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     ぐうたらのあなぐら

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日常で思ったこと自由に書きます。ここはぐうたらのあなぐらです。
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2023年5月の記事一覧

おまえの目玉はどこにある

おまえの目玉はどこにある

「米粒を残すとね一粒ごとに一つ目ん玉を潰されちゃうだって、ばあちゃんが言ってたよ」

ほんの7つ8つの頃、同級の女の子からそんな話を聞かされた。その子の名前も思い出せず、顔もおぼろげもおぼろげ。(以降一度も会っていないから当然と言えば当然か)
転校をするときにクラスメイト全員からからメッセイジカードを貰ったのだが、その子からは
「むこうの学校へ行っても先生の言うことをちゃんと聞くんだよ、親をいう事

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魚うおういえいえい

魚うおういえいえい

川のあっちとこっちを堰き止めて大きな生簀にする。いっぱいいっぱい、たっくさんの魚を大人たちが放つ。

今も催されてるのかは知らないけれど、僕の記憶によれば、夏の或る日の高野川では一日だけ魚まみれになった。
其れはYの字に別れる鴨川デルタの右側に当たる川で、それより下流を鴨川、上流を高野川とよぶ。
流れを堰き止められた川は、平生の生気を失い、異様であった。あまりに異様で記憶も朧げなため、あれは僕が拵

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いけっ、とまれっ

いけっ、とまれっ

窓から見えるは絶えず行ったり来たりする赤いお尻に、白いおめめをした自動車たち、自転車の群れ。
ここでは歩くことが許されていないのではないかと訝ってしまうほどに通りを歩く人が見当たらない、、と思った矢先に仲睦まじく手を取り合って歩く若い男女が通り過ぎた。そりゃそうだ、僕はここまで歩いてきたんだもの。
其の二人を目で追う。当然二人は僕が見ていることに気づいておらず、楽しそうに話をしている。
そして僕が

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Run Run Run老いかけっこ

Run Run Run老いかけっこ

中年にさしかかると人は走り出す。
古本屋で不意に手にとった石原慎太郎の「老いてこそ」にもそう書いてあったし、次に手に取った三田誠広の「すずめ台つれづれ日記」にも同じような事が書かれていた。(三田誠広の方を購入した)30を過ぎると体の衰えを自分の中に発見し焦燥に駆られて動き出すのだそうだ。自分だけに理解し得る体力の翳りに、きたる未来を写してしまう。そこから抗うようにして足が動き出すというのだ。
迫り

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