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隠し味
いつものレストランへ行くと店主が変わっていた。
「レシピは変わらないのでご安心を」
そう爽やかな笑顔で告げる新しい店主の手さばきは見事だった。前の店主はフライパンをふるたびにくしゃみばかりしていて不潔だったのだ。そのせいで辞めさせられたのかもしれない。
できあがった名物のラン・ボゴーレはとても美しく、ブリリン・ソースの具合もパーフェクトだった。これなら街の人々も安心してまた通えるだろう。
ただ、正直なところ、ほんのすこし。一味だけ、物足りないような気もする。他の店にはない、あの海風に似た独特な香り。隠し味にふりかける秘伝のスパイスかなにかが。
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