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“好きは最強の感情なんだよ” 三浦糀『アオのハコ』

・週刊少年ジャンプで連載中の、三浦糀先生による漫画『アオのハコ』。

・舞台は、中高一貫のスポーツ強豪校。バドミントン部の猪股大喜とバスケ部の鹿野千夏の恋の行方を描くアオハルスポーツ漫画。

・繊細で動きのある線で描かれた美麗な絵と、好きに向かって全力を尽くす登場人物達の直向きさに魅了される。

・とっっっっても爽やかで青春1000%な漫画。だからこそ、20歳を超えた人間に鋭く刺さる。こんな青春、良すぎる~~~!!!!ジャンプ定期購読しているので、キャンペーンで五巻まで読んで、五巻の終わりがまた良すぎて!!!!無料コインで読んだり、12巻からは買って、やっと本誌の最新話まで読みました。お金に余裕ができたら全巻買います。

・ちなみに、タイトルはこの作品でかなり好きな台詞を引用しています。良い台詞だし、この作品の軸を言い表しているような気もする。

・主人公の大喜くんは高一で千夏さんは高ニ。(一話時点(3月)では、中三と高一。)後輩と先輩。

(以下敬称略)

 2人は別の部活で、大喜はバド部の新米。対して、千夏はバスケ部のエースで美人で人気者。体育館で練習する2人を遮るのは、部活ごとにコートを分けるネット。ロミオとジュリエットのよう。

 次に引用するのは、友人の笠原匡くんによる大喜と千夏との歴然とした差を例えた言葉。

例えるなら千夏先輩はシード校でお前は一回戦敗退校
レベルが違いすぎるだろ

p.10 三浦糀『アオのハコ』1話

・この匡くん、結構周りを俯瞰的に見ていて、猪突猛進気味の大喜や他の登場人物に的確なアドバイスをしてくれる。これも中々キレキレのたとえだなと感動した。

・ただ、この台詞を受けても大喜は『挑戦しないと絶対勝てないじゃん(p.10)』と笑う。この作品の数多ある魅力の1つが、大喜の直向きさ。恋もバドミントンも高い目標に向かって、直向きを通り越してがむしゃらさとも言える努力をし続ける。その姿に周りも影響されて、どんどん熱くなっていく。その姿が凄くカッコイイ。

・この後の1話の内容をさらっと紹介。

 2人の共通点は、朝早くから個人練習をしていること。朝の二人だけの時間で、少しずつ仲良くなっていく大喜と千夏。

しかし、千夏が3月中に海外へ引っ越してしまうことを知る。千夏のバスケへの熱い想いを知っている大喜は朝の体育館で必死に引き留める……が、千夏は既に日本に残ることを決めていた。

毎日の大喜との会話で、バスケへの想いが再燃したからだった。一件落着かに思われた翌朝、大喜は羞恥心に襲われていた。勝手な思い込みで恥ずかしいことを言ったし、先輩に合わせる顔が無い。そんな想いと共に部屋を出た大喜の目に映ったのは千夏の姿。

驚く大喜に母親は、古い知り合いの娘である千夏をこの春から預かることになった、と告げる。

いきなり始まった憧れの先輩との共同生活。という所で1話は終わる。まさか共同生活になるとは思わなかったので、びっくりした。わざわざ共同生活にしたのは何故なんだろう、と思ったけど、同じ屋根の下だからこそのシチュエーションが徐々に展開されて納得する。

二階の大喜と千夏の部屋は壁を挟んで隣同士。物理的な距離はめっちゃ近い。でも、先輩と後輩で、部活も違って、部活での成績も違う。精神的な距離は遠い。このギャップを演出する上で、同居させているのかもしれない。話を経る毎にこのギャップが埋まっていくのが良いのよね。隣に並ぶために頑張る大喜の姿は応援したくなる。

最初にこの作品を見た時は、「ジャンプ作品にしては繊細な線だな」と思った。多分他にも繊細な線で描かれてる作家さんはいると思う。ただ、この作品がジャンプに載ってるんだ、という意外性があった。読んでみると納得する。この漫画、努力も友情も勝利も詰まっているのだ。繊細な線も、ちょっとした心の動きからバスケやバドの躍動感まで、繊細さと豪快さを兼ね備えた魅力がある。また、少し儚さを感じる線は、移ろいやすく悩みやすい思春期の少年少女を描く上でより映えるように思う。

登場人物達がめっちゃ可愛いしカッコイイという事は見てもらえれば分かるので、他の魅力を話そうと思う。

他の魅力としてあげるのは、「言葉選びの良さ」だ。言葉選びが全部優しい。大人の諦観が無い。登場人物達は挫折するし、目標を諦める人も出てくる。そんな人達に向けた言葉が凄く素敵だな、と感じた。

学生の頃は(今もそうだけど)目の前のめちゃくちゃ狭い範囲が全てで、ここで終わってしまうと全部人生ダメだと思ってしまう。
でも、そうじゃないんだよ、とこの作品は様々な言葉で語りかけてくれる。この作品とスキップとローファーにはもっと早くに出会いたかった。でもどっちも最近の作品なんだよな……泣

ここからはネタバレです。この記事に全然登場していない人の好きな台詞も出します。

まずは、キャラデザが完璧過ぎる夢佳さんの台詞。夢佳さんは挫折してバスケを辞めてしまった人。しかし色々あって立ち直り、幼い頃に父親に教えてもらった大切な言葉を大喜に言ってくれる。

好きは最強の感情なんだよ

p.19 97話

この台詞、凄くいい。この台詞を言った時の夢佳さんの表情も合わせて印象に残っている。凄くシンプルなんだけど、納得できる。
好きなだけで上手くいくわけじゃ無いし、上手い人はもっと他にいる。でも、好きはもう少し頑張るためのエネルギーになる。いいよね~

0時なので、最新話を読みました。良いですね。スポーツの描写の熱さ、ラリーをしつつ、実際は無言だけど、心の中でも言葉のラリーを打ち合っている。熱さと切なさが高速のラリーに詰まってる。

これもネタバレなんだけど、匡(推し)の台詞も紹介させてくれ……
友達に告白して恋破れた子から、「時間が経ったら前の関係に戻れるか。もう関わらない方が楽か。」という相談を受けた匡。それに対するアンサーの一部を引用します。

難しいよな
どう接するかって正解のないことだから
もちろん配慮しないといけない相手はいるけど……
そこがクリアできるなら友達に戻るのも
関わらないのも自由だと思う
ただ俺は
恋愛に支配される人間関係は
少し寂しく思う

p.107 13巻

・高校生らしい言葉選びと、聴いた人を傷つけずに背中を押す素敵なことばじゃありませんか????これ読んだ時、匡のことがより好きになった。この子、なんでこんなに大人なんだよ!!!!
 確かに難しいよなと思う。告白することで、互いの間に引かれた線が少し書き換わる様な気がする。相手の記憶も自分の記憶も、関わった人間の記憶も消せない。例え上手くいかなくても、友達に戻ってもいいし、戻らなくてもいい。でも、それで今までの友情が無かったことになるのは寂しい。って言って、これからも見守ってくれる匡くん良い子やな。
 実際問題、そう上手くはいかないかもしれない。それでも、失敗しても0にはならないんだよと言ってくれる友人の存在は尊い。

センターパートクール系眼鏡属性哀愁漂う皆のお兄ちゃん匡くんをよろしくお願いします!!!!!!!
匡くんに関連して、守屋菖蒲さんもかなり推しだ……。もちろん蝶野雛さんも推している。

↑から30話まで読めるので!!!!読もう!!!!!

・今年はアニメもやるみたいなので!!!!見よう!!!!!

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