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自分勝手な厳しさは逆に失敗を増やす【厳しさがもたらすもの5選】

こんにちは!



心理的安全性の作り方という本を読んでいた時、「厳しさがもたらすもの」という項目があり、印象に残ったので、共有しておきます。

怒ったり、叱責したりという厳しさ

指導の現場におけるこの厳しさに対して、皆さんはどう考えていますか?

悪いものでしょうか?良いものでしょうか?人によって意見は様々でしょう。

しかし、昭和の時代には当たり前のように行われていたパワハラや体罰が「悪」だとみなされている現代において、過度な厳しさは良くないことだという印象を持っている人が多いとおもいます。

しかし、教育指導を行う立場の、いわゆるマネジャー、管理職を務めている方々が、厳しさを駆使して教育指導を行う現場を多く見かけます。

このように、指導する立場に立っている人にとって、この厳しく接するという行動は強固な信念となっている場合もあります。



なぜ厳しく指導を行うのか?


なぜこのような過度な厳しさを持ってしまうのか?

新たに管理職昇進の事例を受けた時、「なめられないよう、厳しく振舞わなければ」と思ったり。

なかなか悪い習慣が治らない部下に対して、怠けていると判断し、ショックを与えて事の重大さをアピールするために厳しくしたり。

単に自分がそうして育てられてきたことで、厳しくすることがベストプラクティスだと思い込んで厳しくしたり…

厳しくする要因は人によって様々です。

しかし、このような厳しさ、叱責に対する世の中の評価は低く、また、計画性のない厳しさは人の成長を阻害しかねません。




厳しさがもたらすもの①「ストレス」


それでは、厳しさがもたらすものとは何なのか?

一つ目は「ストレス」です。

この厳しさについて、スタンフォード大学でサイエンス・ディレクターを務めるエマ・セッパラの記事には

「厳しい」マネジャーは、部下にプレッシャーをかければパフォーマンスが高まると考えていることが多い。それは間違っており、高まるのはパフォーマンスではなくストレスである。そして研究によれば、高度のストレスは雇用者と従業員の双方に様々な損失をもたらす

とあります。

このように、単に厳しくすることにはあまり意味はありません。

ただただストレスを生み、相手の精神を蝕んでいきます。



厳しさがもたらすもの②「行動の阻害」


ストレスを与えることで、相手の自己効力感は下がってしまいます。

自己効力感が下がったことで、余計なことをして叱責されないように、また、自分に自信を失い、行動意欲を失います。そして、相手の行動が阻害されます。

つまり、厳しさや叱責は人の行動を減らします。

そのため、例えば生命や怪我の危険性のある工場で、ふざけた行動を取ってしまった新人を叱責して、「ふざけた行動を減らす」ことは効果的ですが、報告の品質が低い時、そして報告自体は引き続き欲しい時に、報告を叱責するのは悪手だと言えるでしょう。

これにより、心理的安全性が失われ、報告・連絡・相談が無くなり、コミュニケーションが失われていくことになります。



厳しさがもたらすもの③「さらなる失敗」


厳しさは、失敗をなくすどころか、さらなる失敗を招きます。

特に、報告・連絡・相談がなくなることで、情報共有がなされなくなり、情報の伝達ミスにより、さらなる失敗が起こる可能性もあります。

さらに、失敗があったとしても隠蔽しようとして報告が上がってこなくなり、いずれ大きな失敗に結びつくことになるかもしれません。

また、叱責されて表面的に反省しているように見えても、マネジャーがいないところでは言うことを聞いていないのがほとんどです。

厳しくすれな厳しくするほど、より多くの失敗を呼び込むことになります。



厳しさがもたらすもの④「信頼関係の破綻」


あまりにも過度な厳しさや叱責は感情的になりがちです。

そうなると自分の虫の居所が悪かったり、体調が悪かったりすると、いつもは怒らないことでも怒ってしまいがちです。

そんな感情で動くような姿を見せられると、自分勝手な振る舞いをしているように映ります。だれしもそんな自分勝手な人と関係を深めたくないと思うので、次第に周囲の信頼を失っていくことになります。

信頼関係が破綻してしまうと、こちらの言うことなど全く聞いてもらえなくなりますし、面と向かって歯向かう人も出てくるかもしれません。

こうなるともう仕事どころではありません。



厳しさがもたらすもの⑤「より強固な信頼関係」


これまで厳しさがもたらすもの、主にデメリットについてお話ししてきましたが、厳しさがもたらすものは悪い事ばかりではありません。「怒られたけど、やる気が出た」経験を持っている人もいるんじゃないでしょうか?

このように、厳しさや叱責も、相手にとってプラスになる場合も有ります。

どういう場合にそうなるかというと…

「相手との信頼関係が強固である場合」

「叱られた本人の事(才能・未来)をしかった側がそれ以上に考えている」

「突き落とすのではなく、引き上げるための叱責」

というような場合です。

例えば、本書の著者は、師匠の一人に「才能の出し惜しみをするな!」という叱責を受けています。厳しい叱責ながらも「相手に才能がある事を信じている」信頼が伝わってくる。と述べられています。

このように、前向きで相手の事を考えた上での叱責は、逆に信頼関係をより強固なものにしてくれます。

しかしこのような良い厳しさや叱責を行えるのは確かな知見と計画性があってのものです。多くの人は安易に人を動かそうとして、軽い気持ちで厳しさを使ってしまいます。

その軽い気持ちの奥底にあるのは、相手のためではなくて、自分のためかもしれません。

自分本位なマネジメントでは、相手の成長はおろか、自分の言う事を聞き入れてもらう事すらできません。

下手に厳しさでごまかそうとせずに、謙虚に誠実に、学んで実践していきましょう。



それでは、今回はこの辺で。




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