【2018年のアニメ総決算①】近年のアニメのトレンドを振り返る
2018年のアニメ総決算!第1弾の本記事では、2018年の「話題作」と「トレンド」を振り返り、「日本アニメの現在」を大局的に捉えます。門外漢の方にもわかりやすい解説付き。
インタビュアー「みなさん、こんにちは!あけましておめでとうございます。年末年始のクソ忙しい毎日、いかがお過ごしですか?私は元日に実家に戻って5歳になった甥っ子と麻雀をしまして、ボチボチの結果。叔父としての威厳は保てたのではないかとホッと胸を撫で下ろしている次第でして……なんて話はさておいて、いよいよやってまいりました!年末年始の風物詩(になる予定の)……」
(ドラムロール)
インタビュアー「『ヒャクパーセント・シミズ・アワード』のお時間です!今回は2018年のアニメを総ざらいしようという『総決算』編。『アニメは門外漢で……』という方にもわかりやすい解説付き!痒いところに手の届く親切設計!グッドデザイン賞(は受賞していない)!そして、審査員はみなさんご存知(というのは嘘で今回初登場)、マスター・オブ・アニメ、清水さん!」
(万雷の拍手が鳴り止まない)
(やがて鳴り止む)
清水「どうぞよろしく」
インタビュアー「いやぁ、清水さん、やってまいりましたね」
清水「ええ」
インタビュアー「『ヒャクパーセント・シミズ・アワード』は、その名の通り、清水さんの独断に貫かれたアニメ賞です。清水色100%。アニメファンの諸兄姉の中には、あの作品が入っていない、この作品が漏れていると、疑問もしくは憤りを感じられる方もいらっしゃるかとは思いますが、どうぞご容赦ください。これは『ヒャクパーセント・シミズ・アワード』。清水さんの独断です。生暖かい目で見守ってやってください」
清水「お願いします」
インタビュアー「さて、清水さん!マスター・オブ・アニメ!……小声で『そんな二つ名で呼ばれたことはない』なぞとおっしゃっていますが、いやいや、私はあなたをそう呼んでいますよ。で、マスター!2018年もアニメ三昧だったそうですね。一体どれほどのアニメをご覧になったのですか?」
清水「2018年にテレビで放映されたアニメ作品の内、私が視聴したものをリストアップしてきました」
インタビュアー「おっ、これは準備がいいですね。では拝見……いやぁ、メチャクチャ大量じゃないですか。一体これ、何作あるんですか?」
清水「2018年に私が視聴したのは、冬クールに25作、春クールに30作、夏クールに35作、秋クールに32作、合計122作です」
※清水氏が視聴した122作のリストは、本記事の最下に掲載しています。
インタビュアー「これはぶっ魂消ました!じつに気狂いですねぇ!みなさん、お聞きになりました?122作ですって、122作!やーい、アニメオタクゥ!……なんてね、軽口も叩きながらまいりましょう。ちなみに私と清水さんは中学時代に出会ってから20年来の友人です。遠慮なしにまいります」
清水「はい」
インタビュアー「ちなみに2018年にテレビで放映されたアニメは242作だそうで、清水さんは丁度半分ほどご覧になったわけですね」
清水「そうでしたか」
インタビュアー「さて、今回はこの122作の中から、特に優れた作品、キャラを選出し、その素晴らしさを大いに語り尽くそうと、こういう趣向になっております」
清水「承知しました」
インタビュアー「なお、『ヒャクパーセント・シミズ・アワード』は部門制で、今回は以下の5つの部門ごとにベスト作品、ベストキャラを選出してまいります」
インタビュアー「『作品賞』が実質的な大賞、2018年のベストアニメということになります。一方、『キャラ別賞』はキャラに対して授与されるもので、映画賞でいうところの『主演男優賞』『助演女優賞』などに該当します。ところで清水さん!」
清水「はい」
インタビュアー「既に選出は終わっているんですよね?」
清水「ええ、先ほど終わりました」
インタビュアー「私、清水さんの選出が終わるのを待っていたのですが、アレですよね、9時間ぐらいかかっていましたよね?」
清水「ええ」
インタビュアー「(待ち疲れたよ!)」
清水「……」
インタビュアー「ここで、『ヒャクパーセント・シミズ・アワード』のプログラムを発表いたします」
インタビュアー「ボリューム一杯!夢が広がりますね」
清水「膨らみますね」
インタビュアー「さて、それではまいりましょう。第1部『2018年の日本アニメの概観』!」
<第1部:2018年の日本アニメの概観>
<第1章:話題作一覧>
インタビュアー「まずは、2018年の話題作を振り返ってみましょう……出でよ!『2018年の話題作一覧』!」
※清水氏がネット上の拡散具合などを踏まえて作成した一覧です。無論、これ以外にも多数の名作・怪作がありましたが、ここでは特に話題性のあった作品をリストアップしています。
インタビュアー「1年を振り返ってみると……女子高生のゆるゆるなキャンプで幕を開けた2018年。謎の巨大生物『叫竜』と戦っている内に春を迎え、VRゲーム内でP90やらコンバットナイフやらを振り回したり、タイムリープを3000回繰り返していると夏になり、病原体やら巨人と戦っていると秋がやって来て、スライムになってゴブリンを狩って、奇妙な病気に罹患してバニーガールになって、そして最後は少女の孤独な魂を救い……いやぁ、実に充実した1年でした」
<第2章:近年のトレンド>
インタビュアー「続いて、『振り返ろう!2018年のアニメトレンド』のコーナーです。お相手は引き続き清水さん」
清水「どうぞよろしく」
インタビュアー「年100作以上のアニメを視聴するようになって早20余年!まさに歴史の生き証人!そんな清水さんに、2018年のアニメのトレンドをお伺いしましょう」
清水「はい。2018年は、2017年以前から続くトレンドが継続したと考えています。したがって、ここでは『最近数年間継続しているトレンド』を4つご紹介したいと思います」
Trend1:中国及び台湾系アニメの増加
清水「まず、『中国及び台湾系アニメの増加』です」
インタビュアー「ほぉ」
清水「中国や台湾の企業が製作、もしくは制作する作品(※)が目立ってきています」
インタビュー「2018年にはどのような作品がありましたか?」
清水「『悪偶 -天才人形-』、『軒轅剣 蒼き曜』、『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』などが該当します」
インタビュアー「ふむふむ」
清水「『悪偶 -天才人形-』は、原作は中国のマンガ家・一淳さんの作品。そして製作は中国の騰訊動漫(テンセントアニメ)、アニメ制作は日本のスタジオディーンが担当しました」
インタビュアー「原作と製作が中国、アニメ制作が日本というわけですね」
清水「また、『軒轅剣 蒼き曜』の原作は台湾のゲームメーカー・ソフトスター社によるRPG。製作はテレビ東京と、台湾の企業3社、計4社からなる『軒轅剣製作委員会』で、アニメ制作はスタジオディーンでした」
インタビュアー「原作は台湾、アニメ制作は日本、製作は日本と台湾の協業、と。『悪偶 -天才人形-』も『軒轅剣 蒼き曜』も、アニメ制作はスタジオディーンなんですね」
清水「『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』は、台湾の人形劇『霹靂布袋劇』をベースにした作品です。脚本は虚淵玄(うろぶち・げん)さん、キャラデザはニトロプラスで、日本側が担当。一方、人形の制作や実演は『霹靂布袋劇』を行う台湾の企業『霹靂國際多媒體股份有限公司』の担当でした」
※『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』は、後述の「作品賞」にランクインしています。作品の魅力などについては「第2部」をご覧ください。
インタビュアー「一口に『中国及び台湾系アニメ』といっても、様々なパターンがあるんですね。そして近年、こういった作品が増えている、と」
清水「はい、最近は1クールで2〜3本は見かける印象です。一方、5年ほど前までは年1本程度だったはずです」
インタビュアー「ほぉ!随分と増えているんですね。ところで、『中国及び台湾系アニメ』の作品には、従来の国産アニメと比べて何か特徴があるのでしょうか?」
清水「いくつか特徴があります。まずクオリティについていえば、『作画がよい』と感じることはありませんね。昨今の日本のアニメと比べると、中〜下といったところでしょう。ある時突然クオリティが低下するというのではなく、常時低空飛行している印象です」
インタビュアー「ほぉ」
清水「また、元々中国語で作られたものを日本語に吹き替えた作品では、どうしてもリップシンク(※)に違和感を覚えます。些細なことのようで、これ、結構気になるんですよ」
インタビュー「ふむふむ」
清水「また、キャラクターの性格設定であれば、『他人を出し抜くのは当然だと考えるキャラが多い』、『損得勘定を重視し、義理や人情だけでは動かないキャラが多い』という傾向があると感じます」
インタビュアー「それは面白いですね」
清水「近年の日本のフィクションではあまり見かけないタイプのキャラだと思います。したがって、最近の国産作品に馴染んでいる人ほど『中国及び台湾系アニメ』に強くギャップを感じる可能性があるといえそうです」
※「製作」と「制作」:アニメビジネスには様々なフェーズがあるが、アニメを作る実作業を「制作」、それ以外全部を「製作」と区分けするのが一般的。「製作」の中には、例えば企画立案、資金調達、出資、宣伝、興業などが含まれる。なお、スタジオジブリや京都アニメーションなどは、いずれも制作会社。すなわち「制作」を担当する企業である。
※リップシンク:アニメにおいては、キャラの唇の動きと声優の声を合わせること。
Trend2:乙女系アニメの増加
清水「2つ目のトレンドは、『乙女系アニメの増加』です」
インタビュアー「『乙女系アニメ』というのは……」
清水「BLや、沢山のイケメンが登場する逆ハーレム作品など、女性を主ターゲットとしたアニメ作品のことです」
インタビュアー「なるほど。2018年であればどのような作品が該当するのでしょうか?」
清水「正直、私は乙女系アニメには詳しくなく……というかあまり関心がないのですが……知名度の高い作品としては『Free! -Dive to the Future-』、『ツルネ -風舞高校弓道部-』があります」
インタビュアー「前者は水泳部、後者は弓道部を舞台に、多数の魅力的な男子高校生が登場する作品ですね。アニメ制作は、いずれも京都アニメーションです」
清水「そうですね」
インタビュアー「ええ」
清水「……」
インタビュアー「……」
清水「……」
インタビュアー「あー……そうそう。なぜ近年、乙女系アニメが増加しているのでしょうか?」
清水「さぁ?」
インタビュアー「……」
清水「……乙女系アニメに関心がないので……」
インタビュアー「……」
Trend3:ギャルゲーアニメの衰退
清水「3つ目のトレンドは『ギャルゲーアニメの衰退』。いやぁ、ギャルゲーアニメが見事になくなりましたね」
インタビュアー「『ギャルゲーアニメ』というと……」
清水「代表作は京都アニメーションによる『Kanon』、『Air』、『Clannad』(※)でしょうか」
インタビュアー「ほぉ!『Clannad』ファンの私としては是非とも詳しく伺いたいテーマですね」
さて、ここで、「ギャルゲーアニメ」とは一体全体如何様な作品なのかをご説明し……たいところではありますが、これが非常に難しいテーマでして、以下はごくごく一般論としてご参照ください。
まず、大前提として「ギャルゲーアニメ」とは「ギャルゲー」を原作に据えたアニメ作品のことです。では、この「ギャルゲー」とは何なのでしょうか?
「ギャルゲー」、すなわち「ギャルゲーム」。一言でいえば、「魅力的な女性キャラが登場し、恋愛や、比較的軽度の性的なシーンが描かれるコンピュータゲーム」ということになるでしょう。
類似概念として「エロゲー(エロゲーム)」があります。両者の違いは性的描写の程度です。ギャルゲーは、エロゲーほど露骨には性的なシーンを描きません。
まぁ、実際にはエロゲーよりもハードなギャルゲーがあったり、あるいは、性的描写がほぼ皆無で昨今の『ちゃお』の方が遥かにアレなギャルゲーがあったりしますが……一般論としては以上の通りです。
さて、本題に戻りましょう。
インタビュアー「『衰退』というのは実に寂しいですね……」
清水「無論、完全に消滅したわけではありません。例えば、2019年3月からは『グリザイア:ファントムトリガー』、4月からは『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』が放映されます。また、現時点では放映時期は不明ですが、『ネコぱら』もアニメ化が決まったとのことです」
インタビュアー「ふむふむ。そういえば、ここ数年、テレビアニメ(『Fate/EXTRA Last Encore』)やら、劇場版(『Fate/stay night [Heaven's Feel]』)やら、スマホゲームの『FGO』(『Fate/Grand Order』)やらで大盛り上がりの『Fate』シリーズも元々はギャルゲーですよね。まぁ、最早あれは、ギャルゲーを出自としている感が全くありませんが」
清水「そうですね。この通り、ギャルゲーというジャンルが消滅したわけではありません。ただ近年、明らかに放映される本数が減っています」
インタビュアー「一体全体なぜ衰退してしまったのでしょうか?」
清水「これは実に単純な話で、ギャルゲーアニメの基となるギャルゲー自体が衰退したからですね」
インタビュアー「なるほど。うーん、寂しいものですねぇ……」
清水「ええ。ギャルゲーアニメには独特のものがありますからねぇ」
このあと、「古河渚は神!」だの「いや、神は藤林杏!」だの「やっぱり風子が最強!風子参上!」だのとギャルゲーアニメ談義に花が咲き、「それではなぜギャルゲーは衰退したのか?」に触れずじまいでした。ただ、これはとても重要なテーマですので、ここで少しだけ補足させていただきます。
<補足:なぜギャルゲーは衰退したのか?>
ギャルゲーの衰退といえば、2018年7月頃、Twitter上でちょっとしたディスカッションがあったことをご存知でしょうか?
そのやりとりをまとめたのがこちらのサイト。
関心のある方はぜひご覧いただければと思いますが、大雑把にまとめると、以下がギャルゲー衰退の一因ではないかと指摘されています。
・スマホゲームが台頭した。スマホゲームはとにかく数が多い。しかも安価、もしくは無料。一方でギャルゲーはこの大きな潮流に乗り遅れ、いまだにPCでのプレイが大前提となっている。そして高価。どう考えてもとっつき辛い。このため若年層が流入せず、市場が縮小した。
・同人ゲームのクオリティが上昇し、ギャルゲーの売上の一部が食われた。
・違法ダウンロード対策が遅れ、ギャルゲーの売上を圧迫した。
※『Kanon』、『Air』、『Clannad』:いずれも傑作。22世紀に残したい名作。家族そろって見……るのはアレなので、1人で、もしくは友人や恋人と視聴することをお勧めします。
Trend4:「なろう系」アニメの増加
清水「4つ目のトレンドは、『<なろう系>アニメの増加』です」
まずは、「なろう系」とは何かをご説明しましょう。
そもそも「なろう」というのは、「小説家になろう」というオンライン小説サイトの名称に由来します。「小説家になろう」は、簡単にいえば、①(基本的にはアマチュアの)小説家が自由に自作を投稿する、(2)他のユーザーがそれを読む、という場。
小説であれば何を投稿してもよいわけですが、実際にはかなり強い偏りがあり、設定や世界観、ストーリー展開、キャラなどが似通った作品が少なくありません。すなわち、ある種のテンプレが存在し、そのテンプレに基づく作品が大量に投稿されているというわけです。そして、こうした「テンプレ要素」を含む作品を「なろう系」と呼びます。
したがって、「小説家になろう」に投稿されていても、テンプレを使っていなければ「なろう系」とは呼びません。
また、「小説家になろう」に投稿された作品ではないものの、「なろう系」風のテンプレ要素を含む作品を「なろう系」と呼ぶこともあるようです。
それでは『なろう系』のテンプレとは、具体的にはどのようなものでしょうか?以下、いくつか例をあげてみましょう。
・作品名がちょっと異常なほどに長く、説明的(「○○したら□□だった件」、「○○が□□で、△△が××なのですが。」など)。
・主人公は概ね冴えない男性である。
・物語の冒頭、主人公が何らかの理由で異世界へ転生、転移する。
・主人公は序盤から異常なほどに高い能力、知能、スキル類を持ち合わせており、特に努力や修行をせずとも英雄的な活躍をする。
・女性陣がそんな主人公を放っておく道理はなく、彼はモテモテであり、ハーレムを築く。
・RPGを彷彿とさせる用語が頻出する。例えば「ジョブ」「チート」「スキル」「ステータス」「レベル」「HP」「MP」「剣士」「魔導士」など。また、キャラの目の前にステータスウィンドウが開いたり、舞台が中世もどきだったり、設定や世界観においてもRPGの影響を強く受けている。
……さて、「なろう系」の概要はご理解いただけたかと思います。
それでは続きをどうぞ。
インタビュアー「『なろう系』というと、2018年にはどのような作品がありましたか?」
清水「ええと……『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』や『転生したらスライムだった件』が該当します。ちなみに、『百錬の覇王と聖約の戦乙女』や『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』は、タイトルやストーリーからそうと誤解されがちですが、実は『小説家になろう』に投稿された作品ではないので、厳密には『なろう系』ではありません」
インタビュアー「ふむふむ。……まぁ、ざっくばらんに申し上げますが、『なろう系』はネタ的に消費されることが多いのかなという印象です。例えば、あまりにもご都合主義すぎる設定やストーリー展開をTwitter上で腐し、笑い、ツッコミを入れるという具合です」
清水「そうですね」
インタビュアー「実際のところ、『なろう系』の増加を清水さんはいかがお考えでしょうか?率直に言って、『クソである。日本のアニメの落日である』と悲嘆しているのか、それとも『これはこれであり』とお考えか」
清水「なかなか難しい質問ですね……」
インタビュアー「クソですか?」
清水「そんなことはありません。あー……そう、例えば中学生は十分に楽しんでいると思いますよ」
インタビュアー「中学生ですか……でもこれ、深夜アニメですよね……」
清水「……失言でした。ええと……『なろう系作品』はゲームの影響が色濃くて、例えば登場人物のHPが表示されたり、『ジョブ』『チート』などの言葉が飛び交っていたりします。こうしたテンプレ要素を批判する声もありますが、一方で、そういった設定や作風を好む人も確実に存在しますからね。そういう意味で『これはこれであり』ということになります。ただ、正直私自身の好みに合うかというとちょっとどうかな、と」
インタビュアー「ほぉ」
清水「例えば『ソードアート・オンライン』シリーズ。2018年4~7月にはスピンオフの『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』がアニメ化され、2018年10月から1年間『ソードアート・オンライン アリシゼーション』が放映中と絶好調ですが……うん。私、10代の頃であれば目をキラキラ輝かせて見ていたはずなんですよ」
インタビュアー「それがいまや……」
清水「ちょっと臭いなぁ、と」
インタビュアー「なるほど。まぁ、清水さんも三十路すぎですからね」
清水「中二病臭いところがどうしても気になってしまって……作品が悪いのではなく、私の感性が変化したのだと思います」
インタビュアー「それは果たして衰えなのか、それとも成長なのか……」
清水「そうですねぇ……」
インタビュアー「……」
清水「……」
インタビュアー「……ええと、妙にしんみりしてきましたが、気分を転換していただいて……」
清水「……はい。ええと……そんなわけで、私は『なろう系』が駄目だとは思いません。ただ1つ気になることがありまして……」
インタビュアー「何でしょうか?」
清水「最近は、あまりにも『なろう系』風テンプレ臭の強い作品が多いと感じます。『こんな設定で、こんな世界観で、あとはこんなキャラを出しておけば適度にヒットするだろ』なんて発想で気楽に作られているのではないかと邪推してしまいます」
インタビュアー「なるほど。しかし、どうなのでしょう。そんなに似たような作品が大量生産されてしまっては、視聴者は早々に飽きてしまうのではないでしょうか?」
清水「そうですね。今すぐ消えてなくなるとは考えづらいですが、いつかは飽きられることでしょう。そして未来から振り返った時、『なろう系』アニメのターニングポイントは『異世界はスマートフォンとともに。』だったと言われるのではないかと感じています」
インタビュアー「ほぉ。『異世界はスマートフォンとともに。』といえば2017年にアニメ化された『なろう系』作品ですね」
清水「ええ。『なろう系』のテンプレに、ヤマもなければオチもないストーリー。そして度重なるご都合主義……それまでは何だかんだ言いながらも『なろう系』を楽しんでいた視聴者ですが、『さすがにこれはちょっと……』という空気が生まれたと感じています。ネット上の声を見る限り、2018年もこうした批判的な空気は強まっており、そう遠くない未来に臨界点に達すると思われます」
インタビュアー「臨界点に達した時、果たして一体何が起きるのでしょうか?」
清水「さぁ?」
インタビュアー「……」
清水「……」
インタビュアー「……」
清水「……」
インタビュアー「……2019年もアニメから目が離せませんね」
清水「全くです」
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インタビュアー「以上、『近年のトレンド』でした」
※定量的に確認されたファクトではない点にご注意ください。
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最後までご覧いただきありがとうございます。「第2部:『作品賞』発表」以降は、次の記事に続きます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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<補足:2018年に清水氏が視聴したアニメ一覧>
(審査、解説:清水 / 文、イラスト、インタビュー:三葉)
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