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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼     (25)チガイがわかる・おもしろ日本語入門   ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!

        その9、“あげる”、“もらう”、“くれる”(下)


          souy

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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や18年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
  『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
  「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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このメルマガ講座もはやくも25回目となりました。きっとあなたの日本語や日本文化への理解も一段と深まってきているいるはずです。 その調子で、楽しく学習し続けてくれる(!)ことを期待していますよっ。  ファイト! 頑張れー!!

さて、前回の「あげる」「もらう」「くれる」の違いは、わかっていただけましたか?


     「でもなんでそんな面倒くさい表現をしなければいけないの?」


はい、もっともな質問です。日本人である私たちにとってこれは一種の習慣ですから何の不思議も感じませんが、きっと「くれる」の表現をもたない国の人々にとっては、なんとも奇妙なものに映ることでしょう。

        その違いを明確に説明するのはとても難しいです。

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じつは、1「私はAさんから時計をもらった」と、2「Aさんが私に時計をくれた」の2つの文章は、事実上は全く同じ意味を持っています。けれどもちょっとだけ、話しのニュアンスが違うのです。


       ここに2枚の写真があると考えてみてください!

どちらも、左側に時計を手渡すAさん、右側にそれを受け取る私が写っている、同じシチュエーションの映像なのですが、1では自分が時計を受け取っている部分に焦点が当たっています。しかし一方の2はその時計をAさんが自分に手渡している部分に焦点が当たっていてその他の部分はボヤけている、と考えてみてください。


つまり、話す人や聞く人の頭の中のイメージに微妙な差があるわけで、日本人はその僅かな違いを楽しみながら会話していると考えてもらえば(!)、いいかもしれません。
                 ・・・

そして1と2の双方ともに、受領したり提供されたりすることへの感謝の気持が込められていることを忘れないでください。なぜなら以前もお話しましたが、これは日本文化のとても重要なファクターだからです。

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        ところでこの、「あげる」「もらう」「くれる」

    じつは時々日本人は、この3つの言葉を一緒に使ったりするのです。

たとえば友達のA君はB子さんが好きで、ちょっとしたプレゼントを買ったのですが、極端にナイーブな性格のため彼女にそれを手渡すことが出来ません。それを知った私はB子さんのところに行ってこう頼んでみます。

  「あのー、A君のプレゼントをもらってあげてくれる?」


ハハ、ちょっと複雑すぎますか? そうです、3つの動詞全てを例の接着剤“て”で
つなげた文ですね。 以前お話しししたように、日本語と欧米語は多くの場合順序がサカサマですから、文章の最後から一つ一つ英語に訳してみることにしましょう。

最後の動詞「くれる?」は、“Do you give me?”や“Would you give me?”のような意味ですね。でも一体、私は何を欲しいのでしょうか?? 

それが次の(つまり一つ前の)「あげる」です。「あげる」は他の人に“give”する
という意味でした。他の人とはA君です。つまりここまでの意味は、B子さんがA君に何かを“give”することを、“give me”(私に“give”する)ことを頼んでいるのです。

ではB子さんがA君に何を“give”して欲しいのでしょうか? そうなんです、それが〈彼のプレゼントを「もらう」あるいは「受け取る」(receive)こと〉なのです。

          もう一度整理してみましょう。


                (私)「私にプレゼントをくれる?」

 (彼女)どんなプレゼント? ー(私)「A君にプレゼントすることだよ!」

 (彼女)どんなプレゼント? ー(私)「彼のプレゼントを受け取ることだよ!」

おわかりになりましたか? これを英語で表現するのは大変難しいのですが、実験的にわかりやすく直訳してみると、いささか奇妙な以下のような文章になるでしょうか。


      Can you give me a present

            that you give a present for Mr.A

                    to receive his present ?

日頃から、人にモノやサービスをあげたり人から貰ったりすることに対して、日本人はとても神経を使います。旅先でも友人知人の好きそうなお土産を見つけ、それをすべて手に入れるだけで、ぐったり疲れてしまうほどです。(笑)

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日本人の心の中には色濃く仏教思想が残っていますが、その中でもとくに儒教思想は、私たちのものの考え方の根本に今も根強く生きています。儒教とは隣国中国の孔子が広めた教えで、目上の人を敬う、ものを大切にする、遠慮や耐え忍ぶ心、感謝の気持を忘れない・・など、他人との人間関係をきわめて重視するこの国の文化を育みました。そしてそれらは、日本語のさまざまな表現にも大きくかかわっているのです。


      日本語を学ぶことは日本人の心を知ること、でしたよね。

            ではまた次回をお楽しみに!!

                 
ーーー 次回は第26回 第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
  

               その10、「こ」、「そ」、「あ」、「ど」
                     

 を、お届けするつもりです。

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