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トップダウン or ボトムアップってもう古い?

 ちょっと前って”トップダウンからボトムアップへ”というような表現を見ることが多かったような気がしますが、最近聞かなくなったなぁという印象です。皆さんの周りではどうでしょうか?トップダウンが組織の成長を妨げる原因で、ボトムアップは組織を活性化させるというような風潮がちょっと流行っていたような気がするのは、私だけでしょうか?
 実際私が体験した事例を基に、ちょっと書いてみます。

それ自体がトップダウン

 ”会社をボトムアップに移行するんだ!”というトップダウンを聞いたことがあります。オーナー型の企業やカリスマ的な経営者が会社スタートから売り上げを伸ばしていく中での過渡期に、停滞がちになってきた業績を踏まえて、”お前らもちゃんと考えろ”と言わんばかりに号令がかけられるという感じです。
 そうなる理由もわかりますが、いきなりそう言われても何からやればいいのかが分からないというのが正直なところだと思います。なぜかというと、レポートラインや意思決定の方法、また組織図がそうなっていないからです。上からの訓示的な話があり、割り当てられている業務を如何に正確に進められるかという事が評価のポイントで、その経過を逐一報告する必要がある。そんな業務設計だとしたら、ボトムアップになる余地がありません。
 これに関しての良し悪しを問うつもりはありませんが、ただの号令だけで仕事のやり方自体は何も変わってないということでは、もちろん結果にはつながらないですよね。

ボトムアップの勘違い

 ボトムアップとは何か?という事にもなってきますが、決して決裁権や裁量が下に下がっていくという訳でもないと思っています。会社としての意思決定はその責任が取れる人しかできないと思いますし、個々が勝手に判断していたら収集がつきません。
 ”自分の意見が全く通らないのでトップダウンだ!”とか”ボトムアップというからには、自分の意見が反映されるはずだ”というのも、何か意味を取り違えているような気がします。あくまで、その意見の質によりますからね。
 ある求人の要件で、”ボトムアップ思考が強すぎない人”という文言を見かけたこともあります。よほど、ボトムアップをはき違えた人がいたのかな?と想像し、面白い要件だなと思ってしまいました。

結構普通の事

 多分、健全に会社の方針が全員に共有され、個々の会議体や戦略立てに於いてそれぞれが自分の意見や考えを持ち寄って合意形成がされている組織では、”トップダウン”も”ボトムアップ”という認識も無いような気がします。
 会議などにおいては、それぞれが自分の意見を発言することは当然であり、それが認められる土壌があれば、それ自体が普通のことであり、最終的には結論が出てそれを皆で実行していく。会社としての戦略が伝えられる際には、その背景と目的が共有され、各々に参加意識がある。そんな会社であれば、”トップダウン”とか”ボトムアップ”とかの議論は無いように思います。

仕事の進め方から変えてみては?

 もし、自分の組織内で停滞感を感じているようなら、組織や会議のやり方などまずは形から変えてみてはどうか、と思います。例えば、比較的ジュニアな人に小さくてもいいので役割を振ってみて、会議で必ず発言の機会が来るようにするとか、何を決めるのかわからない会議招待を送るのではなく、必ずアジェンダを付けるとかからでもいいと思います。それと、ただ業務報告をするだけの会議であれば、いっそやめてみるとかもありかと思います。結構伝える人の自己満だったりすることも多いように思います。
 そこを変えるのが大変と思う人もいるかもしれませんが、会社の方針がどうこうとかいう前に、もし自分がそれなりに組織をまとめる立場であったり、部下を持っていれば、小さな組織からでもすぐに始められる簡単なことだと思います。

まとめ

 もし、”トップダウン”や”ボトムアップ”の議論が少なくなってきているとしたら、もう上記のような話はあまり存在しないのかもしれません。”意見が無いなら会議に出るな”みたいな話は、ちょっと前のビジネス書のキラーワードみないなものでしたし。
 ただ、最後に伝えたいのは、これらの議題を実行するポイントは”トップ”でも”ボトム”の人達でもなく、”ミドル”の人の裁量が大きいということです。トップダウンを伝えるのも、ボトムアップを伝えるのも”ミドル”が経由地点になり、その人の視野の広さが求められると思います。どっちかだけを見ていてもうまくいかないもので、どちらの意見も吸収した上での、”ミドル”の行動力によって結構会社って変わるような気がしています。
 これからは、トップでもボトムでもなく、”ミドル”の資質が問われる時代が来るのではないでしょうか。