推しが卒業しました



「推しが卒業した」



こんな言葉を日々誰かが口にしている。
出会いもあれば別れもあり、
というか出会いがあるから別れもあるのか。



まさか自分がこんなにも早くこの言葉を口にするとは思っていませんでした。



私が応援している人は男装、と言うと何か引っかかるものもあるけれど、私は推しのことを彼と呼ぶことにします。



彼は勿論かっこよくていつも笑顔でその笑った歯が可愛くて、ステージの上では鋭い目付きで、見ている人になにかを訴えかけるように力強くて、話してみると柔らかくて優しくていい匂いがしてライブ後の汗も愛おしくて、ご飯は美味しそうに食べるし些細な出来事を嬉しそうに話してくれます。
例えばコンビニで売ってるあのスイーツが美味しかったとか、綺麗な石を拾ったとか、昨日見たアニメが面白かったとかそんなこと。
自分の意思には揺るぎがなくて、本当に歌うこと、ライブが好きなんだと思える人です。



出会ったのは3年前、友だちに連れられて観に行ったのがきっかけで、こんなにも長く応援するとは思っていませんでした。それと同時に時間の流れの早さを感じます。



卒業を発表してからというもの全く実感が湧かず、ふわふわとした毎日を過ごしていました。
それまでの私は彼のいる生活が当たり前になっていました。
彼は「ずっと音楽をやっていたい」と言っていました。
このグループで頑張っていきたいと。
卒業を発表する2週間前に話した時も、「メンバーのことが大好き」と言っていました。
だからこそ卒業と聞かされた時は信じられなかったし、彼の"ずっと"もそんなものはないんだと感じてしまった夜でした。



着々とこのグループで行うイベントが少なくなっていく中で、わたしはこのグループにいる推しが好きであると改めて感じました。
"応援したい気持ちはあるけれど、これからも応援出来ると胸を張って言えない"
そんなようなことを彼に言いました。
歌い踊りステージの上で気持ちを伝えてくれる彼のことが好きだからこそ、そうでなくなってしまった彼を素直に応援出来る自信はその時の私にはありませんでした。
今思うと新しい活動をしていくことへの不安や葛藤があった時に、「応援します」の一言も言ってあげられなかったのかと申し訳ない気持ちでいっぱいです。ごめんね。



卒業当日、この曲を観られるのも最後か、現場に通っていた友だちと一緒に観るのも最後かと切ない気持ちでいっぱいでしたが、悲しいのはきっと私よりも彼だから、最後の日は絶対に泣かないと決めていました。
彼は意外と感情的なので泣いていましたが、そんな彼もかっこよかったです。



帰り道、彼からもらった手紙を読みました。
様々な思い出と感謝の気持ちが綴られていました。
「ありがとう」は伝えてくれる人だったけど、こんなにも私というひとりの人間について考えてくれていたんだなと嬉しく思いました。



彼に出会えて良かったと、色んな迷惑も嫌な気持ちもさせたはずなのに、いつでも私の幸せで居てくれてありがとうと感謝を思いながら眠りにつきました。



新しいグループになっても例えこの世界から姿を見せなくなっても、彼と過ごしたこの3年はこれからも私の心の支えであり何にも変え難い日々になると思います。
私は彼の幸せをいつまでも願っています。



推しは無責任に、あっという間に、私たちの前から居なくなってしまうものです。
推しがいる当たり前は当たり前でなく、応援する私たちもまた、推しの前に居ることは当たり前ではないのです。


推しが卒業してもなおお互いの人生は続きます。
推しから貰った幸せが、これからもあなたの幸せの一部であり、推しの人生の幸せだった瞬間に、私たちファンが居たことを思い出してくれたら本望ですね。


読んで頂いてありがとうございます。

一期一会の出会いを大切に。

良きヲタクライフを。

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