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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼     (23)チガイがわかる・おもしろ日本語入門   ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△


第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!

          その7、“物(もの)”と“事(こと)”


          souy

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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や18年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
  『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
  「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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“物(もの)”はじつに奇妙なコトバです。おそらく根源的にはこの世の全ての物質を指し示しているのでしょう。 その証拠に、動くものを動物、植えられたものを植物、そしてまた人としての物(?)を人物、などと表現しますから。

けれども、通常“もの”と言う時は、人や動物など生きているものや動くものなどは
除外されます。ただし同じ発音のコトバ“者”が人を指すため、時々混乱が起ります。例えば“化けもの”という時、一体それは物なのでしょうか、者なのでしょうか??


              それはともかく、

  たとえばクイズで、「それはどんなものですか?」と尋ねたり、

    「えーと、それは小さくて、奇麗で、高いものです」と答えたりします。

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           (正解はダイヤモンド??)


つまり“もの”は、基本的には英語で“object”や“substance”に当たるコトバで、

     食べ物(食べるもの)や、乗り物(乗るもの)や、読み物(読むもの)

などとしても使われます。そういえば、贈り物(贈るもの)なんてのもありますよね。つまり食料品や交通機関、書物、プレゼントなど、それこそさまざまな物体や品物を言い表すことができるわけです。


          一方、“事(こと)”とは何でしょう?        
    

“物(もの)”が実際に触れることのできる現実の物質であるのに対し、

  “事(こと)”は、それのできない抽象的な事象を言い表すために使われます。


たとえばクイズで、「それはどんなことですか?」と質問されたら、

  「えー、それは賑やかで、楽しくて、伝統的なことです」と答えたりします。

             (正解はお祭り??)


つまり“こと”は、基本的には英語で“matter”や“fact”に当たるコトバで、

   食事(食べること)や、乗車(乗ること)や読書(読むこと)のように、

それらの行為を言い表しているのです。上の“もの”の例と比べてみてください。


    いえ、行為だけでなく、“こと”が表現するものは無限にあります!

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ふと思いつくだけでも、“出来事”や、“歴史” “欲求” “願い” “考え” “知識”
“記憶” “可能性” “詳細(詳しいこと)” “事実” “権利” “義務” “経験”
“習慣” “喜び” “悲しみ” “恐怖” “想像” “思い出” “計画”・・・などなど、

実際にはこの手では掴むことのできない、いわば私たちの頭の中のイマジネーション。それら全てを、日本語では“こと”という言葉で代弁してしまうことが多いのです。

         ここで、ちょっとしたジョークをひとつ、

  A、「今、考えていることは何だい?」 B、「あなたと同じことよ」

          A、「え~っ、君はなんて悪い人なんだ!」
        

いや失礼しました! つまり“こと”とは想像の産物。したがって時には相手にどんなことなのかを問いただす必要もあるでしょう。また、すでに前に使った言葉を2度繰り返したくない時にも、「あのこと」や「例のこと」などと、代替することもできます。(これは“もの”の場合も同様です)

                  ◇


          《学習のポイント》2つの“こと”!!

             「・・・ことがある」


最後に、覚えておくべき2つの文例をご紹介しましょう。両方とも、とても便利です! それは「・・・ことがある」という文で、日本語の文章や会話に、頻繁に登場します。

その一つ目は、「・・・」の箇所に動詞の過去形が用いられます。例えばこうです。

       「あなたは富士山に登ったことがありますか?」

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この場合“こと”は経験や体験を示します。つまり、一度でも富士山に登った体験が
あるかどうかを尋ねているのです。経験や体験は過去の出来事ですから、当然ながら、“こと”の前にはいつでも過去形動詞が使われます。

ほかにも「日本語を勉強したことがある」や「納豆を食べたことがある」、「サッカーをしたことがある」などさまざまに使えるので、しっかり覚えておいて下さい。なお、「こと」の前に置く動詞は、常にインフォーマル形にすることをお忘れなく!


その二つ目は、「・・・」の箇所に動詞の現在形が用いられる事例です。この場合の“こと”は一体何を示しているでしょう??? その通り、それは習慣ですね!!

       「あなたはジョギングをすることがありますか?」

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例えばこれは、日常的にジョギングをする習慣があるかどうかを聞いているもので、過去形ではなく現在形を用います。今でもジョギングを続けているかどうかが重要なのです。もし過去形にすれば、それはもう続けていないということになってしまいます。

このほかにも「煙草を吸うことがある」とか「料理を作ることがある」、「宝くじを買うことがある」などいくらでもありますね。 でも私にとっては、「宝くじに当たることがある」という習慣がぜひとも欲しいのですが・・・、


       えっ、あなたも同じことを考えていた?
                ・・

               なんて怠け者なんでしょう!!(笑)

            ではまた次回をお楽しみに!!

                 
ーーー 次回は第24回 第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
  

              その8、“あげる”、“もらう”、“くれる”
                     

 を、お届けするつもりです。


               ▽    ▽

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