心にいつも音楽を、人生のテーマソングを探しながら
福山雅治が好きだ。もう10年以上ずっとファンクラブに入って追いかけている。
一時期に比べたら熱量は落ち着いたかもしれないが、ツアーが発表されたら何も考えずにチケットを取るし、今回もオーラスに入りたくてわざわざ北の大地までやってきた。
「WE’RE BROS. TOUR 2024 Flowers and Bees, Tears and Music.」
今回のツアーコンセプト、「花とミツバチ、涙と音楽」。それぞれが独立しながらもすべて密接につながっていて、目に見えるものは目に見えないものでできている。
ライブ中、「人生のテーマソングとなる曲を」という発言が福山雅治の口から何度か出た。
ライトを浴びてステージで歌う彼の姿を目で追いながら、そういえば随分と長い間、彼の音楽と人生を共にしてきたなと感傷にふけった。
今日は彼の音楽たちの中から、その時々で私の人生に寄り添ってくれた曲をいくつかピックアップして紹介させてほしい。
(今回のツアーのセットリストとは関係ないので、ネタバレは気にせず読んでいただいて大丈夫です)
■今夜、君を抱いて
アルバム「残響」より。1曲目からこれかい。
福山雅治を好きになったのは中学3年生のとき。
それから、思春期の多感な時期に彼の音楽を抱いて泣きながら眠りに落ちたことがしばしばあった。この曲もそのうちのひとつ。
布団をごっぼりかぶって、ピンクのiPod nanoでこの曲を再生して、有線のイヤフォンを通して聴こえてくる彼の声に心を解かれて、泣きじゃくりながら疲れ果てて眠りに落ちる夜が何度かあった。
世界中でたったひとりぼっちだと思い込んでしまいがちな思春期に、彼の優しい言葉がそっと寄り添ってくれていた。優しいギターの音色、語り聴かせるようなスローテンポの歌声。
今でも聴くと、その頃のぬくもりを思い出す。
■milk tea
思春期に聴いていた曲といえば、これもそうだ。
当時、女子校に在籍していた私はちょっと年上の大学生に想いを寄せていた。
ただ、彼は誠実な人であったため、私のことをきちんと子どもとして扱い、いっさい手を触れなかった。そんな彼の行いが誠実だと気づいたのは自身が大人になってからで、当時はまあまあ片想いを拗らせていたのだが。
その時に聴いていたのが……というか、福山雅治のオタクはだいたい1回は自身の恋愛と重ねてきゅんとするのがこの曲。
告白して断られて、失意の中で福山雅治のラジオにリクエストを送った。それは採用されなかったが、その後すぐ行った彼のライブで(しかも初めてのライブだった)、日替わりのWアンコールの曲がこれだった。
……改めて歌詞を読むと、かわいいな。
ちなみに、高校生の頃にこの歌を携帯の着うた(死語)にしてて、静か授業中に福山雅治の歌声が響いて、誰も誤魔化せなくて「誰ですか、携帯鳴らしたの」と問われて潔くはい! すいませんでした!」と挙手して携帯を没収されたというエピソードがありまして、同級生の間ではmilk tea事件と呼ばれ、代々語り継がれております。
■ながれ星
そんな高校生のころも好きだったけれど、アラサーになるとより沁みるのがこの曲。
昔に聴いていた感覚とはまたちがって、すっかりこの歌詞がわかるようになってしまった。
milk teaを聴いて素直に恋焦がれていたころの自分はもう思春期に置いてきてしまっていて、気付けばなんだか素直になれないだけのアラサーになってしまった。
そんな今の私に寄り添ってくれる曲だ。
本当はずっと一緒にいてほしいけど、でもこれ以上傷つきたくないから、足踏みをしている。大人になったらひとつやふたつ経験してしまう、そんな恋愛の歌。
■明日の☆SHOW
社会人になってからライブに行く度に刺さる。刺さりまくる。泣きじゃくりたくなるくらいに。
この曲のサビの「君の前で泣いてもいいかな」と「君にだけはわかって欲しくて」という歌詞が好きだ。
昔は、福山雅治という元来強がりな男を想って聴いていたのだけれど、自身が成長して大人になり、涙を隠して生きていかなきゃいけなくなった今、改めてこの歌詞が刺さる。
私も人のことを笑えないほどに、強がりな人間になってしまったみたいだ。
「憧れ描いた夢」をまんま実現できるような人は本当にひと握りしかいなくて、みんなそれぞれ折り合いをつけて生きている。
そんな自分が嫌になったりもするけれど、それでも「この場所で戦う」ことを肯定してもらえるような、そんな気になるのだ。
いくつか挙げて見たけれどいつだって彼の歌が私の人生を彩ってくれていたし、支えてくれていた。きっとそれはこれからも。
歳を重ね、経験を積んだりライフステージが変わることで、今まで聴いていた曲が新たな一面を見せたり、改めて寄り添ってくれたり。その変化が楽しみだ。
心にいつも音楽を。
人生のテーマソングを探しながら。