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ウェーブ

見渡すかぎりだれもいない。
まっしろな平原にポツンと置かれた
椅子にひとり。

おもむろに立ちあがり両手をあげてみる。
こんなことをしてもなにも意味はないけれど。

その姿を遠くの星から
たまたま望遠鏡で見ていた彼も
椅子から立ちあがり両手をあげてみる。
それがどんな意味かは知らないけれど。

そのとなりで彼をじっと
ひそかに見つめていた彼女も
恥ずかしそうにマネをする。

そのとなりで彼女へ恋するロボットも、
そのまわりで三人を眺めていたゲムランポたちも
椅子から立ちあがり両手をあげる。

こうして遠い星の街に
ウェーブが巻きおこる。

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