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先生は誰かと聞かれたら「時代」

森正洋を語り・伝える会 『森正洋の言葉。デザインの言葉。』
1800円+税
全243ページ
所要時間 2時間半


◾️印象的な一節



「こんなに世の中に茶碗がいっぱいあるのに、
この茶碗がいるの?」


「生活が変わっているのに
ものだけ変わらないなんてことはない。」


「なぜあなたは物を創りたいのか、
それも生活に必要な道具類を、
そのことをいつも考えることが社会から遊離することなく、
物の密度をあげ、また埋没することなく、
指導力を発揮するデザインを生む原動力になる。」
   



◾️この本との出会い


11年前、美大時代に買った本。
美大時代は、森正洋さんはじめ多くのデザイン界のビッグな人の本を
たくさん買って読んでいた。
美大時代は八王子に住んでいて、そこの商店街で陶器市が開かれ、
森正洋さんのデザインした白山陶器の調味料入れや小鳥の箸置きを買った。
綺麗な白、装飾がない可愛らしさ、ピュアな雰囲気が好きだった。


◾️社会人になって再び読んだ


11年後、消費財、日用品メーカーに就職し、
企画デザイン設計部門で働くようになって9年。
会社の創業者も世代交代する雰囲気が強くなってきた。
デザインの部門長だった人は、役職定年となった。
この部門長、一筋縄ではいかない人だった。
デザイン案を見せても、なかなかOKが出ず修正したり。
デザインに対する考え方や「本当にいるの?」と、
そもそもの存在理由から考えさせる感じが、森正洋さんの言葉と
繋がる部分を感じていた。

世代交代後の新しい部門長、数を作っていく感じ。
「本当にいるの?」なんてそもそもの部分から考え始めてたら
遅くなるからまずはどんどん発売していこう。OK 、OK。数字、数字。
そんな感じで、会社の変化と共に自分の軸もブレているのを感じていたので
再びこの本を読んだ。



「デザインが商品を飾る衣装のように考えられ、
例えば、着せ替え人形の着物のようにその時々に応じて、
やれ花模様がいいとか、やれ縞模様、
いや色無地だとか着物の変化ばかりにうつつをぬかして、
安直に目先の利益ばかり気を取られているあいだに、
それを作る土壌が弱体化し、
物を作る根本的な考えさえ忘れがちになる。」
 (162ページ)   



◾️雑感


私がデザインの先生だと思っている森正洋さん。
森正洋さんが先生としているのが、「時代」
どんな時代のどんな社会に対して物を提供しようとしているのか
そういう背景を知った上でデザインをする。

私は、会社の中の世代交代、変化の中でデザインの軸が揺らいでいると
書いたが、時代はどうなってる?社会は?生活者はどう揺らいでいる?そこを見れてるか?
時代を見続けた森正洋さんの本を読んで、自分に問いかけてみたけど、
私が見てるの会社の変化ばっかり。
会社のために物を作ってる?半分そうなんだけど、半分そうじゃない。

視点が縮こまっていた。
部門長の変化とか本当どっちでもいいな。笑

時代を先生にする。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

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