど、人件費だよ人件費。

観たら私とハリトビの話をしてくれ。
ちなみに私は最後の砦にとってまだ観てない。
今後また延期中止のニュースが流れて心が折れたら観る。
もちろん単調な話なので、DVDだとこんなもんか〜ってなってしまう可能性も否めないけれども。
あと真逆に言うと、2.5のライブだとか、キラキラ華やか!どんでん返しミステリー!じゃないと寝てしまうって人には全くおすすめしないです。

でも私は死ぬほど好きです。
なんだったらパセラで一緒に観よう(濃厚接触)

ついでにハリトビ以来「嫌なことがあったらナポリタンを食う」という習慣ができてしまいましたが、まぁその話は置いておいてとにかく舞台「ハリトビ」を見てください。

通販はこちら!!!

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