100人カイギsummit2021 Report テーマセッション:現実と仮想、触れ合う感覚とつながる喜び
11月3日(水・祝) 「100人カイギ」の全国カンファレンス「100人カイギsummit2021」が虎ノ門ヒルズとオンラインの2ステージ同時進行で開催された。
「100人カイギ」とは
地域ごとに行われるコミニティ・イベントで、2016年のスタート以来、開催都市は年々増えており、2019年は38都市、累計9000人の参加者にまで広がっている。そのルールは「ゲストが累計100人に達したら解散する」という”終わりがある”ちょっと変わったコミュニティである。
・WEBサイト
テーマセッション:現実と仮想、触れ合う感覚とつながる喜び
VR (仮想現実)・AR (拡張現実)などさまざまな技術が使われる現代。街中でもテーマパークや商業施設などで気軽に体験できたりと日常生活にも普及しつつある。そして、最近XR(クロスリアリティ)も注目されている。
これらの技術を組み合わせて、現実世界と仮想世界が互いに干渉する取り組みがある。ARでデジタル空間にいるプレーヤーと対話し、VRで現実空間にいるプレーヤーと対話するということが可能になるという。
今回はこの取り組みを牽引するゲスト3名が技術を使った新しいコミュニケーションの形について、熱い議論を交わした。
多種多様なデジタルとリアルの関わり方
登壇したのは、杉山 央さん(森ビル株式会社)、木村 真治さん(株式会社NTTドコモ)、伊藤 武仙さん(株式会社ホロラボ)。
杉山:本日は、私がまち作りをしてる立場から、木村さんは人・物・情報を繋げて新しいライフスタイルを作る立場から、伊藤さんはクリエイティブな発想で新しい技術を開拓し実装する立場からそれぞれ、リアルとデジタルの関わりについてお話しできればとおもいます。
一度話す前にデジタルとリアルの関わり方について整理したいと思うのですが、主に5つに分けられると思います。
1つは「リアルからのネット配信」。
オンライン会議など今当たり前になってるものですね。
2つ目は「リアルの場のデジタル演出」。
いわゆる AR を使った空間のエンターテイメントです。チームラボの施設など代表的な例ですね。
3つ目は、「そっくりなデジタル3D空間」。
例えば、バーチャル渋谷というような、渋谷の街がそっくりそのままできたデジタル空間で、歩き回るような世界です。
4つ目は、「デジタルで完結する空間」。
プレイヤーが空間の中を歩き回りながら、その世界で他のプレイヤーもいて、一緒に冒険するゲームなどが一例です。
そして5つ目が「リアルとデジタルが互いに干渉する世界」。
リアルとデジタルの空間にいる人があたかも同じような環境にいるように実感する世界です。これはこの後木村さんに詳しく説明いただければと思います。
木村:現代の5G6Gは、3DやXRの技術を支える土台として優れておりさまざまな取り組みができます。XRというのが先ほど出てきたリアルとデジタルが混ざり合う世界です。
ドコモでは2019年ごろからXRコンテンツに力を入れてきました。展示会では古い街並みのセットを用意し、XR技術を用いて最新情報を表示し、実際街中で将来的にXR技術が使われるとどうなるかご紹介しました。例えば、古めかしいバス停だけど、ARで最新の運行情報を表示してみるなど。
実際にフィールドに出るコンテンツも作成しました。街にARコンテンツが表示されているというもので、実際の街の中にモンスターが出てきて、なんか街を壊してるような絵を作ることもやりました。
さらにプロジェクトを進め、今年の3月には森ビルさんとコラボしてヴィーナスフォートでイベントを開催しました。ヴィーナスフォートでお客さんが動きながらARを体験できる物です。
空間の中にかざすと、iPadなどのデバイスの位置を非常に正確に把握した上で、あらかじめ忍び込ま瀬ておいたデジタルコンテンツが実際の景色の中に現れるということをやっています。動画を流したり、違う言語を表示するといったことも自由にできます。
7月にはVR体験イベントにもチャレンジしました。家からヴィーナスフォートの中に入って同じ体験ができるものです。空を飛んだりだとか、裏を回るとかそういった表現もできるようにしておりました。
伊藤:VRのクオリティが高くて、みんなびっくりしてましたよね。
木村:そうですよね。ヴィーナスフォートは場所的にもスキャンしやすかったのでクオリティが高くできたかなと思います。
もう一点やったのが、センサー情報を扱う取り組み。いろんなセンサーから取れる情報を
そのARで再現するものです。例えばトイレの空き状況みたいなところを、センサーで把握しそれをAR上で可視化することもこの実証実験の中で取り組んでおりました。
最新のイベントは、8月にやらせていただいた子供向けのワークショップ。時間軸がずれた取り組みになります。まず家でVRで六本木ヒルズへ遊んで、自分でブロックを組み合わせながらいろんな創作物を作ります。後日現地に行って、スマートフォンをかざすと、自分が作った作品がその場所に置かれているというところで、VRとARを非同期の形で連携させました。
伊藤:ヴィーナスフォートのイベントに自宅からお台場のヴィーナスフォートのVR空間に参加したんです。現地にいる知り合いからVR空間にいるアバター化した僕を発見したという報告がいくつかありました。声は実装してなかったんで話しかけられないんですけど、VR空間をウロウロしてると現地にいるAR空間組も気付いてiPad振り回してくれて反応してくれたり、すごく楽しかったです。現実と仮想を干渉する技術が作る未来
リアルとデジタル空間で人が交流できる体験を生み出す取り組みの一方、実際にこの技術を使うとどんな未来が私たちに待ち受けているのだろうか。
伊藤:IoTみたいなことにも挑戦してます。扇風機の制御を、スマホでQRコードを認識すると回るといったものです。リアル世界の物理の機械を動かせるんです。
パーソナルモビリティの実験も行っています。奥行きのセンサーと、ホロレンズをかぶった人が乗っかってまして、最初にホロレンズ側から、あそこに行きたいっていうゴール地点を設定します。それに対してモビリティの方が自動でデジタル空間で目的地設定と移動経路の設定をし、センサーで障害物を検知してよけながら動作するものです。人が乗ってなくても同じようなことができるので、例えば掃除ロボットとか、配膳ロボットがヴィーナスフォートの空間で動き、人々がAR機器から指示をすることができるのではないかと妄想しています。
杉山:例えば遠隔操作で会議室がある椅子を引いてあげるといったこともできるのですか?
伊藤:椅子にモーターがついてたらできますね。デジタル側から椅子と引いたというインタラクションに対し物理を動かすというアクチュエーションが必要で、逆にその現実世界で引いたってなったらそれをセンシングしてデジタル側のコンテンツに反映する両方のフィードバックが必要ではあるんですけど全然でる。
杉山:すごい思いやりの空間ができそうですね。椅子を引いてあげたりとか、扉を開けてあげたりなど。
木村:疲れたなと思ったら椅子が勝手に寄ってくることも実現可能ですよね。後は自動運転も絡みますと、送迎サービスみたいなのが自家用車でできてしまう話も実現しそうですよね。
杉山:もう一つ質問なのですが、先ほどVR空間からイベント参加していた伊藤さんが現れると、アバターみたいなキャラクターになったじゃないですか。あれがよりリアルな伊藤さんが見えるようになることも可能なのですか。
木村:技術的には難しくないです。ただリアルにすればするほど再現する情報量が増えます。例えば表情や手の動きを全部再現するには細かい情報を追いかけないといけない。体中にセンサーをつけておけば可能でしょうね。逆に情報量が少ない場合アバターで抽象化した方が、自然に感じると思います。
伊藤:今アバターを作るサービスもたくさん出てきていて、アバターを作るのがすごくカジュアルかつ自由度の高くできるようになってます。デジタル側の自分のアピアランスを自分で作って、多数持つみたいな。
木村:そうですね。SNSで多数のアカウントを持つように、多数のアバターを持って、場所によって使い分けるみたいな形にも多分既になりつつありますよね。
杉山:じゃあ、アバターを用いることで個人が複数の人の人生を歩みそうな、そんな時代になりそうです。セカンドライフサードライフとして、アバターを使うことでどんどんいろんな人格が生まれてきそうですね。
仮想世界とつながる喜び
さまざまなプロジェクトを通じて現実世界と仮想世界を行き来する未来がそう遠くないことを実感した方も多いだろう。仮想世界から遠隔操作で物理的にものを動かす、アバターを通じて複数の場所で活動する。そこには想像できない無限大の可能性、喜びがあるはずだ。
今後もVR、AR、XRといった最新技術に注目だ。
グラレコはヤマダマナミさんに描いていただきました!登壇者の皆さんにも喜んでいただけました。
クロージングは、100人カイギfounder / 見届け人 高嶋大介の挨拶にて。
100人カイギsummit2021にご参加いただいた皆さま、インベント運営にご協力いただいた皆さま、ありがとうございました!
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