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心理的安全性が低いと命に関わる【エピソード2選】

こんにちは!



前々回の投稿で、心理的安全性についてお話ししましたが、今回はその「心理的安全性がなぜ必要なのか」を二つのエピソードを通してお伝えしていこうかと思います。

心理的安全性を提唱した、ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が書かれた、「恐れのない組織」からエピソードを抜粋してお話ししていきます。

このエピソード以外にも心理的安全性に関するたくさんのエピソードと解説が本書には書かれていますので、これを読んで気になった方はぜひ本書を購入して読んでみてください。


その二つのエピソードは以下の二つです。

①医療現場において心理的安全性の低さが命に関わるミスを引き起こした

②心理的安全性の高さがチームのミスの共有を早める

それでは見ていきましょう!


①医療現場において心理的安全性の低さが命に関わるミスを引き起こした


一つ目はこちらの医療現場において心理的安全性の低さが命に関わるミスを引き起こしたというエピソードです。

これはとある病院に双子の赤ちゃんが生まれました。

しかし、早産であったため、見た目は健康そうだったものの、ハイリスク児と考えられていました。

そしてその医療チームには、新生児集中治療室(NICU)の担当者が二人加わっていました。それが、若い看護師のクリスと医師のドレークです。

双子の赤ちゃんが生まれて間もないある日、クリスがその双子を見た時に「はっ」と気付いたことがあた。ドレークが、その双子の命に関わるような、重要な薬の投与を見逃していたんです。

超早産の赤ん坊にはふつう、子宮外で自力呼吸できるだけの肺がまだ育っていないため、肺の発達を促す薬をできるだけ早く投与する必要がありました。

「このままでは双子の命が危険にさらされる…」

クリスはそう思い、ドレークに薬の投与の見逃しについて話そうとしました。しかしその時あることがクリスの頭をよぎります。

それは、前の週に、ドレークの指示に疑問を投げかけた別の看護師を、ドレークが人前で厳しく叱責していたことでした。

クリスはそのことを思い出すと、「ドレークは何か理由があって薬の投与を行っていないんじゃないか?もしそうならば、双子はこのままできっと大丈夫だろう…」と自分に言い聞かせたんです。

そして彼女は問題を提起するという考え方を追い払ってしまいました。

その後、双子の赤ちゃんは薬を投与されなかったわけですが、この時は運良く深刻な問題は起きなかったようです。

しかし、医師のドレークが作ってしまった心理的安全性が低い状態が、クリスのリスク回避につながる良い提案を遮って、双子の赤ちゃんを命の危機に晒してしまいました。

心理的安全性の低さは、このように命の危機を引き起こしてしまうほど、その人の判断を狂わせるのです。



②心理的安全性の高さがチームのミスの共有を早める


二つ目は心理的安全性の高さがチームのミスの共有を早めるというエピソードです。

これは、心理的安全性を提唱した、エイミー・C・エドモンドソン教授が行った実験の結果からわかったことです。

その実験とは、6ヶ月間に及び行われたもので、幾つかの医療チームを選び、そのチームごとの成果と医療ミスの相関性を調べるというものでした。

教授は当初、優秀なチームほどミスの数は少ないだろうと予測していました。

ちなみに、ミスの数はチームによって見事に大きなばらつきが出ました。

日当たりの人的ミスの件数は、ミスが多いチームとミスが少ないチームで、10倍ほども開きがありました。例えば、薬の投与量についてのミスが、ある病棟では三週間に一回でしたが、別の病棟では二日に一回と報告されていたんです。

また、この実験を通してメンバー同士の尊敬し合う気持ち、協力の度合い、高いパフォーマンスをあげる自身、満足度などにもばらつきがありました。

しかし、研究を進める中で、予想外の展開が起こります。それは…

有能なチームほど、そうではないチームに比べて、ミスの数が多かったのです。

当初の予測を外れて、なぜこんなことになったのか?

実はミスの数は有能なチームもそうでないチームも同じくらい発生していたのですが、有能なチームの方が、ミスの報告が早急に行われていたのです。その結果、大きなミスにつながるリスクを減らすことができていました。

また、早めにミスの共有が起こることで改善もスピーディーに行われ、チームのレベルアップのスピードも加速します。

ミスの報告が少ないチームでは、ミスを隠蔽しようという動きがあり、ミスが起こってもなかなか報告が上がってこず、患者の命がリスクにさらされている状況でした。

有能なチームには心理的安全性が備わっていたことで、率直に話す風土があり、意見を否定されたり、頭ごなしに叱られたりすることもなく、気軽にミスを報告したり、話し合ったりできる環境が整っていたのです。

このように、心理的安全性があるかないかで、チームの情報共有の数もスピードも大きく変わってきます。

情報共有が少ないと、リスクはどんどん大きくなり、取り返しのつかないミスにつながりかねません。



職場では、誰もが対人関係のリスクにさらされている


というわけで今回は、「心理的安全性がなぜ必要なのか」を二つのエピソードを通してお伝えしました。

その二つのエピソードは以下の二つです。

①医療現場において心理的安全性の低さが命に関わるミスを引き起こした

②心理的安全性の高さがチームのミスの共有を早める

あなたの職場にはこのような情報共有のやりづらさはあるでしょうか?もしあるなら、心理的安全性が低いかもしれません。

心理的安全性が低いと、あなたの発言に不必要な大きなリスクを感じるようになってしまいます。

あなたが質問したり、発言したり、ミスを認めたり、アイデアを提供したり、計画を批判したりすると、

無能・無知・でしゃばりと見られてしまうかもしれない。

周囲にそう判断されないように、私たちは恥をかかないこと、失敗しないことを最優先にしてしまうため、本来の目的を無視して判断を行ってしまうこともあります。

結果、間違った行動に繋がってしまうことも非常に多いのです。

これからの時代はより必要になってくる心理的安全性の考え方、本も幾つか出版されていますので、ぜひこの機会に手にとって、学んでみてください。


それでは、今回はこの辺で。

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