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フランチャイズ計画やめました|佰食屋1/2、閉店します。

■きっかけは、自然災害だった。

2019年6月12日に開業した佰食屋1/2(にぶんのいち)。開業のきっかけは、2018年の相次ぐ自然災害でした。

2018年6月18日の大阪府北部地震、6月28日から始まった西日本豪雨(のちに災害指定され平成30年7月豪雨と名付けられる)、極めつけは9月4日台風21号直撃による関西国際空港3週間の閉鎖。(関空連絡橋にタンカーが突っ込んだことにより、3週間ほど関空が閉鎖された。)

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これら3つの災害が連続して関西を襲い、この時期一時的に現在のコロナと同じような「インバウンド観光客が壊滅的、LCC(格安航空)が関空のため国内観光客も激減」という状況に陥りました。

当時インバウンドや観光客が大勢押し寄せていた大阪の黒門市場や京都の繁華街・観光名所はことごとく影響を受け、深刻な打撃を受けたわけです。

当時私たち佰食屋は3店舗(佰食屋、佰食屋すき焼き専科、佰食屋肉寿司専科)ありましたが、2018年6月から続いたこの3つの災害によって、お客様が半分ほどしか来店されない日が続きました。100食限定のお店に50人しかお客様が来られなければ、当然お店は赤字となります。

結果として1000万円ほど赤字となりました。そしてこの赤字をようやく挽回できる見込みが立った時にコロナに突入してしまうという、苦難の連続がやってくることとなります。

しかし一方で、この連続する災害の時に、私はある一つの事に気づきました。

地震があっても
大雨が降っても
台風が直撃しても。

それでもお客様は
毎日50人は来てくれた。

それなら、最初から50食限定で、50食でも黒字が出るような構造のお店だったら、この災害の連続でも赤字にならなかったのではないか?と思ったのです。

これまでの経営の基本は、うまくいけば拠点地を大きくしたり、全国に規模を拡大したり、設備投資をして雇用を増やし、どんどん右肩上がりの成長を目指すことだったけれども。

毎年のように未曾有の災害が襲ってきたら?
設備投資したばかりの本拠地が大雨で浸水してすべて水に浸かったら
台風が直撃して、建物が壊れるほどの被害にあったら?
大地震で地面の基礎から崩壊したら?

こんな未来が、身近にあるとするならば。私たちが今後、この災害大国日本において、持続可能な経営をしていくためには。

そうだ。これからは、
売上を、減らそう。

そう2018年10月に、確信したのです。

■売上を、減らそう。

しかし一方で、売り上げを減らしても黒字化しなければいけない。果たして50食限定のお店を、従業員を雇用して運営するという形において、黒字化することができるのだろうか。

家賃や人件費という固定経費、原価や水道光熱費、ごみ処理費や電話代など、店舗が小さくても大きくても変わらない経費もある。その中で50食限定でも黒字化できるかどうかは、試してみる価値があるのではないか。

そう思い、私たちはこの災害から9か月後、仮説を実証実験するために、1つの店舗を出店したわけです。

そう、
それが佰食屋1/2

もちろんこのお店は1日50食限定定休日は日曜日にしました。勤務時間は9時~15時のたった6時間。佰食屋は5人体制で運営しているため、半分の佰食屋1/2は従業員2.5人ほしいところですが、券売機という機械に活躍してもらうことで2人体制

211126明石納税協会御中(株式会社minitts佰食屋中村朱美)

全国47都道府県に1店舗ずつ出店しても、1日50食限定なら都会じゃなくても無理なく目指せる上に、自社競合しない

もし大きな災害があっても、47都道府県に分かれていれば、被害があるのはおそらく数店舗。もし数店舗が甚大な被害を受けたとしても、ほかの40数店舗が力を合わせれば、あっという間に復興できる

この働きやすく小さな組織を全国に展開することが、これからの日本の働き方としてフィットするんじゃないだろうか。そう思い、いずれ全国フランチャイズすることを目標にしてきました。

まずは自分たちのお店が黒字かするかどうかを実験。2人で無理なく運営できるのか、集客や運営に問題はないか。毎日従業員のみんなと改善や相談を繰り返しながら取り組んできたわけです。

■コロナで狂った計画

しかし、そこにコロナウイルスの感染拡大が始まりました。

ご存じの通り、佰食屋はコロナの影響により2020年4月11日に佰食屋すき焼き専科と佰食屋肉寿司専科を閉店しました
https://www.facebook.com/akemi.nakamura0731/posts/3035420699882956

【佰食屋すき焼き専科と佰食屋肉寿司専科が閉店しました】 ※かなり長文です、これまでの経緯と放映の補足※ . ガイアの夜明けをご覧くださった皆様、誠にありがとうございました! ご覧頂きました通り、今回のコロナウイルスの感染拡大を受けて、私たち...

Posted by 中村 朱美 on Tuesday, June 30, 2020

佰食屋と佰食屋1/2の2店舗については、住宅街に位置していたことから大きな影響はありませんでしたが、「飲食店」という人が集まる場所が感染拡大の一因であるとして、飲食店は大きな制約を受けたわけです。


ここから、私たちは考えを軌道修正する必要が出てきました

仮に1/2という小さなお店だったとしても、これから一定期間は「集客」をするタイプの事業は厳しい時代が続くこと。飲食店はコロナ後において、新たな販路や変化が必要になってくる時代になったこと。

こういったことを鑑みると、フランチャイズ展開を目的としていた事業計画を大きく変更しないといけないと感じたのです。

そこから、私たちはフランチャイズ展開とは全く別の新規事業を考え、その新規事業に向けて動き出すこととなります。そのお話は、また次の機会に。

こういった経緯から、フランチャイズ展開を目的として整えてきた佰食屋1/2は役割を終えることとなりました。

現在京都市内は多くのテナントが空き状態で、テナント募集の看板が街中に貼られています。私たち佰食屋1/2を出店した時は、テナントの空きはほとんど無く、全く選ぶことすらできなかったのに。

そこで、佰食屋1/2は今後のことも見据えて一旦閉店することとしました。

最終営業日は
2021年12月15日(水)です。

そして、私たちは次に移転出店したい場所を決めています。その場所が空くまでの間、佰食屋1/2はお休みをいただきます。

■なぜ今閉店なのか。

このタイミングで佰食屋1/2の閉店を決めた理由はもう一つあります。

私たちの会社には現在12人の従業員が在籍しているのですが、そのうちの4人が大学4回生!全員就職や卒業後の海外留学が決定しており、引っ越しなどのスケジュールもあって、みんな2022年1月末ごろで卒店することになります。

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12人中4人も卒業で退職が決定しているこのタイミング。

佰食屋1/2を継続して運営するためには、新たに従業員を採用しないと人数が足りません。しかし、ちょうど移転を考えていたタイミングと大学生たちの卒業が重なったため、従業員を増やしたり減らしたりすることなく、自然に閉店できる唯一のタイミングだったのです。

今回いったん佰食屋1/2は閉店しますが、次に新たな形で別の場所で移転オープンする際には、きっと全く別のメニューや新たな飲食店の概念を導入していることでしょう。

希望の場所のテナントが空くのを待っているため、いつ移転できるようになるかは私たちも分かりません。しかし、従業員とともに「あんなことやる?こんなこともいいね!」と既にみんなでワクワクしているところです。(私自身が製菓衛生師でもあるので、スイーツ案も出ているんですよ!笑)

■佰食屋1/2は失敗だったのか?

最後に。

佰食屋1/2は結局、50食限定で黒字化できるかどうかの実験はどうだったかって?

従業員を雇用し、家賃も給与も支払い、出店の際の投資金額(約350万円)などについても、この2年4か月ですべて返済できるほど、黒字化することが分かりました。

すべて投資した金額を回収できていたことも、お役目終了という判断をする決め手になったわけです。

この2年4か月の経験を糧に、今後新たな可能性を世に生み出すべく、まだまだ頑張っていきたいと思います。これからも、引き続き明るい未来を作っていきたいと思いますので、あたたかく見守って頂けると幸いです。

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フランチャイズ計画やめました
佰食屋1/2、閉店します。
でした!

株式会社minitts
代表取締役 中村朱美

Thanks!!


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