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2分半のタイムトラベル ある家族の風景

身体も感情も、思い通りにいかず、ままならない日もあります。
そういう時もあるのはわかっているから、淡々と今できることをやる、しかないのですが、そう上手くできる日ばかりじゃない。

そんな折、ふと先日渋谷駅で見かけた相鉄東急直通記念のポスターを思い出したのです。「父と娘の風景」の文字とオダギリジョーさん、山﨑天さんの写真が印象にずっと残っていました。

気分転換のつもりで、相鉄東急直通記念 父と娘の風景 で調べると相鉄グループのYouTube公式ページへ導かれ、目的の作品を見つけて

約2分半のタイムトラベル。あっという間にその世界に引き込まれました。

相鉄線を舞台に、父と娘の12年の流れ、日常に寄り添い、ぎゅっと凝縮した物語。短い時間の中で、父と娘の揺れ動く気持ちを、眼差しや表情、しぐさで、見ている人に語りかけます。
力強いセリフも単語もないけれど、心の機微を感じられる、胸を締め付けられるような、あたたかい世界。

変化していく環境の中で、成長し、巣立ちを迎え、続いていく父と娘の物語。変わるもの、変わらないもの、その先につながるもの。

残念ながら、わたしは父と一緒に電車で通学や通勤をしたことはありません。
父でも娘でもない視点で見ているはずなのに、それでも涙があふれてくるのは、ひとつの家族を通して普遍的なメッセージを受け取っているからでしょうか。

この世界にもう少し触れていたくて、たまらずにメイキング風景も見たのですが、車両の揺れや光の加減を、すべて人力で動かしている上に、ワンカットでの撮影手法。細部にいたるまで、こだわり抜いたスタッフの職人技にも感激しました。本編もメイキングもできるだけ長く公開のまま残してほしい作品です。

楽曲のPUNPEE「タイムマシーンにのって」×ハナレグミ「家族の風景」も、作品の景色と溶け合うような内容でたまらなく心地よかった。

心も身体も、しんどいなあと感じている時に、この作品にふれることができて救われた気持ちです。身体に新鮮な空気が入ってリセットされた心地になりました。

なにかの折に、作品にどのようなメッセージを込められているか、という夫との会話を思い出しながら、わたしにとっては「父と娘の風景」のような作品で、明日からの活力になるのだと実感しています。

書籍や映像など作品をどのように受け取るかは、それを読み、見る側の自由。その中で、わたしはきっとこれからも、心に明かりを灯すようなものをすくい上げていくのでしょう。



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