夫の老後
やりたいことをやりたいねん
とか言って、夫が急に退職をしてから、早4か月が過ぎる。
やりたいことってなんやねん
と、誰もが思い、実際にたくさんの人に、そうつっこまれていた夫。
わたしも同じように思ってたけど、それが意外にも(失礼!)、着々とやりたいことの活動をすすめている夫なのだ。
そう。
ニホンミツバチの養蜂と畑がやりたかったらしく、その準備を着々とすすめていき、今では、一箱だけとはいえミツバチ入りの巣箱を持ち、無料で貸していただいている畑に毎日通う日々を送っている。
素人なので、失敗もしまくっているようやけど、
ハチや畑の先輩というだけでなく、人生においても大先輩にあたるおじいさまたちに、
いろいろと教えていただいているよう。
あらら。いつのまにやら、あらたな人とのつながりも開拓してるわ。
そんな姿から、わたしも、ハラハラすることをやめて、下手に手伝うこともやめて、ようやく見守れるようになってきた。
人生の後半になって、なにかと運が向いてきた感じの夫。
老後も、楽しく過ごせそうやなあ。
どっちかというと、何かと運が悪いなあって言葉をよくかけられてきた夫。
たしかに、そうやってん。
でも、人生がプラマイゼロやとしたら、ようやく、61歳にして、プラス部分の取り戻しが始まったんかもしれん。
まあ、何にせよ、楽しそうに趣味に没頭しているのはよいわな。
そして、もう一つ、夫の老後のいろどりになってくれるのが、
彼の巻き込まれ体質。
大雪で電車が止まり、8時間近くも車内に閉じ込められていた乗客の中に夫の姿があった。(見たわけやないけど)
出張で北海道に行くと、帰りに、空港行きの電車が事故でとまり、バス停の大行列の中に夫の姿があった。(これも、見たわけやないけど)
銭湯で、全身に柄物の皮膚をまとったこわもてのおじさま方に、無邪気に大騒ぎで話しかけにいく子どもの隣には夫の姿があった。(これも見たわけやないけど、ちょっと見たかった。その子は知り合いの子どもで、銭湯に連れて行ったのは夫である。)
ここしばらくの間だけでも、こんな風にいろいろとあった。
巻き込まれまくっている。
そういえば、ずいぶん昔、娘がまだ3歳くらいの頃、公園で木を蹴ってどんぐりを落とす遊びをしていて、「危ないからやめろ!」とよそのお母さんに怒られていた子どもたちのその中にも、夫の姿があった。
これは、巻き込まれとはちょっと違うけど、その厳しいお母さんと居合わせてしまったことを、巻き込まれたと思い込んでるようやった。
全然反省してへんなあ。
まあ、何かにつけ、巻き込まれては痛い目にあうことが、確実にほかの人より多い夫。
感染症が急激に拡がりだしたころにも、知り合いの人に、
「あんたは、いっつも何かと巻き込まれるんやから、絶対にすぐに感染症になるやろうし、そうなったら、絶対に奥さんにうつしたらあかんねんで。
いいか?わかってるんやろうな!」
と、釘をさされたらしい。
その知り合いの人は、わたしが闘病していることを知っていて、とても心配してくれていた。
しかも、その人は、夫の後輩でもある。
後輩にこんな風に言われる夫って・・・・・・。
後輩にも、巻き込まれ体質を見抜かれてる夫って・・・・。
でも、いまや、もうそれは強みになっている。
老後は、ハチと畑とこの巻き込まれ体質があれば、絶対に退屈しいへんはず。
身体も頭も使い続けなあかんから、筋トレ脳トレともにバッチリのはず。
いいぞ~~~。
いつか一人になったとしても、これで大丈夫。
ハチに囲まれて、カメムシやモグラと闘いながら、どんどん巻き込まれていけ~~~~~。