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zou6mr
古靴、犬の踊り
まだ独りでアパートに住んでいた頃のこと。
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ある日車で帰宅すると駐車場の入口に軽トラが停まっていた。その位置が絶妙に邪魔で、こちらは入るに入れない。
そこへ大家夫人が現れた。夫人は何だか顔の前で手をひらひらさせ、故障してこの位置で動かなくなった、JAFを呼んであるが到着後に作業の邪魔になってはいけないからここに駐めるなと云う。
云いたいことはわかったが、代わりにどこへ駐めろと云うでもない。きちんと賃借料を払って借りているのを、駐めるなの一言で済まされては面白くない。一体、この人は店子を居候か何かと勘違いしているのではなかろうか。そう考えるといよいよ面白くない。
仕方がないから生爪を剥がして懲らしめようと思ったら、その前に犬がくわえて運び去った。どうも、大家夫人だと思っていたのは勘違いで、実際は古靴だったらしい。
踏切の向こうでは犬たちが靴を囲んで踊っていた。
結局その日は近くに路駐した。翌日大家さんが謝りに来た。
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昔、職場の後輩デヴィッドが倉庫で岩本さんに話しかけたが、何の反応もない。おかしいと思ってよく見たら岩本さんではなく三角コーンだったという話を聞いて、そんなこともあるのかと感心した。
初出:2009年05月29日『論貪日記』
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