104bomb

デザインとかイラストとかやってます。 文章はほぼひとりごと。

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最近の記事

『花男(はなおとこ)』と『パパ・ユーアクレイジー』 または松本大洋とサローヤン

好きな漫画を紹介したいと思う。 松本大洋の『花男』という漫画だ。花より男子のハナダンではない。ハナオトコである。 松本大洋といえばペコとスマイルのスポ根卓球漫画『ピンポン』や、シロとクロが栄町で自由に暴れまくる『鉄コン筋クリート』が有名だが、『花男』はそれよりも古い今から約30年前の作品になる。 『ピンポン』のペコとスマイル、『鉄コン筋クリート』のシロとクロと同じように、『花男』では小学3年生の花田茂雄(しげお)とその父である花田花男(はなお)の2人の物語だ。 勉強がで

    • 車の中で聞く雨の音が好きだ

      できれば少し古めの車がいい。 防音の効いた最新の高級車ではなく、少し古めの大き過ぎないのがいい。 駅前のロータリーに車を停め、シートを少しだけ倒す。 さっきまで明るかった空が急に曇りだし、あたりの明るさも1段階下がり、青々としていた緑の葉も彩度が落ちてくすんで見える。 ポツポツと大粒の雨が車の屋根を叩き出し、やがてそのドラミングの間隔が狭まり一気にひとつの音の塊になる。音の隙間が無くなり、雑味が無くなり、耳が慣れ、逆に静けさを感じるような、そんな感覚。 車の窓ガラスには

      • エセエッセイスト

        本を読むのが好きだった。 幼稚園から小学校へ上がる春休みに、近くのお寺の和尚さんだったかが本をプレゼントしてくれた。 それまで読んでいたような絵がメインの本ではなく、ページいっぱいに縦書きの字が並んでいる、挿絵は数ページに一枚ほどしかないような、絵本ではなくいわゆる本っていう感じの本だ。 3月から4月のはじめ、奈良のかなりの山奥にある私の実家周りにも春が訪れ、積もった雪が溶けて剥き出しになった地面から土筆とか蕗の薹とかがむっくりと顔を出していた。 記憶が曖昧だが、その頃私

        • 公園で1人弁当を食べる

          天気はいいのだが日当たりのいい木製のベンチはカップルや外回りののサラリーマン、子供連れのお母さんだとかが占拠してて空いておらず、仕方なく日陰の石のベンチに座る。座った瞬間から硬い冷たさがお尻から伝わり一気に体温を奪っていく。 これはまた悪化しそうだなと持病の痔を心配しながら、全然つめたくもなんとも無いですよという態度でそそくさと飯を頬張る。 ふと見ると1匹の蚊が、フラフラと目の前を横切り黒いズボンへの着地点を模索している。 もう11月も半ば。こんな寒い季節に人生最後の悪

        『花男(はなおとこ)』と『パパ・ユーアクレイジー』 または松本大洋とサローヤン