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『靴ノ往来堂』

佐藤まどかさんは、児童書の世界で活躍するイタリア在住の作家さんです。何年か前、ブックハウスカフェで児童書の違う分野の人たちで話そうというくくりで企画したイベントにお客さんでやってきたのです。彼女はちょうどイタリアから日本に帰国中。これほど才能があって、賢い人はいないんじゃないかというくらい。一目見て、ああ、この人とは馬が合うんだと思って友だちになったのです。お互いの家庭環境も似ていたりと離れていても話が合う大切な友人です。

さて、最近だされた『靴ノ往来堂』(あすなろ書房)について。
靴ノ往来堂というのは、オーダーメイドの靴を作る店。主人公の夏希のお祖父ちゃんが靴職人。跡を継ぐはずだったお兄ちゃんが海外に飛び出してしまって、主人公は靴の世界の入り口を行ったり来たり。店を継ぐべきか悩みながら店を手伝っている。本の全部を語れないけれど、周辺の登場人物も魅力的。引退した靴職人さんは奥さんといっしょに旅にでていて絵はがきが届くところとかすごく好きだな。
まどかさんの作品は、何かにこだわる人の描き方がすばらしい。これは彼女の背景から来ている。もともとはイタリアで最前線でデザインの世界にいた人だから。これを読んでいると自分の悩みがちっちゃく見える。気持ちがすっきりしますよ。人によって共感するところは変わるかもしれないけれど、読んでみてもらいたい一冊です。
いや、ぜったい読んでみて! 


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