日記❹

負けたくないという気持ちだけはある。しかし、何で勝負しているのかはわからない。お前は間違っていると叫びたくなる。そういう態度をひけらかす人間も嫌いだ。本当の勝負は口に出してはいけない。負けるなら逃げて負けたい。逃げていれば、負かされるまでは勝つ可能性があるからだ。

テレビをつけても気が滅入る。どこかで食事をしても気分が悪くなる。最近は水か酒かを飲んで女と話している時が一番落ち着く。誰でも良くなった。くだらない話をずっと続けてほしい。おそらく私はイライラしてくるだろうけど、それでも続けてほしい。そのうち私はどこかに行こうと言い出すだろうから。

霧に囲まれた湖畔のそばの家で暮らしたかった。本当に孤独になってしまいたかった。諦めてしまいたかった。だが、ダメだった。私がどれだけ拒もうとどうしようもなく人と関わらなければいけない日は必ず訪れる。そういう時、私はまあまあ上手く自分を演じている。気さくで仕事ができて、酒をよく飲む気前のいいやつになれる。帰ってしまいたいと思う自分を誤魔化すかのように酒を飲んでいた。あなたは魅力的だと誰かが言う。私はそれを本気にする、そして同時に傷つく。でも君は僕を愛してくれやしないじゃないかと!

朝起きると大抵憂鬱だ。頭が痛い。今朝は寝坊して11時半に飛び起きる夢を見ながら7時に起きた。興味深い夢だった。11時半に起きた私はその日の予定をすべて放り投げて自転車を漕いでいた。駐輪場で謎めいた美女に出会う。金髪のボブカットでエキゾチックな大きな瞳をしていた。唇は分厚く、張り詰めたスキニージーンズは魅力的だった。彼女と自転車を漕いでいた。しかし私はまったく付いていくことができない。彼女が目的地を教えてくれた。そこで落ち合おうというわけだ。私は感謝して、それに従うことにした。やがて彼女が視界から消えて、一人で自転車を漕ぎ始める。しかしまったく進まない。それどころか自転車のありとあらゆる接合部がゆるゆるになってガタガタと音を立て始めた。私は近くの公園に停めて自転車を治す。そして携帯で目的地を調べてみた。彼女が言っていた目的地などどこにもなかった。言い間違えていたのかもしれない。彼女の向かった方角だとここかもしれないなどと考えを巡らせていたが、やがて私は諦めて公園で煙草を吸っていた。
夢はここで終わりだ。目が覚めた時、脳が擦り切れたような鈍い痛みが広がっていた。私は水を飲んで、着替えて煙草を吸った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?