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人は、自分の欲しいものを知らない。|新規事業のツクリカタ

お客様が欲するものを提供する。これはマーケティングの基本です。しかしヘンリー・フォード氏は言いました。「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」と。


■人は自分の欲しいものを知らない

If I had asked people what they wanted, they would have said faster horces.

もし、人々に”移動手段として何が欲しいのか?”と聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えただろう。(フォード・モーター・カンパニー創立者 ヘンリー・フォード)

車のない時代。
馬車が移動手段だった時代に、車を欲しいというお客さんがいないにもかかわらず、ヘンリー・フォード氏は車を作りました。そして、お客さんは「こんな便利な乗り物が欲しかった」と言ったのです。

つまり、ヘンリー・フォード氏はお客さんが言う『欲しいもの(=速い馬)』とは違うものを提供して喜ばれたのです。

アップルのスティーブ・ジョブズ氏もこのように表現しています。

「人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」


人の想像の外にあるものは欲しがれない
人は自分の欲しいものを知らない


これは、これから私たちが新規事業を始める時にとても大切な考え方ではないでしょうか。


■新規事業を考えろと言われても

急激な円安や原油価格高騰、物価上昇により先行き不透明な時代に入っています。多くの企業では、時代の変化に合わせて新規事業を始めようと動き出している筈です。

もちろん、いつか独立しようとしている個人の方も、新しい商品やサービスを生み出して、自分で仕事を作り上げようとしている方も多いかもしれません。

しかし、既に世の中には本当に多くの商品やサービスが出回っており、世界中の情報をいつでも気軽に入手できる時代になったからこそ、「新しい」ものを考えるのって至難の業ですよね。

自分はヘンリー・フォードでもスティーブ・ジョブズでも無いんだから、そんな世の中をあっと驚かせるような新規事業を考えるなんて無理だ…。

そう思ってしまう前に、もう少し「新規事業」について、気軽に考えてみませんか?


■日常に溢れかえっている

私たちの日常は「便利」で溢れています。
しかしそんな中でも、こんな風に思うことはありませんか?

・この商品、もう少し○○だったら使いやすいのになぁ…
・このサービス、私だったらこうするのに。
・この特徴を○○に変更したらもっといいのに…。

意識してみると、意外と日々沢こんなことを思っていることに気づきます。これこそが【新規事業のタネ】だと私は思っています。

今でも十分便利な世の中なんだけれど、消費者目線で、既存商品・サービスにもう少し改善を加えればもっと便利になるのに…そういった想いを突き詰めて商品・サービスを考えれば、それはもう立派な新規事業なワケです。

実際に、2022年7月15日に新発売した私たちの新商品「イシイの佰にぎり」は、上記のように考えて作った商品でした。

コンビニやスーパーで売っているおにぎり、消費期限が短くて買ったらすぐに食べないといけない。もう少しおにぎりが日持ちしたらいいのになぁ…。(もちろん添加物無しで!)

こんな素朴な思いが新しい発想のおにぎりの原案となり、1年間の開発期間を経て発売することが出来ました。


【イシイの佰にぎり】
常温で100日保存
②おにぎり1個につきたんぱく質10g以上!
③もちろん無添加調理
7大アレルギー食材不使用


これまでも多くの人が、「おにぎりがもっと日持ちしたらいいのになぁ」と思った事があると思います。

それを「出来るかもしれないから、やってみよう!」とやってみる。これが、新規事業になるかどうかの境目ではないでしょうか。

石井食品株式会社の京丹波工場の皆様と1年かけて研究開発しました!



■アイデアはかけ算

もちろん、「この商品、もう少し○○だったら使いやすいのになぁ…」ということを改善するだけで、爆発的に売れる商品がすぐに誕生するわけではありません。

1つだけのアイデアを考えて、それが大成功するなんて奇跡です。私たちも、年中新規事業のタネを考え続け、100個の新規事業のタネからやっと1個だけ芽が出るかどうか?というぐらいです。もちろん芽が出ても、育たないこともあり、花を咲かせるまでは至難の業です。

しかし、母数である新規事業のタネの数が多ければ多いほど、花が咲く確率はもちろん上がっていきます。だからこそ、出来る限り沢山の新規事業のタネを日々考えていくのが地味だけど一番確実な方法と言えます。

「そんなに沢山のアイデアなんて思いつかない!」

そんな時は、次の2つの作戦を実践してみてください。


①自分の情報量を増やす

アイデアの多くは、【過去の情報】×【新しい情報】のかけ算によって出来上がります。

(例)おにぎり【過去の情報】×100日常温保存【新しい情報】=イシイの佰にぎり

この【過去の情報】の量と、【新しい情報】の量、どちらの量も多くなる方が、かけ算の組み合わせが増えてアイデアも増えます。そのため、様々な分野や全く関係のない業種の知識を増やすだけでも、新しい視点を得られ、異業種のかけ算が可能になります。

図書館で本を借りたり、普段見ないようなテレビを見てみたり、流行っているらしいけれど使ったことのないSNSに登録してみたり、知らない街にでかけてみたりと、自分自身の情報を増やすことが近道になるのではないでしょうか。


②人のアイデアに頼る

しかし①の方法はとても時間がかかります。時間をかけたからといって、絶対に成果が出るものでもありません。そのため、スピーディに新規事業のタネを獲得するためには、他人の力を借りることも必要です。

例えば全国様々な場所で行われているビジネスプランコンテスト。その観覧に行ってみると、新しいアイデアやサービス、ビジネスを知ることが出来ます。その発表者の方に【共同開発】や【メンバー加入】などをお願いして、自社のサービスとコラボで商品を開発することが可能です。

既に完成されているビジネスモデルを聞くことで、かなり具体的に自社商品や自社サービスとのコラボや共同開発が考えられるはずです。




私の住んでいる京都でも、沢山の企業が新規事業に取り組んでいて、新しい展開が楽しみです!



■結局、必要なものが残る。

上記の通り新規事業を始めたとしても、すべての事業が上手くいくわけではありません。自分たちが自信をもって作り上げた商品やサービスでも、消費者が同じように思うとは限らないからです。

結局、生きていくために【必要】と感じるものや、【圧倒的に便利】であるものが残ります。


つまり、【売りたいもの】ではなく【必要なもの】が残るということです。


新規事業を考える時、最後に必ず「それは世の中にとって必要か?」を問い直す作業を忘れないようにしようと、いつも自分に言い聞かせています。


私はこれからも何度だって、上記のようなやり方で新規事業を考え続けていきます。皆様もぜひ沢山の新規事業を世に送り出し、一緒により良い世界をつくりましょう!


人は、自分の欲しいものを知らない。
|新規事業のつくりかた|

株式会社minitts
代表取締役 中村朱美

Thanks!!

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