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『暗やみに能面ひっそり』佐藤まどか新刊

佐藤まどかさんと、出会ったのはブックハウスカフェ(子どもの本の書店で神保町にあります)でだったと思います。いとうみくさん(作家)と、ひろかわさえこさん(作家)との鼎談を企画し、自分も出てしまったというところへ参加してくださったのです。
イタリアに留学し、そのまま現地でデザイナーとして活躍、入院中に書いた作品で児童書の日産童話と絵本のグランプリ童話大賞を受賞して作家活動を始められました。考え方も似ていて、どんなことでも乗りこえちゃうスーパーウーマンです。
さて、そんな彼女が新刊を出しました。
『暗やみに能面ひっそり』です。小学生の宗太が、お母さんの事情で京都にいる祖父母の家に一時過ごすことになるお話なのですが、宗太がとってもよいです。
伝統的な日本の家に暮らすことになってお家の中での発見や、お祖父ちゃん(能面師)の仕事部屋へ入っていく様子など、なんだかわたしの子どものころと重なりました。(わたしの祖父の家は京都では無いけれど、日本家屋は、暗くなると灯りが少なくて怖いんです……。)
お祖父ちゃんが宗太に能面について語るところ、能面作りを手ほどきするところ、とっても良い雰囲気です。子どもならこういう風に感じるだろうと思います。この部分を読んでいて、わたしも祖父に野菜や米作りを学んだことを思い出しました。親子ではなく、祖父から学ぶというのは、孫にとってはまったく別物の体験です。すごく懐かしくなりました。
宗太が、子どもなりに大人に気づかいしてみたり、知らない仕事のことを知ったりと、体験していく姿がとてもかわいらしくてとてもよいです。そして、最後の一文に向かって物語はすすみます。子どもにも味わってもらいたいし、これはぜひ大人にも読んでもらいたい。
最後に、画家のアンマサコさん、なんでも描けてしまうのね。じんわりとすばらしい絵で、『どすこいすしずもう』とは違った世界を広げています。

東京では11月22日にトークイベントがあります。ブックハウスカフェにて。


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